しょーじの住処

短編小説書きます。男子大学生が日常で感じたことも書く予定です。 感想やコメント・リクエ…

しょーじの住処

短編小説書きます。男子大学生が日常で感じたことも書く予定です。 感想やコメント・リクエストお待ちしています。 不定期に公開します。

最近の記事

雨上がり

高3の夏。 僕たちは部活という青春を脱ぎ捨てて、受験生というベールを身にまとう。 蝉が耳に住む八月。 僕は受験勉強をスタートした。 志望校は今の学力では、到底届かないレベルの大学だった。 オープンキャンパスにも勿論参加した。 先生にはこれから全力で頑張れば合格もきっとつかみ取れると言われ、今のモチベーションはとても高い。 友達から連絡が来る。 「勉強ばかりじゃ息も詰まるし、どこか部のみんなで遊びに行かないか?」 息抜きするとはいってもまだ勉強を始めて間もない

    • 君の先

      あの日もこんな雪降る日だった。 冷え切ったコーヒーを片手に僕は星空を眺める。 高3の冬。 彼女と別れた。 話があると言われ帰り道の途中にある公園のベンチに座る。 ベンチは冷え切っていて針を刺すような冷たさが足を襲った。 「寒いね」 赤い鼻の君が言う。 「そうだね」 僕は白い息を吐き、赤と白の両手を擦り合わせながら答える。 「それで、話ってなに?」 「...」 沈黙が不安を僕を押しつぶしそうになりそうな時、彼女は白い息を吐いて答えた。 「別れて欲しい。

      • 100分の1

        テレテレテレーン。 「いらっしゃいませー」 あと30分で終わりか。 僕は二十歳。フリーター。 コンビニと居酒屋の掛け持ちをして生活している。 親から仕送りはもらっていないので迷惑をかけていないだけ、働かずに実家に居座るよりはましだな。 そう思うことにしている。 なにもしていないわけではなくて高校から始めたバンド活動をいまも続けていて、デビュー前の卵といったところだ。 暖めてくれる親鳥はいなくて孵化する予定などないけれど。 バンドのメンバーは高校の時とは違って

        • 僕の嘘

          「おーい、起きろ~」 その声に僕は重いまぶたを持ち上げた。 「さては昨日寝てないな~、目が充血してる」 そういって僕の瞳をのぞき込む 鮮やかに揺れた髪の奥に動く黒が二つ。 今日は久々の土曜出勤で体が追いついていないようだ。 僕をのぞき込む君は二つ年上で1年僕より早く会社に入った人だ。 僕は彼女に恋心を抱いている。 凜としていていつもクールな感じ。 その中でも抜けているところもあってそこも愛おしい。 この浅はかな想いは彼女に見抜かれないように嘘を重ねてきた。

          憧れ

          「ああ、今日会社行きたくないなあ...」 というのも昨日は仕事でミスをしてしまい、そのミスの修正からスタートである。 部長から30分くらいの説教を受けた次の日の朝は、いつもこんな感じ。 いやいや自分に合ったオーダーメイドのスーツに袖を通す。 オーダーメイドもスーツは入社お祝いに親にそろえてもらった物だ。親にはとても感謝してるから会社を辞めると言って悲しませたくない。 そういう思いもあって今の会社で頑張っていこうと思っているのだ。 いやいや会社に出勤し、昨日のミスの

          記憶

          夜、目を閉じれば明日に向けて眠りに落ちる。 朝起きると、少しの昨日を失くして目を覚ます。 それは人間にとって当たり前のことで、いままでのことを全て覚えている人なんてどこにもいないのだ。 僕は社会人三年目。 会社にもすっかり慣れて後輩もできた。 社会人になってから僕はうまく笑えず、写真に写るときは作り笑顔をするばかりで、こころから笑うことは少なくなっていた。 いろんなことをやっても本当に楽しいと思えることが見つからず、ただ仕事、仕事の毎日だ。 「あ~、なにもする気

          欠片

          6ヶ月付き合った彼女と別れて数日。 アルバイト、ご飯を食べる、寝る、の生活を繰り返してきた。 ある日の夜。 そうだ、レンタルビデオ屋に行こう。 前に観たアニメを借りてそれで時間を潰そう。 いざ借りてきて見ると 「あれ、あんまり面白くないな」 そう思った。好きなものだったのに。 こんな風に何をするにも何かが足りない。 楽しくない。 友達と遊んでいるのとは違う何か。 それに気付くのは少し先の話。 バイトでお金を稼いでは、友人の家で一緒に酒を飲んでは記憶にま

          僕の距離

          「ぷはー!やっぱり仕事終わりのお酒は最高ですな~」 こんな親父みたいな事を言いながら、目先の枝豆に手を伸ばすのは幼なじみのハルカ。 今日も暗いトンネルを歩くような途方もない仕事をこなし、それがやっと報われる時間が来た。 ハルカとは、小学校から高校まで近所に住んでいたので、大人になってからもたまにこうやって飲みに行ったりしている。 「小学時代の俺がハルカの今の姿みたら絶句するだろうな笑」 「なんだと~、この大人っぽい私に一目惚れするに決まってるでしょ~」 「ある意味

