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アルプスを越えてスイスへ! ちょっとハードな自転車旅

アルプスと言えば、急しゅんで美しい山々。
「アルプスを自転車で、ってどういうこと?」
この記事は、そんなあなたに向けて書いています。

私が過去に参加した自転車ツアーを紹介するこのシリーズ。
今回は、フランスからスイスをアルプスでかけ抜ける自転車ツアーの紹介です。

自転車旅行は自由に個人でやりたい、というかた。
相手は山です。
現地に経験豊富な知り合いがいるならともかく、情報不足はやっぱり危険。
でもツアーなら、自転車向けのコースの情報を共有してもらえるし、テントや寝袋みたいな重たい荷物も預かってくれて快適。
とはいえ、“ツアーだから、ぜ~んぶおまかせ“と安易に飛び込んじゃうのはさすがに危険です。
この記事でしっかり要点だけでもチェックしましょう。

読んでいただいた後で、「挑戦してみようかな」
そんな気持ちになってもらえたらうれしいです。

まずはフレンチアルプス攻略!

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出典元:https://pedalers.travel/index.htm

前回の記事から引き続き、CYCLEVENTS による、フランス・スイス周遊の自転車ツアーの紹介です。

ツアー名:CYCLEVENTS
期間:6月20日から8月2日
予算:日本円で50万ほど(飛行機代は含まれません。念のため)
公式サイト:http://www.cyclevents.com (現在はhttps://pedalers.travel/index.htm
現在は会社名が変わり、このツアーは取り扱いはありません。
しかし、似たようなツアーはフランスにはいくつも存在します。
この記事を参考に、あなたに合ったツアーを探してみてください。

全行程43日ですが3週目にまずはフランスからアルプスに入り、スイスへと抜けていく、高低差2,000m級のコースが始まってきます。

高低差1,500~2,000! 難易度は少々高め!

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出典元:Google Map
アルプスのフランス側の入り口は、CYCLEVENTSでは“アントルヴォー”。
Tour de Franceでも使われるコースで、2,000m級の山々が、毎日あなたの前にたちはだかります。
一山登るんでもかなりな冒険。
しかし、CYCLEVENTSでは連日最低2山がプランニングされてるのです、キツイ。

しかしツアーを通してもっとも人気があるのもこのフレンチアルプスコース。
なぜなら2日間にわたってTour de Franceを観戦できちゃうからなんです。
一流選手たちが通過した翌日、CYCLEVENTSもおんなじコースを走るんですよ、なんてぜいたくな。
観戦の模様はこの記事の最後のほうにありますので、ぜひ。

ロードバイクで参加がお勧め

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出典元 https://www.amazon.co.jp/dp/B08FR2SG53/ref=twister_B07MM3YSYV

山越えのハードなコースを少しでも軽快に。
西ヨーロッパの自転車旅ならどこでも、ロードバイクをおすすめします。
私自身はマウンテンバイクでの参加でしたが、ほとんどの参加者はロードバイクでした。
ゴールする時間も1~2時間違います。

気温差に注意! ふもとは真夏でも、頂上にはまだ雪が。

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CYCLEVENTSの開催時期は6月20日から8月2日。
季節は初夏にあたりますが、日中は30度をゆうに超え、非常に暑いです。
しかし山頂付近は、まだ雪があちこちに残ってるほどの気温。
毎日2山だと、一日のうちに夏と冬の気温を2回ずつ経験してるようなもので、気をつけてないとすぐに体調を崩します。

また、登った直後はどんな天気でもだいたい汗だくで暑いんですが、問題はダウンヒル。
特に雨天でのダウンヒルは、相当寒い。

なにせダウンヒル中はペダルをこぎませんよね。
同じ姿勢のまま、ひたすら冷たい雨と向かい風。
体温がどんどん奪われます。
ぜひ、はっ水性のある防寒着をお忘れなく、そして体調管理に気をつけましょう。

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出典元:https://workman.jp/shop/g/g2300044010415/

最難関! スイスアルプスへ突入!

