僕なら

強い日差しが照りつける。アスファルトが陽炎を生むような日。

今は夏休みまっただ中。

僕は男女で遊んで夏休みを満喫していた。


今は高校二年生で高校にも慣れて受験までは少し時間があるから遊んでばかりだ。

今日も同級生と遊んでいた。

自分の親はなぜかは知らないが門限があって19時には帰ってくるように言われていた。

18時ごろになって友人達はカラオケに行くらしくどこの店に行くか話し合っていた。

この時間はいつももどかしく感じるわけだが決まりは決まりなので友人に別れを告げて帰路に立った。

自分には初恋の人がいた。

「いた」というのもその名の通り今は他の人と付き合っていて奥手な自分は身を引いた。というわけだ。

今は普段から冗談を言えるくらいの仲である。

今日は彼氏とのデートだったらしく、昨日からソワソワしていたみたいだ。

ピコンッ

携帯が鳴った。

「親からのLINEだろうか、まだ19時にはなっていないのに。」

そう思いながら携帯を取り出し画面を見ると彼女からのLINEだった。

内容を見てみると

「明日話せないかな?」

その文字。少しドキッとしてしまう自分を押し殺して変身する。

「いいけど、どうしたの?」

「すこし相談があって」

「分かった、午後は予定あるから午前でいいかな?」

「うん、ありがとう」


いつも絵文字をつけている彼女にしては質素な文で違和感を感じたが、彼女に会える嬉しさが勝ってしまう自分がいた。


次の日。

近くのカフェに待ち合わせし、彼女が来てから店に入った。

角の席に座り向かい合った。

彼女の目は少し腫れていてそれをカモフラージュするように二つに分けた髪が上に乗っかっていた。

「話って何かな?」

「うん、昨日のことで少し話したくて」

デートのことか...と少し気を落としていると彼女は昨日のことを思い出して少し涙目になっていた。

それから彼女は語り出した。

彼女は昨日のデートで彼氏さんと喧嘩してしまったそうで落ち込んでるようだ。

恋愛経験の少ない自分が何か言えることもないと思っている間に時間だけが過ぎていく。

どんよりしている空気に息が詰まりそうになる。

何か解決策はないだろうか、と脳をフル回転させるが何も浮かばない。


あっという間に正午前になる。

この沈黙を彼女が破った。

「ありがとう、話聞いてもらって少しは楽になった、ごめんね、こんな話聞いてくれて」

そう言って席を立った。

会計を済ませ、彼女は来た道を戻っていく。


「待って!」

彼女の手を引く。

「このあと何か用事ある?」

「ないけど...」

「ついてきて」

僕は彼女の手を引いて午後の予定へ向かった。

昨日とは違うメンバーで今日こそは昨日のリベンジという気持ちでカラオケに来た。

今日遊ぶメンバーは彼女とも仲の良い友達ばかりだ。

「すこし付き合ってよ、途中で帰ってもいいから」

「うん、わかった」

そういって僕らはカラオケに入っていった。


みんながどんどんテンションが上がる曲を入れていく。

僕はあの曲を入れた。

彼女は友人と話していた。

友人の曲はタンバリンで盛りあげ、合いの手を入れる。その繰り返し。

いよいよ、僕の番だ。

今日のメンバーとはよくカラオケに行くから、いつも通り聞いてくれる。

でも今日の歌は特別。彼女がいるから。


友人から歌い終わると決まって好きな人いないのかから始まって恋バナに発展するのが定番だ。

いつもはぐらかしてその場を切り抜けるのだが、言ってしまおうか。

そんな心の悪魔がささやくなか歌が始まる。


普段なら恥ずかしくてこんな言葉言えない。

他人の歌に乗せてしか。

伝わるかな、この思い。

伝わらなくても、いいか。

こんなに願うのは欲張りかな。

でもこれでこの想いともさよならしよう。

心を込めて歌った。


「大好きだ」

「誰より味方でいるのに」

「本気と捉えればいいのに」

「僕に寄りかかればいいのに」


いいのに / sumika


読んで頂きありがとうございました。

書きながら伝わらない主人公の思いに胸が痛くなりました。皆さんはどんな青春を送ってきましたか?この作品で少しでも思い出せたらいいなと思います。

あっという間に8作目になります。聴いただけでここまでイメージが湧く曲を作っているsumikaがとても好きです。

学校も始まり、レポートの合間に書いているため、公開の日もまばらですが学業に支障がでないように書いていきたいと思います。

曲のリクエストや物語の感想などお待ちしております。

最後になりますが、これからもよろしくお願いします。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?