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ブエノスで鍛える鈍感力・臨機応変力と交渉力

ブエノスアイレスは、ラテンな自由人の街である。

現地人からの反論はあるだろうが、他に思い当たる言葉がないくらい自由だ。日本で『キッチリさん』をやるのに疲れて移住したわたしには、天国のような居心地だが、実生活をする上で不便がないとは言わない。

交通機関は全然時間が読めないし、お役所の窓口や郵便局は待ち時間が果てしなく長い。ここで日本みたいなサービスや生真面目さを期待するのは無理がある。

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何はなくとも『鈍感力』

この地で心健やかに生き延びるには、まずは『鈍感力』を鍛える。

待ち行列の先にある不効率、不手際や不真面目さを鈍感力でやり過ごすのだ。カイゼンニッポン代表としては「もっとこうすれば早いのに」と自然に改善案を考えがちになるが、それとイライラは同時に発生するので、やめる。お役所に行く日は、他の予定は何も入れずに、じっくり読める本を片手に出かけるか、おしゃべりが楽しい女友達に付き合ってもらう。

生き延びるために『臨機応変力』

次に必要になるのが『臨機応変力』。鈍感力はある意味、気の持ちようだが、こちらは、住むうちに強制的に鍛えられる。想定外のことは頻繁に起きるので、対処するしかないのである。

こんな事があった。ある日、乗っていたバスが軽い接触事故を起こし、運転手は相手の自家用車の主と、怒鳴り合いを始めてしまった。「えー、どうなっちゃうの?」と心配しながら見ていたら、乗客の1人が「ドア開けてちょうだい」と運転手に言い、ドアが開いた途端に、乗客はみんなあっという間に降りて、散り散りに立ち去ってしまった。誰も運転手の指示は待たないし、期待もしていない。目的地まで行く代替案を、それぞれがさっさと決めてアクションに移す。

最後にすごすごとバスを降りて、次から他の移動手段も調べなきゃなぁと思ったのは、住み始めて1年目だったと思う。

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賢く住むには『交渉力』

そして『交渉力』。正直、わたしのこれはまだまだ未熟で、流暢にスペイン語を話す優しい友達頼みだ。この地のサービスは、基本設定が不親切で高いのだが、交渉するとなんとかなる事が多い。その人の名前を呼んであげて、冗談を交えた軽い日常会話をしたりすると、窓口で鉄仮面みたいだった人が、親切な世話役きなおばさんに急変したりする。そして先週ダメだったものが、急にオッケーになったりしちゃうのだ。

しかしこの交渉術には、かなりのスペイン語スキルが必要。今のところ、わたしの使える技は泣き落としくらいだ。いつかはわたしも、窓口おばさんの笑いを取れるくらいになりたいものだ。


改めて言っておくが、わたしはそんな自由なブエノスアイレス が大好き。おかげさまで未発達だった自分の新しい能力の開発が出来ているわけだし、いちいち面白がりながら暮らすにかぎる。


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