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出典元:Google Map

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スイスに入ると、コースに立ちはだかる山は、どれも2,200~2,700m級。
とはいえもともと平均標高が約1,300mという国土。
そのため毎日のコースの高低差は1,000mほどです。
しかし、「もう山道も慣れたでしょう」とばかりに、一日3山、4山なんて日もあるのがキツイところ。
ちなみにスイスには4,000m級の山が多数ありますが、さすがにコースには含まれていませんので、ご安心を。

さて一日3山、4山もあると、もう一日がかりです。
8時前に出発しても、ゴールできるのは17時、18時なんて日もザラです。
ランチ休憩だけでは足りない場合は、カフェ休憩もとりましょう。

スイスは物価が高めですので、お金の使いすぎには要注意。
ざっくりですが、なんでも全体的に日本や他のEU諸国より2割ほど高め、です。

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出典元:https://www.swissinfo.ch/jpn/business/%E7%89%A9%E4%BE%A1%E3%81%AE%E9%AB%98%E3%81%84%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9_%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AF%EF%BC%93%EF%BC%90%E6%AD%B3%E7%8B%AC%E8%BA%AB%E3%81%A7%E6%9C%88%E5%8F%8E%EF%BC%96%EF%BC%99%E4%B8%87%E5%86%86-%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AB%E5%A4%A2%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AA%E6%9A%AE%E3%82%89%E3%81%97-/43538560

日本はデフレ真っ最中ですし、20万あればなんとかひと月暮らせますよね。
しかしスイスでは、独身でも70万くらいの給与水準がスタンダードと言われています。
それは税金、保険料、そして物価が高いからです。
なぜか。
物価にしぼってお話しすると、理由はいくつかありますが、もっともよく言われるのが、スイスでは自国の産業を手厚く保護しているからです。
スーパーに行けば、食品や日用品にメイドインスイスが多いことにきっと気が付きますよ。

体調管理に気をつけて 特に風邪には要注意

実際私はツアー中ずっと治っては風邪をひき、また治っては…の繰り返しでした。
身体は丈夫なほうなので、症状はせいぜい鼻水がでるな、というのと、頭痛程度ではありました。
でも体調不良での自転車での2山3山登山、本っ当にキツイ。
若かったのでやっつけ仕事で完走できはしましたが、常に体調管理のことで頭がいっぱいでした。

この体調じゃ無理だな、と感じたらすぐツアー引率者に相談しましょう。
荷物と一緒にトラックで次のキャンプ地まで運んでもらえます。

キャンプ場が山頂のこともあり、そうなると朝晩はぐっと冷え込みます。
そうなると絶対朝起きるとテントが朝つゆでびしょぬれになっちゃうので、イヤでしたね。
ぬれたテントって、くっついちゃったりして、たたむの大変なんですよ。
ツアーも中盤になってくるとテントの防水性もあやしくなってきますので、防水スプレーなどでちょくちょくメンテナンスしましょう。

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山の天気は変わりやすい そしてスイスの夏は雨が多い

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日本でも、昼間はピーカンだったのに、どこからともなく暗い雨雲が現れて、そのうちゲリラ豪雨発生、なんてことがありますよね。
特に山場は天気が変わりやすい。
スイスもおんなじで、“ヨーロッパの夏はカラッとしている”とは言いますが、私が参加した時も1日おきくらいのペースでザザッと降られました。

特に山間部は雨雲が現れ始めると、不安になるほどあたりが暗くなってきます。
ゲリラ豪雨や夕立と違い、いちど降り始めるとずっと降りつづけるうえ、雷雨になるパターンが多いスイスアルプス。
「ぎゃー、大雨。まぁカフェで休憩しながら止むのを待とう」
なんてことをしてたらいつまでもカフェで待つことになり、ゴールできなくなってしまいます。
雨雲が見えてきたらむしろスピードアップ、とにかく前進しましょう。

