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詩|燃え殻


なんかいつまでも一緒だと思ってた友達が猫が死んで笑ってた。
鈍色の空がシャネルのリップで赤く染まる。気持ち悪くて吐いた昨日のパスタ、きみの現実に気付けなかった、ライターで炙った暗闇が、草むらを煌々と照らしてる。見なくていいものも見てしまいそうな猫目を細め、考えなくていいことを考えてしまう夜の古城で、空っぽの死体を確認したんだ。人間が死んで残るのは肉と骨だけ。あとは何も無い。その思想や愛や歴史は残らない。欲望だけは日記帳の文字配列に宿る。
不純異性交遊未満純異性交遊以上に、冗談じゃない中毒症状で崩壊する放課後。何度も殴ってぶち撒けた精液。過食と嘔吐で思考停止の毎日。言葉にしない限りSOSは聞こえないから、この世界には何も起こっていない。私と世界は関係しない。きみと世界は関係してる。私ときみは関係しない。きみと私は関係してる。アイラブユーのラブを失ったきみと私は、恋人とか友人ってあだ名の関係性で繋がってる。
死の臭いが充満するアバンチュールとセックスレス。愛なんて大体が欲望の言い換えだし、代替出来ない愛なんて存在しない。ライターで炙った暗闇の燃え殻から日常に飛び火、クソむかつくcutting edge、さようなら可愛い焼死体。
それらを背景に営む、私達の短すぎる永遠。

ニットのカーディガンの名前は優しさ、なんだって。
濁った川にも光は反射して、それはすごく綺麗なんだって。
UFOは来なくても、朝は必ず来るんだって。
僕は、生きてるきみが好きだよ。
死んでないきみが好きだよ。

朝になったら私はこの街を出て行く。
もう二度と、この街には帰らない。

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