          もう二度と

          僕は今日から高校二年生。 中学校ではおとなしくクラスの中心に立ったり、周りを盛り上げる感じではなかった僕も高校デビューを果たしとても楽しい1年を過ごした。 部活はサッカー部。県のユースにも呼ばれて調子もいい。 将来の夢であるサッカー選手も夢じゃなくなってきた。 人生最高潮だ。 去年は部活に全力で恋愛する暇もなかったから、今年は彼女ほしいな~。 そう思いながら新しい教室に向かう。 教室の前がざわざわしている。 新学期早々なんだ?なんかやらかしたのか? 少し駆け

          伝わる鼓動

          赤信号で車のブレーキをゆっくり踏む。少し雨が強くなる。 「なんかこの曲、さっきの私たちに似てない?」 「そうかな?」 「もしかして...」 その言葉を遮って僕は彼女にキスをした。 「お先です、お疲れさまです。」 「お、今日は早いな。」 「はい、今日はちょっと仕事抜けてでも行かないといけない用がありまして...」 この言葉で何かを察したように上司は一言僕に 「決めてこい」 そう笑顔で言った。 僕は28歳サラリーマン。 仕事にも慣れてきて、自分にも余裕がで

          君の音で

          僕は17歳の高校生。 いたってどこにでもいる高校生の僕だ。 ピンポーン 家のインターホンがなった。 「おはよー」 眠い目を擦りながらそういう彼女は近所に住んでいる1個下の幼馴染み。 高校も一緒でこうやって学校に行く。 彼女とは実の兄妹のようでお互いの一番の理解者だと思っている。 1日の授業が終わり学校に帰る。 今日は家で彼女と二人で晩ご飯を食べる。 というのもお互いの両親は共働きで、毎週の週末はこんな風になる。 帰って夕食の準備をする。今日のご飯当番はぼ

          こうかい

          22歳春。 大学で気の合う仲間達と小さいながらも会社を設立した。 周りから冗談交じりに笑われたり、いじられたりする日々もあったがやっとここまでたどり着いた。 ここまではあくまで出港準備。 数々の困難が待ち受ける航海にでるわけだ。 今の仲間は五人。 それぞれ違う学部でそれぞれ強みを持った最高の仲間だ。 設立するときに五人で目標を立ててその目標にたどり着くまでの計画を立てた。航海の中でいえば「宝の地図」といったところだろうか。 自分の会社は、新事業に目をむけ人々が

          僕なら

          強い日差しが照りつける。アスファルトが陽炎を生むような日。 今は夏休みまっただ中。 僕は男女で遊んで夏休みを満喫していた。 今は高校二年生で高校にも慣れて受験までは少し時間があるから遊んでばかりだ。 今日も同級生と遊んでいた。 自分の親はなぜかは知らないが門限があって19時には帰ってくるように言われていた。 18時ごろになって友人達はカラオケに行くらしくどこの店に行くか話し合っていた。 この時間はいつももどかしく感じるわけだが決まりは決まりなので友人に別れを告げ

          10

          今日もいつも通りベッドの上で目を覚ます。 「ああ、またやっちまったよ」 起きたときには短針は12時を回り、照りつける日光がアスファルトに降り注いでいた。 いつもこうだ。前日の夜に明日は朝起きてあれをして、これをしようなどと計画を立てるものの一度として遂行できたためしがない。そのたびにちょっとした自己嫌悪に陥るのだ。 「バイトまで何しよう」 今はフリーターで一人暮らし。貧乏生活を送りながらも一応ミュージシャンの種(一生芽を出さないかもしれないのだが)だ。 そんな自分

          冷ます夜

          夜の冷気は昼の心の高鳴りを落ち着かせ、大人の自分へと姿を変える。 「懐かしいな、あの頃もこんな気持ちだったか」 そう思いながら街頭に照らされた自宅への帰路をなぞるように体を動かした。 そう、あれは2年前の大学にも慣れてきた頃のこと... 「タケル頼みがあるんだけど...聞いてくれない?」 「珍しいな、おまえが頼み事なんて。いつも世話になってるし、聞くよ。」 「さすが心の友よ。聞いてくれ。〇日に合コンがあってだな...一人足りないんだけどタケルに参加して欲しいんだよ

          私の世界

          私の日常はあの日から色づきはじめた。 私はこの春、高校に入学した新1年生。 不安で胸がいっぱいだった内気な自分にも友達ができて今ではホッとしている。 「そういえば部活決めた??」 「私は中学で弓道してたからそのまま弓道続けるかな~」 「でもやっぱりサッカー部のマネージャーとか憧れるよね~」 「私はまだ迷ってるかな。。。」 人前に出たり、運動したりすることが苦手な私は中学校では部活に入っていなかった。 高校でもあんまりこれといってやりたい部活があるわけではなかっ