下調べなしに娘を吹奏楽の強豪校に入れてみた。#004

「最近サックス吹いてると体があっつくなってくる。」と、言い出した次女。
ついに覚醒したのか?!と思いきや多分絶対そうじゃない。持ち方を変えてからそんなふうになってきてるって言っていたのでストラップを買いに行くことにした。

「日曜日に仕事終わりに楽器屋で待ち合わせな。学校からサックス持ってきて。」

そう話したのは金曜の夜。そして土曜。娘と帰宅時間が一緒だったので最寄駅で待ち合わせして一緒に帰ることにした。片手にスクールバッグ、片手にハードケースに入ってるサックス。そして私たちは自転車。


む、、、無理じゃね?


ハンドルどーやって握るねん。次女は歩いて帰ろうとしている。


む、、、無理じゃね?


スクールバッグが5キロ。楽器が6キロ。家まで3キロ。合計14キロ。(違う。)とにかく重てーし遠いし早く帰って長女に晩ごはん食べさせなきゃだし。

む。むむ。。むむむ。。gugogogagaaaaっっっ!!

「うぉぉぉぉ!お母ぁぁぁぁさんに任せろォォォォォォ!」
お母さん(私)こう見えて体使うの得意。お母さん(私)こう見えて運動神経良い。片手に楽器。片手にハンドル。長女のごはん(マクドナルド)をカゴに乗せ、さあ行くぞ!

片手に6キロを持ち上げる。よし、イケる。伊達に力仕事してるだけあって44歳のくせにやたら力持ちであること、丈夫な体に産んでくれた親マヂ感謝。娘は私をハルクを見るような目で見ている。

ゆっくり自転車を漕ぎ、確実に家に近づいてる。待ってろよお姉ちゃん。いま、マクドナルドを食べさせてあげるからね。無事に楽器を持ったまま家に着くことと、無事にジュースをこぼさないこと。とにかくコレが大事で、あと、腕が引きちぎれませんように。

家が近づくにつれて何やら私の腹の様子がおかしくなってきた。どうしよう、、、うんこがしたい。ここ最近野菜不足でゆるくなっていた。ワーカホリックはコンビニホリック。その行き着く先はゆるゆるホリック。腕の力が無くなる前に、なんだか漏れちゃいそう。

楽器を無事に。
ジュースをこぼさずに。

の、前に、”漏らさずに” が、プライオリティに急浮上。がんばれ。頑張れ。ガンバレ。後ろで娘がクスクス笑ってる。誰のせいこんなことになってると思ってるのか。人は窮地に立つとその人の本性が見えてくるという。こんなピンチの中で私はそんなことを考えていた。

娘が、「おかん、もういいよ、ここまできたら自分が持って帰るから。おかん、早く帰って、、、そしてトイレに行ってwwwwwww」

私「いいからアンタ、コレ持って帰りな。」
と、お姉ちゃんのマクドナルドを渡した。

娘「じゃあいくね。おかん、頑張ってね。」

私「........................。」

も、もうワンターンくらい、やりとりあっても良くない?「いいよ、オカン。」「いいから行け。」「もういいよ、オカン。」「俺のことはいいから行け!」とかあった上での、「じゃあいくね。」だったらよかったなぁ。。。
急に孤独な戦いが始まった。楽器を持つたびに腹に力が入る。腹に力が入ると出ちゃう。いつだってパニックを起こせる中、意識が遠のく中で私は家に着いた。楽器もパンツも無事に。

そして明くる日。清々しい朝に私は夫と散歩をしていた。街中に花が咲いていてたんぽぽも菜の花も美しい。夫は普段こんな景色は見ていない、車移動だからね。

「だから自転車やめられないんだよねー、小さな景色が綺麗すぎてさ。すぐに足を止めて見入ってしまうのよー。」

と私は言った。昨日、車があったらどんなにラクだった事か。。。


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