アブがデカい! 刺されたらイタイ

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標高1,000m付近になると、どこからともなくやってくる虫、アブ。
パッと見はハエにすごくよく似てるんですが、スイスの、というかアルプスのアブは、ありえないほどデカいんです。
大人の小指ほどの大きさもあり、何より恐怖なのが、口から飛び出ている画びょうのような針。

のぼり坂をえっちらおっちらこいでると、どこからともなくやってきて、集団で私たちをおそってくるからたまらない。
しかも、刺されると痛いんです。
見た目どおり、画びょうで刺されたような痛さです。

アブは刺したあと出てくる血をなめるんだそうで、ひどいかゆみに何日も悩まされます。
とはいえ、刺されたら痛いしあまりに虫がブキミすぎて私はすぐに払いのけていたので、吸血まではされなかったようです。
虫よけスプレーでは一時的にはその場を去ってくれますが、気がつくとまた10匹20匹単位でまとわりついてくる、その繰り返し。
根本的な対策は、標高1,300mくらいになるとウソのようにいなくなるので、早いこと登ってその場を去るに限ります。

本当は注意喚起のためにもアブの画像を載せるべきなんでしょうが、私はもう見るのもイヤなので、気になるかたはこちらのサイトをごらんください。
閲覧、注意。
https://tsurihack.com/4352

さすがスイス、水がおいしい!

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道中では、たびたび湧水を目にします。
もちろん、飲んでOK。
わざわざ車で汲みに来る人もいるそうで、味はevian、Volvicそのもの。
ぜひ、おためしを。

あると便利!  レンタルWiFi

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アルプスの山々の山頂はだいたい観光地やスキー場になっていて、WiFiも完備されてます。
ただ、問題は道中。
「道に迷ってしまった! Googleマップで現在地を調べてみよう」
なんてスマホからアクセスしてしまうと、あとになって通信費が高額で請求されてあせることになります。

でも、せっかく来たスイス。
撮った写真で「スイスなう」、やってみたいですよね。
私がお勧めするのはレンタルWiFiです。
何社かありますが、私がよく見ている価格比較サイトをご紹介します、ご参考までに。
https://www.travelbook.co.jp/wifi/switzerland

Tour de France 観戦記 迫力に圧倒!

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フランス側のアルプスを走ってた頃、開催中だったTour de Franceに遭遇。
なんと運よく2回も観戦できました。
中でも至近距離で観戦で来たのはラルプ・デュエズ。
ラルプ・デュエズはTour de Franceのコースの中では“看板”ともいえる名所です。

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沿道での観戦はもちろんタダ、行かないわけにはいきません。
見物人はもうあふれんばかりで、当然みんなラクして見たいので、ふもとのほうからどんどん埋まっていきます。
私たちCYCLEVENTSメンバーももちろん早起きしてくり出しました。
が、もうそうとう頂上付近まで行かないとダメなほど、すでに人でいっぱい。

道路はこれからTour de Franceの選手たちが通過するための準備、路面の装飾や垂れ幕、人員整備で超がつくくらいのごった返し状態。
とても自分たちの自転車を出して登るというわけにはいきません。
標高は1,850m。
もちろん歩いて登るのです。

[H3]落しものはもってのほか 道路保全に気をつかおう
いくら観戦したいとはいえ、真夏の1,850m登山は疲れます。
汗だくにもなるし、そもそも頂上付近まで登らされる羽目になるとは予想しておらず、軽装で来てしまった私たち。
メンバーの一人が水分補給用に出店でびんのコーラを買ってくれ、みんなでそれを片手に登山開始。
しかし途中でコーラのびんを落として割ってしまった人がいました。

すると周囲から突然わき上がる大ブーイング。
割れたかけらで、選手たちの自転車がパンクしたらどうしてくれるんだ、というわけです。
いそいで私たちは全員しゃがみこみ、わずかなかけらさえ残さないよう全てを拾い上げ、ごみ箱もないのでポケットにつっこんでその場を後にしました。

