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休職五週目 | 散歩人(んちゅ)編

体力も戻ってきたので、おでけけを解禁した五週目。さらなる体力の飛躍を目指して"歩きまくる"ことを目標に、色んなところへでかけてみた。少し暖かくなってきてお散歩日和だったので、今が休職ベストシーズンかもしれない。寒いと家に篭りがちになるし、暑いと焼けちゃうし、本格的な春は花粉がしんどいしね。休職おすすめスポット(都内) の紹介と、歩いた距離の記録もかねて、訪れた場所を書き連ねてみる。



おかわな器に出会う散歩 (かっぱ橋道具街)

日曜日、彼とかっぱ橋道具街へ行った。浅草と上野の間に位置する、古くからの台所道具のお店が連なる商店街だ。とくにお目当てはなかったが、ふたりとも食器や道具を見るのは好きなので (こういう好みが似ているのはとっても便利でありがたい)、お散歩がてら行ってみようということになった。

まずは浅草でランチ。行きたかった洋食屋さんが100分待ちというビックサンダーマウンテンのような行列っぷりだったので、途中で見かけた別の洋食屋さんに入ることにした。頼んで5分くらいという猛スピードで出てきたビーフシチューオムライスは、給食のような優しくて柔らかいケチャップライスにとろとろな卵がかかっていて、ビーフシチューは酸味のきいた本格的な味で、ペロリと美味しくいただいた。

浅草じゅらくのビーフシチューオムライス

食べ終わったら、腹ごなしも兼ねて目的地まで歩く。ここからがかっぱ橋道具街ですよ〜といった入口っぽい交差点に着くと、お店からはみ出して通りにまで食器が並べられた店舗がお出迎えしてくれた。所狭しと並べられた様々な形の食器たちが織りなす、ちょっとした非日常空間にテンションが上がる。お気に入りの柄や形を目で探すのが楽しかった。デザインの好みに関しては私と彼とで異なるので、互いの「これかわいい!」には「そうだね〜あなた好きそうだね〜」と曖昧な相槌を打ちながら器を見て回る。

中でも面白かったのは、製菓道具を扱うお店。大量のクッキー型が螺旋階段沿いの壁一面に展開されていて、ちょっとしたアートスポットになっていた。私が気に入った歯の形のものと、彼が気に入ったギター型のものは、どちらも在庫切れで残念だった。シェル型の本格的なマドレーヌ型も欲しかったが、無収入の私にはちょっと躊躇してしまうお値段だったので断念。

馬嶋屋菓子道具店のクッキー型タワー

業務用の道具街なので、世界の様々なところで見かける「こんなんどこに売ってんねん」がたくさん詰まっているのも面白い。人間が入れるくらいでっかい寸胴とか、食堂で見かけるなんとも言えない薄いブルー色の食器とか、チョコに絵柄を写すシートとか。日曜日なのでやっていないお店も多かったが、それでも充分な見応えだったし、日曜日なのでとにかく人が多くて、良い人混みリハビリテーションになった。巻き簀を買ったので、キンパを作ってみようと思う。

この日はこの後、別の用事で上野付近を歩いたのもあって、17,434歩、12.1kmの長尺お散歩でした。足がマッチョになる。



本と過ごす散歩 (武蔵野プレイスから吉祥寺へ)


休職してから、めちゃくちゃに本を読むようになった。そして、自分が本を好きだったこと、本に囲まれた空間で過ごす時間が好きだったこと、たくさん並んだ背表紙を目でなぞって世界が広いのを感じるのが好きだったことなどを思い出した。

休みをもらってからのしばらくは遠くへ出かける体力もなかったので、新聞を読みながらうたた寝しているお爺さんたちに混じって、近所の図書館で時間を過ごすことが多かった。東京は図書館がたくさんあってありがたい。せっかく税金を払うのなら、公共の施設が充実した場所に住むのが良いよねと実感する。そして体力が戻ってきた今、ちょっと遠くまで足を運んで、より居心地のよい図書館や書店を探し歩いてみようと思いついた。

武蔵野プレイスという武蔵野市の図書館は、内観が新しく、カフェも併設されていて、なにより丸っこくて可愛らしい外観に惹かれて行ってみようと思った。三鷹や吉祥寺が近く、お散歩にもちょうど良さそうだ。調べると、吉祥寺までの道のりに古本屋がいくつかある。本にまみれるお散歩プロジェクト第一弾だ。

武蔵野プレイス

コーヒーがおいしくて、木の温もりが感じられる空間で、蔵書は多い方ではないが雑誌や趣味本が多く揃っていて、自由な時間をゆっくり過ごすのにぴったりだった。週末は混むようだが、平日のお昼過ぎまでは座る場所も充分にあったので、平日を暇する休職人 (んちゅ) にはおすすめのスポットだ。カフェのランチプレートも、数々のデリサラダとふかふかの丸パンが美味しかった。

ランチを済ませ、旅雑誌を眺めたりして武蔵野プレイスを満喫した後は、古本屋に立ち寄りながら吉祥寺まで歩いた。文庫本コーナーの著者とタイトルから成る文字列にじっくり目を通して、好きな作家のものや気になるタイトルのものを手にとる。この日は、久しぶりに読みたくなったさくらももこのエッセイ本と、昔読んで良かったけれど手放してしまっていた星野源のエッセイ本と、大好きな江國香織さんの本をお迎えした。

