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すべての祈る人のための教会、その空間から生まれたフェルドマンの音楽『ロスコ・チャペル』

今回は20世紀アメリカの美術と音楽について書いています。画家マーク・ロスコは「観念」の絵画を描くといわれた抽象画の先駆者。アメリカ・ヒューストンにある、「すべての祈る人のための教会」のための壁画・建築デザインを依頼されたロスコは、その完成披露を見ることなく自らこの世を去りました。

完成した教会はロスコ・チャペルと名付けられ、ロスコによる、静かながらも神秘的なパワーを持つ壁画が14枚飾られています。どこまでもミニマムでシンプルな八角形の教会と、宗教に関係なく、祈りに訪れた人みんなを包み込むロスコの静かな色彩。

同時代、ジョン・ケージに導かれアメリカにおける前衛的な音楽シーンをけん引していた作曲家モートン・フェルドマンは、ロスコの友人であり、彼の死後その教会のための音楽制作を頼まれることになります。

出来上がった音楽『ロスコ・チャペル』は、混声合唱とヴィブラフォンなどの打楽器やチェレスタ、ヴィオラなどのための抽象的な作品です。ひとつひとつの音が空間に放たれ、控えめに絡み合う音たち。それはフェルドマンによるロスコへの追悼の音楽でもありました。

ロスコが描き続けた抽象画とは…フェルドマンはそのチャペルをどのように音で描いたのか…。二人の表現はヨーロッパの伝統美術・音楽とは真反対でした。そして、その解釈は聴く人見る人にゆだねられています。

ロスコ・チャペルと抽象の世界をぜひお楽しみください。

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