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自分で作った飯は自分で食え 【脱コーポレートガバナンス後進国①】

シェフが自分の料理を味見しない。
そんな食べ物屋があるか?

経営者が自分の会社の株を持たない。
そんな会社があるか?


近年、日本ではしきりにESG投資が叫ばれている。
「G」= ガバナンスのことだが、最近は様々なルールで経営をがんじがらめにすることがブームのようだ。

でもコーポレートガバナンスには、もっと効果的で、シンプルで、コストが少ない方法がある。

■ 社長が自社の株を持つ ■

これだけだ。

これまで、米2000社、日3000社の10年分の財務データを見てきたが、米国企業と日本企業とを比較すると、その差に唖然とする。

ソースの正確性までチェックできず申し訳ないが、以下のサイトによれば、ROE・ROAともに日本はアメリカに水をあけられている。

私の調査の肌感覚でも、この情報に近いものを感じている。

米国:ROE22%、ROA7%
日本:ROE12%、ROA5%

参考:『世界各国のROEとROA比較』
https://ronaldread.blogspot.com/2018/06/world-stock-yield-spread20.html

これほどまでに資産効率に差が開く一因は、経営者が株主の目線に立てていないことにある。

経営者が自社の株を持っていないため、株主の立場に立って経営判断を下すことができない。会社が株主の所有物ということさえ理解していない経営者もいる。

経営者が身銭を切って自社の株を買えば、株主と利益を共有できる立場になる。同じ釜の飯を食うことで初めて、真に株主と同じ方向を向いた経営ができる。

このやり方は 信頼の原則 に基づくから、コストが安い。現行のコーポレートガバナンス制度は 不信の原則 に基づいており、社会全体が負担するコストが大きい。


日本のコーポレートガバナンス制度は過保護だ。
経営者の能力を信頼していない。

優秀な経営者の能力を株主利益向上のため、つまり社会の利益のために活かすような仕組みが必要だ。経営者が自発的にそのゴールを目指すように、経営者の前に適切な形でニンジンをぶら下げる必要がある。

これらの信念から、私が優良株を探す際には経営陣がある程度の株式数を保有している会社に優先的に投資している。

真にオーナーシップを持って経営をしてくれる経営者に自身の金を預けたいと思う。


今年に入ってようやく「PBR1倍割れ問題」が取り上げられるようになった。

日本企業には、まだまだ資本効率を高める余地がある。
日本企業は常に「カイゼン」を心がける勤勉な精神を持っている。

良いものを作ることだけに終始するのではなく、それを最小の資本で達成できるように考えることもまた経営者の仕事だ。

こうして、ROAを上げることが、真のESG経営につながる

この問題を、経営陣の自分ごととして捉えてもらうためには、まず、経営陣に自分の会社の株を買ってもらうべきだ。


[注釈]
ヘッダ画像:UnsplashAnton Nazaretianが撮影した写真

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