古本 水中書店
古書 防波堤

言葉になおりにくいけど、古本屋に流れる、止まっているかのようにゆったりとした、外の世界とは断絶されたような、紙と文字と茶色だけの世界に流れる時間が好きだ。途中、北欧スタイルの雑貨屋さんにも寄ったら、マリメッコのマグが半額になっていて、とても連れて帰りたかったけど無収入なので我慢した。

この日は13,262歩、8.4kmのお散歩。知らない街を歩くのは、気分が良い。入念にストレッチをしてから眠った。


警察だらけの散歩 (赤坂迎賓館ほか)


木曜日、兼ねてから見たいと思っていたハリーポッターの舞台を鑑賞することに決めていた。魔法とヒューマンドラマを好む自分にとってハリーポッターはどんぴしゃな作品であり、数年に一度は小説を読み直す好き具合である。舞台鑑賞の心得は何も持ち合わせていなかったが、あっちが舞台をやってくれるのでこっちはお金払って席に座ってりゃ良いってもんだろうと、何故だかちょっと緊張する心持ちを落ち着かせながらチケットを買った。

舞台の会場は赤坂。せっかくなので近くのカフェに朝から籠もろうと思いGoogle MAPを開くと、前々から行きたかったフレンチトーストが有名なベーカリーカフェが近くにあった。近くといっても徒歩45分くらいの距離なのだが、近頃歩くことを生業としている身としては十分にお散歩圏内。途中に赤坂迎賓館という良さげな館も位置しているので、午前中にフレンチトースト&徒歩、午後に着席&ハリポタ舞台鑑賞というスケジュールを立てた。

市ヶ谷のベーカリーカフェ No.4
フレンチトーストと塩ホイップ

平日の朝9時過ぎに着いたが、すでに店内は満席でお待ち11組。そばに広々としたベンチがあったので本 (江國香織さんの神様のボート、良い) を読んで時間を過ごし、45分程で私の順番が来た。席に運ばれてきたフレンチトーストはふわふわのしゅわしゅわで、優しい甘さにシナモンが効いていて、香ばしい小麦の香りもところどころに感じるとっても美味しいものだった。脇についていた塩ホイップがまた良くて、これをつければいくらでも食べられる。あまじょっぱが好きな自分にとってはナイスな朝ごはんだった。

食べ終わって少し読書をして (椅子がガッタガタで固かったので長居はできなかった)、腹ごなしも兼ねて赤坂迎賓館まで歩く。庭園への入場には300円かかるとのことだったが、せっかく来たので拝んでやろうということで入り口へ向かう。チケットを買う前に、荷物検査があった。普段は国の偉い人が外国の偉い人をもてなす場なので、そりゃあ危険があってはならない、もちろん協力しましょうということで、警察がたくさんいる状況にちょっとわくつきながらルートを進む。

荷物をかごに入れてどうぞ見てくださいと差し出すと、警察官は私の水筒を指差して「お飲み物、飲んでください」と指示をした。あ、持ち込めないからここで全部飲んでしまえってことか、と解釈した私が一気飲みを披露しようとしたところで、「試飲検査ですので一口で大丈夫です」と、さすがは警察官、一気飲みしようとする女を前にしても冷静な口ぶりで教えてくれた。世の中の知らない仕組みを新しく知れてわくついた。

噴水のグリフォンがかっこよかった
でかくて整っていた
門の飾りもかわいい

木々の形が優等生のごとく綺麗で、屋根などにはかっこいい彫刻が施されていて、空気が澄んで整っていて、厳かな館だった。厳かな館を、無邪気にじゃりじゃりと (一面の深めの砂利道は攻めにくくするためだろうと思いながら) 歩き回るのが楽しかった。手入れされた花壇の黄色いパンジーを眺めていたら、反対側の花壇では人間が手作業で植えている光景が目に入ってきて、世の中の仕組みを知れてわくついた。

ほんで本日のメインイベント、赤坂迎賓館から30分ほど坂をUP&DOWNしたところにある赤坂ACTシアターまで歩き (あったかい日だったのにダウン着てたので汗だく)、見晴らしの良い2階の後方席からハリポタ舞台の鑑賞をした。魔法が見事な演出で表現されていて胸が高鳴ったし、登場人物の特徴も細かく再現されていて原作ファンとして嬉しかったし、舞台の仕掛け?が豊富で『なにそれすごい〜!!』とたくさん思いながら楽しんだ。あと、舞台ってめちゃくちゃ長いんだね、4時間もあった。個人的には嘆きのマートルがかわいくって好きだった。

お気に入りアイテム タイムターナー

夢から覚めたようなふわふわとした気分で駅へ向かう途中、立派そうな神社があったので立ち寄ってみた。連なる赤い鳥居を抜けて本殿に着くと、空には飛行機雲がかかっていて、なんか良いことありそうな雰囲気だった。

飛行機雲のかかる日枝神社

朝から一日かけて、麹町、永田町、赤坂あたりを歩き回ったのだけど、この地帯めちゃくちゃ警察が多かった。道端に警察が歩きまくっているし、長い棒を持った屈強そうなポリスメンが門に構えている建造物が至る所にある。それも含めて面白いおでかけだった。東京には私の知らない土地や文化がまだまだたくさんある。


***

最近は、休むということにずいぶん慣れてきた。休んでいることの捉えられ方が、特別なことから日常へと変化してきている。あと数週間で復職したいと思っているので、満員電車に乗ってみたり、会社のそばまで行ってみたりを、そろそろ始めていきたい。考えただけでゲロ吐きそうだけど。

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