「他サポは黙れ」の是非 3/3
※第1回
※第2回
今回は「我々は"応援しているところ以外のクラブ"のことを語ってはいけないのか」について書いていきます。
※個人的な意見なので参考程度に読み流してください。
他サポは黙るべきなのか
結論から申し上げますと「黙っているのが無難」だと思います。他クラブを安易に批判したり他サポに議論を吹っ掛けたりするのは避けるべきです。
認知バイアスだのなんだのと講釈を垂れてきておいてこんなことを書いてしまうのもなんですが、我々が認知バイアスを理解したところで周囲の意識は変わりません。相手からバイアスを取り除かない限り、「他サポにとやかく言われる筋合いはない」と思う人は消えないし、消すことも不可能です。
相手が少人数ならまだ可能かもしれません。しかし、SNSにアップされた投稿は不特定多数に向けて公開されます(公開範囲をフォロワー内に制限したり非公開にしたりすれば見られる心配はないでしょう)。何人いるのか分からない相手に向けてバイアスを取り除こうと試みるのは無謀でしかありません。
ていうか、そこまでして意見を言う必要って果たしてあるのでしょうかね。もし必要となると、なんだか気軽にSNSを使うことができなくなるような気がします。そんな手間をかけてまで投稿を上げるより、黙っていた方がよっぽど楽ではありませんか?
それでも何か言いたい場合
ただ、SNSを利用していると「どうしても言ってやりたい」と思う場面というのは少なからず出てきます。そこで、今までの体験に基づき『他クラブに関して意見を述べる上で「心掛けた方が良いのでは?」』と思うことを3点紹介します。
①事前に情報を仕入れる
言い方がキツくなりますが、見当違いな意見は便所の落書きと同じです。
何かしら主張したいというのなら、その前にグーグルでネットニュースを拾い集めるなりそのクラブのサポーターに尋ねるなりして情報を得るべきではないでしょうか。何の知識もない状態で意見を述べても「ろくに事情も知らないくせに他サポが首を突っ込むな」と一蹴されるだけです。
まぁ、この話に限ったことではないですよね。
何事も知ったかぶりは止めた方が身のためです。
(「文章力」や「情報リテラシー」などの問題もありますが、最低限の心構えとして情報収集する癖ぐらいはつけるべきだと思います)
②"サッカーファン"として意見を発信する
内集団バイアスは、強く働くほど外集団に対してより攻撃的・排他的になります。言い換えればサポーターであることに誇りを抱くほど他サポにキツくなるということです。
かといって、極論ですが「批判ないし議論の相手と一緒のクラブを応援することにしたら良いのか」というと、そうはいきませんよね。例えば「自分はレッズを批判したいから今日から浦和サポになる!」と言う人がいたらどう思いますか?なんだか激しく叩かれそうですよね・・・笑
では一体どうすればいいのでしょうか。
私の提案としては、"サッカーファン"として意見を言えばいいと思います。
説明に入る前にいろいろ参考になりそうな記事を見つけたので引用します。
内集団と外集団という概念は分離を前提としており、その分離のあり方、内集団とみなす範囲が具体的であればあるほど、帰属意識が強ければ強いほど排他的になるため、差別や争いを生み出しやすくなる。
逆に対象範囲、内集団として包括する範囲が広がって「抽象的」になっていけば行くほど、そうしたネガティブなバイアスは和らいでいくと考えられるだろう。
例えば、自分は京都人だという帰属意識が強いと、京都以外に対して排他的になる。しかし、関西人として捉えると排他性は弱まり、日本人として考えるとさらに和らいでいく。
その上でアジア人という捉え方をすればさらに排他的な感覚は弱まり、地球人として捉えれば国際的な排他意識はなくなっていく。
要するに"川崎サポ"や"ガンバサポ"などといった具体的な立場ではなく、それよりも抽象的かつ相手と同じ"サッカーファン"という立場から主張するのです。
「応援するクラブは違えどサッカーファン同士なら排他的になることもないでしょう?」というわけです。
ただし、それでもなお「〇〇サポでもないのにとやかく言うな」と突っ込まれる可能性は残ります。まぁ仕方ありません。いくらサッカーファンとアピールしても"他サポ"という事実は揺らぎませんし、前項で少し触れましたが内集団バイアスを理解したところで周囲が変わるわけではないですからね。
あくまで"予防の一環"としてご検討いただければと思います(まぁ、そこまでするぐらいなら黙っていた方がいいとは思いますけど・・・)。
③攻撃的な文章を避ける
内集団バイアスによって外集団(他サポ)に対して攻撃的・排他的な感情が働いている(かもしれない)相手に向かって毒を吐くとします。一体どうなると思うでしょうか?皆さんなら容易に想像できるはずです。
ネチケットにも十分に関係しますが、暴言や誹謗中傷に限らず、相手の感情を逆なでしかねない投稿は控えるべきです。
しかし、中には「他サポなんて知ったことか!同じクラブを応援する仲間さえいれば構わない!」と思う人も少なからずいるかもしれません。
「批判や議論を止めるつもりは毛頭ない」というのであれば好きにすれば良いと思います。私は止めません。気が済むまで他サポにあれこれ主張すればいいでしょう。
味方であるはずの仲間から「ファン・サポーターの評判や印象を下げる輩」と見なされ、ハブられたり攻撃されたりするかもしれません(下記リンク参照)が、思う存分楽しんでください。
まとめ
記事を書きながらいろいろと考えてみたものの、やはり「他サポは黙れ」というのはあながち間違っていないかなと思います。
もちろん他サポにだって表現の自由はありますし、規約に背かない限りはSNSの使い方について他のユーザーから文句を言われる筋合いはないでしょう。「他サポは黙れ」と言う側にも気を付けるべき点は十分にあると思います。
しかし、そういった理屈もバイアスの前では無力に等しいです。
認知バイアスの意味をもう一度確認しましょう。
認知バイアス(cognitive bias)は心理学用語の一種。人が物事を判断する場合において、個人の常識や周囲の環境などの種々の要因によって非合理的な判断を行ってしまうことを指す。
お互いに嫌な思いをしないためにも、他クラブのことには安易に首を突っ込まないようにしましょう。私も気を付けますので・・・。