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亡き祖父が遺したアルバム

覗きに来てくださりありがとうございます。
こんにちは。こんばんは。
翠-sui-と申します。


私が3歳の時に亡くなった父方祖父のお話です。

祖父との思い出は殆ど記憶にありません。

私が唯一記憶に残っている祖父との思い出は、別れ際に祖父から「最後に抱っこさせて」とお願いされて、祖父に抱っこしてもらったことだけです。

ですが、この時に抱っこしてもらったのを最後に祖父は亡くなってしまったので、あの日抱っこしてもらった時の温もりも祖父の匂いも景色も今も全部覚えていますし、大切にしています。

すごく嬉しそうに、でもどこか名残惜しそうに抱きしめてくれたこと、まだ2歳か3歳頃の幼かった私ですが、抱っこされながら祖父からの愛情はちゃんと感じていました。

飛行機で2時間ほどかかる遠方に住んでいた祖父。

私が祖父に会ったのは赤ちゃんの頃と2歳か3歳の頃に会った時の2回だけ。

そのたった2回のうちの1回、本当にたった数分もないであろう抱っこしてもらった時の記憶が今も残っていること、本当に奇跡に近いし、残っていて良かったと思っていますし、これから先もこの記憶は失いたくないと思っています。

先日、母が祖父が遺したアルバムを見つけたと言って見せてくれました。

とても古く、写真をのりで貼り付けるタイプの分厚いアルバムでした。

1ページ目には「1956年」と西暦が書かれた白黒写真が貼ってありました。まだ父も生まれていない年で、そのくらい昔からの写真が綺麗に貼られていました。

母と私では写真に写っているのが誰が誰なのか殆ど分かりませんでした。

唯一分かったのは祖父と40代で亡くなられた祖母だけです。(祖母は遺影があるのでそれで分かりました)それ以外の方は分かりませんでした。中でも祖母の写真が沢山貼られていました。

私は当然祖母にお会いしたことありませんが、祖母が楽しそうな笑顔を浮かべている写真が多くて、それらが1枚1枚丁寧にのりで貼り付けられていて、きっと祖父が撮ってあげて、それをアルバムに丁寧に貼り付けて、祖母が亡くなってからも何度も見返していたのかな…なんて勝手に想像をして涙が止まらなくなりました。

何ページかめくると、1歳から2歳頃の私の写真が貼られていました。

母が定期的に写真を送ってあげていたそうで、その私の写真もまた1枚1枚丁寧にのりで貼ってありました。

「祖父がこのアルバムをよく見るから、このアルバムに貼ってくれたのかな」
「若くして亡くなった奥さん(祖母)の写真がある大切なアルバムのはずなのに、私の写真も一緒に貼ってくれるなんて優しいなぁ…すごい嬉しい」

そんな事を思いながら、涙が溢れて止まりませんでした。祖父の大切なアルバムが涙で濡れてしまわないように必死で溢れてくる涙をティッシュで拭いました。

私はその場面なんて見たことないのに不思議と嬉しそうに送られてきた写真を1枚1枚のりで丁寧に貼る祖父の姿が想像できたのは、あの日抱っこしてもらった時に見た祖父の笑顔と抱っこしてもらいながら感じた祖父からの深い愛情があるからなのだと思います。


祖父の遺品はこの1冊のアルバムだけです。

これから先もずっと大切にしたいと思います。


どんな思いで写真を貼っていたのかは生きている限りもう聞くことは出来ないけれど、私もいつか祖父のいるあの世に逝った時には聞いてみたいなと思っています。


私はきっと祖父が想像していたような孫ではないし、祖父が誇れるような人ではないので、そこは今も凄く申し訳なく思っています。

けれど、いつかあの世で再会を果たした時に「頑張ったな」と言ってもらえるような、そんな生き方をしたいなと思います。


最後までお読みくださりありがとうございました。


翠-sui-

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