いよいよ選手たちが到着!  興奮しすぎの観客たち

日本のマラソン大会を思い浮かべてください。
どんなに観客が大勢いても、歩道からはみ出すことなく応援している姿のイメージです。
どうしてもカメラに映りたい人が半歩くらいはみ出すことがあっても、すぐに白バイに見つかって注意され、大人しく引っ込みますよね。

ところがTour de Franceでは、観客たちは可能なかぎり前へ前へと出ようとします。

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デッドヒートを繰り広げる選手たちは、時には7~8台横並びでかなりのスピードで山を登ってきます。
それなのに、
「あの観客たちは、まさか選手にタッチしたいんだろうか」
というくらいギリッギリまで前に出てきて応援するのです。

絶対はしっこの選手はさわられまくりのたたかれまくりだと思うんですが、何度白バイや警備員が注意しても、その場では引っ込むもののすぐに前にせり出してくるのです。
さっき注意されたコーラのびんよりこっちのほうが、よっぽどブーイングものなんじゃないかと思ったものでした。

とはいえやっぱり目の前で観戦したTour de Franceは最高。
当時の優勝者は、アメリカのアームストロング選手でした。
(しかし残念ながらドーピング違反で後年はく奪されています)

私の失敗談 水分補給は適切に!

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最後に、私の失敗談をご紹介します。
私はCYCLEVENTSのツアーの初日にいきなり倒れました。
おそらくは脱水症状。

時差ぼけで寝坊してしまい、焦った私は、水とうを持たずに出発してしまったのです。
仲間より一足も二足も遅れたことで気持ちに余裕がなかったんですね。
「まぁ途中でコンビニとか自販機で買えばいいか」
と思ってたんですが、道中まったくコンビニも自販機もナシ。

何度か引率者に言うチャンスはありました。
でも、初日から“忘れものをした”というのが恥ずかしすぎて。
そのまま水分ナシで、しかも遅れを取り戻すため昼食もとらずに走り続けてしまったのです。

しかし午後の暑さで参ってしまい、休憩のつもりで立ち止まった私。
手足の感覚が、長時間正座でもしてたあとのように全くないことに気がつきました。
「これは一体…」
そう思ったのもつかの間、立っていられない貧血に見まわれてすわりこみ、のはずがそのまま倒れてしまったのです。

運よく、私たちの荷物を運ぶトラックに発見してもらえたようで、気がついたのはゴールのキャンプ場でした。
水やジュースをたらふく飲んだらあっさり回復したので、みなさんも水分補給にはじゅうぶんお気をつけください。

まとめ

あこがれのスイス。
美しい山々を、まさか自転車でめぐれるとは。
本当に夢のような43日間でした。

●まずはフレンチアルプス攻略!
アルプス走破に欠かせない、天候や気温についての情報をご紹介しました。
ツアー名:CYCLEVENTS
日付:6月20日から8月2日
料金:日本円で60万ほど
http://www.cyclevents.com (https://pedalers.travel/index.htm
・高低差1,500~2,000! 難易度は少々高め!
・気温差に注意! ふもとは真夏でも、頂上にはまだ雪が。

●最難関! スイスアルプスへ突入!
スイスを自転車で走る際の注意点をご紹介しました。
・体調管理に気をつけて 特に風邪には要注意
・山の天気は変わりやすい そしてスイスの夏は雨が多い
・アブがデカい、刺されたらイタイ
・あると便利 レンタルWiFi

●Tour de France 観戦記 迫力に圧倒!
道中観戦した、Tour de Franceのもようと注意点をご紹介しました。
・落しものはもってのほか 道路保全に気を遣おう
・いよいよ選手たちが到着 興奮しすぎの観客たち

●私の失敗談 水分補給は適切に
スポーツで水分補給が大事なのは当たり前なのですが、私の失敗談が参考になればとご紹介しました。

人生は短い。
海外自転車ツアーは、あなたの人生を、より彩り豊かにしてくれることまちがいなしです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
では、また、いつか。

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