プロ野球監督の去就をチェックしてみました

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昨日、カープ佐々岡監督の続投が発表され、セ、パ両リーグの監督の去就がほぼ決まりました。
結果的には続投する監督が9人で退任が3人。それを一覧してみたのが下記の表です。

 1位 ヤクルト 高 津 続投 ● ●◎
 2位 阪  神 矢 野 続投 ○○○
 3位 巨  人 原   続投 ◎◎○
 4位 広  島 佐々岡 続投  ●●
 5位 中  日 与 田 退任 ●○●
 6位 横  浜 三 浦 続投   ●

 1位 オリックス  中島 続投 ●●◎
 2位 ロッテ    井口 続投 ●○○
 3位 楽 天    石井 続投   ●
 4位 ソフトバンク 工藤 退任 ○◎●
 5位 西 武    辻  続投 ◎○●
 6位 日ハム    栗山 退任 ●●●
  ❋末尾はここ3年間の成績
   ◎はリーグ優勝、○はAクラス、●はBクラス

退任することになった監督は、すべて今シーズンの成績がBクラスとなったチームの監督でした。
一般的に監督の評価が「クライマックスシリーズへの出場資格であるAクラス入りが出来るかどうか」が基準となっていることから、これはひとつの見識の反映といえるでしょう。

とはいえ、個別に検証してみると事情はいろいろで、それぞれのチームのファンには悲喜こもごもといったところでしょう。
ともに前年の最下位からリーグ優勝へと導いたスワローズの高津監督、バファローズの中嶋監督の続投が普通に歓迎されたのは当然としても、ほかの監督の去就については複雑な心境が交錯しているのではないでしょうか。

例えばパ・リーグ。
こちらはBクラスとなった3人のうち、ふたりが退任することになりました。
そのうち、ホークスの工藤監督については過去の偉大な実績を考えれば「何も一年だけの不振で辞めなくても」といった声は少なくなかったでしょうし、一方ではその将としての潔さに賞賛の声もあがったことでしょう。

もうひとりの退任監督の栗山監督は、これはもうここ最近の成績を見れば異論なしといったところでしょう。それよりも後任監督が新庄剛志氏になったことにだれもが驚いたのではないでしょうか。
監督の人選しだいでチームの低迷、人気の翳りを一気に払拭できることを、ファイターズのこの人事は新ためて教えてもくれました。

残るライオンズの辻監督はBクラスでありながら続投となりました。これは「過去の実績」を見れば納得といったところでしょうか。

総括すれば、パ・リーグについては概ね道理にかなった人事だったといえそうです。

ただひとつ個人的に気になったのは、ゴールデンイーグルスの石井監督です。
Aクラスをキープしたのだから続投はありだろう、というのが一般的な受け止め方でしょうが…。
ぼくの記憶が正しければ、かれは就任時に「優勝するために監督になる」との覚悟を表明し、それが叶わなければすぐにでも身を引くようなこと語っていたはずで、その条件がクリアできないままの続投には思うところなきにしもあらずです。

さて、いっぽうのセ・リーグ。こちらは少しイビツな構図になりました。
Bクラス3チームのうち、なんとふたりの監督が続投となりました。

ひとりは最下位ベイスターズの三浦監督。かれは就任1年目なので、将来に期待の留任といったところ。
そしてもうひとりがカープの佐々岡監督。かれの続投が今回の去就でもっとも異例というか疑問が残りました。

かれは2年目。そのどちらもBクラス。退任という選択肢もあった思います。
かれも「将来に期待枠」でという見方もあるでしょう。しかしここ2年間のかれの采配をふり返るとBクラス監督からレベルアップしそうな進化というものが感じられず、正直なところ期待はできないと踏んでいるファンがほとんどでしょう。

交流戦で最下位。その後も低空飛行がつづいていた頃、カープファンの多くが「どうせBクラスならこのまま最下位でいてくれ」と願う声をあげていました。そうなれば、きっと解任されるだろう。あるいは、みずから身を引いてくれるだろう、そういう思いからのことでした。

ただカープの場合、「基本的に5年はやらせる」とオーナーが明言したこともあり、よほどのことがない限り続投は規定路線。強まるばかりのファンの退任要求を横目に、発表のタイミングをはかっていたため、ここまでずれ込んだというところでしょう。

その続投発表の形ばかりの〝セレモニー〟で鈴木球団本部長は、来シーズンも指揮を託す理由について若手の成長をあげていましたが、これが果たして指揮官の功績かどうかは疑問です。
また「2年間の采配を反省してやってほしい」と注文をつけてもいましたが、それこそ佐々岡監督の采配のようにその要請に勝利への熱意を感じることはできませんでした。

多くのカープファンには、この発表は「悲報」と捉えられたはずです。それが来シーズンになって、あれは「吉報」だったということになるのかどうか。
個人的には、ちょっと難しいような気がします。

   ❋—❋—❋

これは余談ですが、ジャイアンツの原監督についても、引っかかるところがありました。
シーズン後半になって、みっともないほどの失速をしたためにファンの間では退任を望む声が強くなっていたようです。
その失態が火を点けてのことでしょうが、そこに至るまでの中田翔選手の強引ともいえる獲得と強行起用。これが原監督の強権ぶりを露呈させたのが遠因になったのではないでしょうか。
かれの功績を鑑みるに、晩節が汚していくようで、少し気にはなっているところです。


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