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”運命の恋人に会った者に他人の物語は必要がないんです”漫画『恋愛的瞬間』から学ぶ幸福と恋愛

noteでは連続投稿企画、おそらくわたしみたいなネタ切れに困っている人のためのネタ提供企画、が開催されており、そのお題の中に連休に読みたいマンガというものがあります。今日は1月8日。まだ連休中ですから、連休に読みたいマンガというお題は非常にタイムリーなもの、ということで漫画の紹介をします。

今回紹介する漫画は吉野朔実の『恋愛的瞬間』(全3巻)です。

わたしがこの漫画を知ったのは2019年、ハヤカワ五味さんのツイートからでした。

当時、恋愛に攻略本みたいなものがあるのか?! とにかく読んでみたい! と思い、取り寄せたことを覚えています。

この作品は別の方がnoteで紹介されているので、もしかするとご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

恋愛をしたいならこの漫画をぜひ読んでほしい、そんな本になっています。

とりあえずどういう本か知りたいと思うので1巻の裏表紙からあらすじを引用してきます。

森依四月(もりえ しがつ)は大学で恋愛心理学を教えている。
クリニックでバイトをしているハルタも彼の学生だ。
ハルタの愉快な仲間の撫子(なでしこ)、かしこ、遊馬(あすま)も森依のファンなので、遊馬に恋をしているハルタはそこがちょっと面白くない。
でも、自己分析によると森依には恋愛の才能がないらしい。
運命の恋人との出会いを夢見る者、自分の不幸を愛する男を必要とする女…
そんな風変わりな恋の患者が今日もカウンセリングにやってくる。

吉野朔実(2002) 恋愛的瞬間 2⃣

間違えて2巻のあらすじを書いてしまったので1巻を用意します汗

心理学者・森依四月(もりえ しがつ)の専門は「恋愛」である。
恋愛クリニックを営む彼は、恋に迷う人びとへのカウンセリングが仕事だ。
彼の持論は「人は幸福になる義務がある」。
そしてもうひとつ、「すべての幸福は恋愛的瞬間から始まる」。
1杯のウォッカ片手のカウンセリングが彼のスタイル。
とりどりの恋とりどりの悩みにクールなアドバイス、全20章の恋愛心理学講座!

吉野朔実(2002) 恋愛的瞬間 1⃣

(注:危ないので飲酒しながらカウンセリングをやってはいけません)

わたしは、この「人は幸福になる義務がある」という言葉がとても好きだったりします。名言が飛び出してくるので、読んでいてとても面白いですし、街で見かけるカップルがしている行為は恋愛なのかどうか、とても考えさせられます。恋愛的瞬間では、友情と恋愛の違いについても述べられています。

恋愛はあらゆる抵抗に打ち勝つ相思相愛の力
友情は相思相愛でありながら抵抗によって達成できない疑似恋愛関係

吉野朔実(2002) 恋愛的瞬間 2⃣

巷では男女に友情は成立するか? なんてことを議論されている方々が大勢いらっしゃいますが、恋愛的瞬間を読めば明らかですよね。

この漫画を読んでいて面白いと思った台詞がございまして、ご紹介します。

運命の恋人に会った者に他人の物語は必要がないんです

吉野朔実(2002) 恋愛的瞬間 1⃣

これを読んだときに、山田詠美の短編集『放課後の音符(キイノート)』に出てくる一節を思い出しました。

"Crystal Silence" にはこのような言葉があります。

絵の中にいる人間は、絵なんて描かないもんよ

山田詠美 "Crystal Silence"

この言葉を思い出し、恋愛の名手が同じことを言っている! と思ったのでした。ここが面白かったです。絵の中にいる人間が絵を描かないように、恋愛をしている人は恋愛をしているから恋愛について語らない、ということです。そう考えると恐ろしいものです。恋愛を頑張っていると思っている人は恋愛をしていないんですよね。そして、そう思っている人は自身が恋愛をしていないことに気づいていなければ、やっていることは恋愛ではなくて恋愛っぽいなにかでしかない、ということになります。

恋愛的瞬間は全部で3巻ですから紙で揃えても2,000円いかないと思うので、恋の悩みを持つ人や恋に興味がある人にはぜひ揃えていただきたい作品となっています。でも、この前本屋さんで2セット目を買おうと思って探したんですがどこを探しても見つからなかったんですよね…… 作者が8年前に亡くなっているので、もしかすると絶版になってしまったかもしれません。もしそうだとしても電子書籍ならあることを確認していますし、ブックオフのようなところで中古を買うこともできると思います。

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