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【小説】アルカナの守り人(23) 幕間

 畑へ近づくにつれ、先程よりも、子供たちの様子がはっきりと分かってくる。

 向かい合う子供たちの前には、ごろごろとした紫紺の実が積まれた山が二つ。
片方の山の方が僅かに高い。
 その高い方の山を指差して、少し背の高い、リーダー格の緋色の髪の少年が、目の前に立つ、大人しめの山吹色の髪の少年に対して、声を荒げていた。

「──正直に言えよ! ユベール。おまえ、絶対にズルしただろっ。」

「してないよ──。ぐすっ。僕は、何にもしてないっ」

 ユベールと呼ばれた山吹色の髪の少年は、泣きじゃくりながらも、はっきりと否定する。

「じゃぁ、なんで──」



「カヂクの実か──。懐かしいなぁ。」

 尚も追求しようとする緋色の髪の少年の言葉を遮るように、フウタは呑気な声で言った。

「──っ!」

 その声に、子供たちは時を止め、一斉にこちらを見る。
そして、子供たちの仲裁をしていた女性も、その声に気づき、振り返った。

「──あ、あら〜、フウタじゃないの〜。珍しいわね、こんな時期に来るなんて…って!」

 杏色の柔らかそうな髪を靡かせながら、のんびりと話していた女性だったが、フウタの隣に立つ、ヒカリの存在に気づいた瞬間、目の色をキラキラと輝かせながら、嬉々として、フウタに問いかける。

「あら、あららら〜。もしかして、もしかして、彼──」

「──あ。こちらは、依頼人のヒカリな。ミク姉──、期待させちゃって悪いけど、ただの、仕事の、依頼人だから! 」

「ええええええっ。何それ、つまらない〜」

 ヒカリをここに連れてくる時点で、こんな勘違い…──いや、これをネタに遊ばれることは、予想していたからな。

 ここは、早々に、ミク姉の妄想をぶった切った方がいいんだ。

 「──もう、お楽しみはこれからだっていうのに〜。 ほんと、からかい甲斐のない子ねぇ〜」

 ミクスは、早々に楽しみを奪われて、つまらなそうに肩をすくめる。
まるで、さぁ、これから楽しもうと思っていた新しいおもちゃを、目の前で取り上げられた子供みたいだ。





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