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【100名にアンケート】エンジニアの求人票の書き方と事例まとめ

お久しぶりです!
今回「すごい人事トレンド情報局」ではゆいさんと一緒に求人票についてまとめることとなりました。僕の方では、書き方次第で求職者へ与える情報を操作できてしまう求人票について、エンジニア向けの内容で書いていきたいと思いますのでお付き合いください!


ゆいさんの記事はこちら!

エンジニア向けの求人票についてはLinkedInなどでたまに質問をいただきますので、個人的には悩んでいる方は多いのかなと感じています。

特によくある質問としては
「どこまで細かく記載をすればよいでしょうか?」
「これでエンジニアに伝わりますか?」
「応募が来ません!」
などなどお聞きしています。

最後のは求人票の問題じゃないと思いますが、本当にこのレベルのご質問をいただきますので、この機会にしっかりとまとめていきたいと思います。

【このシリーズを読んでほしい人!】
・上記の質問例に共感する人事の方
・エンジニアの訴求ポイントが分からない方

1:求人票の役割

まずは求人票そのものについて考えていきましょう。

ここで考えていただきたい内容としては、

・求人票を見てくれる相手は誰なのか
・どのフェーズで求人票は見られるのか
・何をどういう目的で伝えたいのか

この3つを考えていただき、そして最後に一番重要な
「それで伝わりますか?」
という事を考えていただきます。

求人票を見てくれる相手は誰なのか

これは簡単ですね、採用したい人です!
こちらについて細かくペルソナが~などと落とし込んでしまうと、長くなってしまいますので、イメージがしにくいようであれば、ゆいさんが以前作成された下記の記事「2-1,2-2,2-3」を拝見していただけますと想像がしやすいかと思います。

どのフェーズで求人票は見られるのか

よく勘違いされますが、カジュアル面談や面接を「受ける前に見てくれるもの」という偏見は早期に捨てた方が良いです。
この情報過多の時代に採用広報に力を入れていない会社なんてほぼありません。
そのような時代にわざわざ求人票を見てから面談や面接にきてくれる求職者さんがどれくらいいるのか?ということです。
ちなみに僕が勤めている会社では、求人票以外に待遇を記載していません。
その会社で100名以上のエンジニア内定承諾者の方にアンケートを取った結果ですが、

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このような結果になりました。
参考程度に選考フローを記載をします。

カジュアル面談:応募者全員必須で現場とのカジュアル面談をお受けいただいています。
1次選考:書類選考をしないで、応募者全員webでのプログラミング試験を受けていただいています。※足きりと合格者のみ書類選考。
2次選考:現場マネージャーとの面接※この段階では誰も求人票を見ていなくて上記グラフから消えてしまいました…
最終選考:役員面接
内定フェーズ

現職ではとある事情からもれなく全員とお会いするのですが、カジュアル面談での唯一のルールは聞かれない限り『待遇については絶対話すな』というルールを敷いています。
これは待遇が悪いわけではない故に、なるべく業務の魅力で勝負できる会社にしたいという考えからこういう手法を取っています。
※カジュアル面談に参加していない方は現場社員からの申し送りを貰えないので、強制的に1次選考で落ちる仕組みになっています。また、お礼連絡はしますが、こちらから選考の案内は一切送っていません。

その結果現職では面談前から求人票を確認していただける方は15%ということが分かりました。
要するに、「仕事に興味あるから話を聞きに行く」程度の段階であれば待遇や細かい技術要件なんてそこまで重要でない可能性が高いということです。

このことから、情報過多の時代に求人票の役割が変わってきていると思ってください。

何をどういう目的で伝えたいのか

最後は伝えたい内容と、その目的です。

ここについては、「よくわからないけどとりあえず記載していること」が多いと感じています。

例えば新卒で「即戦力クラスのエンジニア」を採用したいのに、研修についてを一生懸命記載している求人や、「高待遇」と記載をしているのにもかかわらず、給料は要相談と記載して待遇を具体的に示さない求人など

これだけでもドキッとされる人事さんはいらっしゃるのではないでしょうか。

せっかく前の事例で僕の現職の事例を出したので、そのまま事例として取り上げますと、僕の会社では「待遇面重視」です!

は?と思われると思いますが、理由としては見られるタイミングから、求人票の役割が「選考を受ける・内定を承諾する際の安心感を与える」のが役割です。

求職者さんの想定状況は
・面談後で業務に興味は持ったが、生活はしていけるのか?
・勢いで内定取れちゃったけど、待遇面って大丈夫なのか?
という状態の方を想定して、そもそも業務に興味もない会社の待遇に興味なんて示さないと考えています。

そのため求人票の内容も必然的に背中を押す目的で作成をします。

人事として、求人票が「どのタイミング」の「どういう役割」で必要なのかをご想像いただくために、あなたの会社の選考状況などをしっかりと確認頂けると良いかもしれません。
その上で、この求人票の目的はこれだ!と明確にすることで、必然的に必要な掲載情報が決まってくると思います。

それではここからもう少し詳しくどういう情報を載せるべきかをまとめていきたいと思いますが、想定しているフェーズは下記です。

状況:スカウト媒体でスカウト文と一緒に添付する求人票

これにした理由は、求職者にとって会社の情報量が1番少ない段階故に様々なことが想定できるためです。

それではレッツゴー!!!

2:経験豊富なエンジニア向け

皆さんが一番採用したいペルソナの方でしょう。
「そうそれ!それを見に来た!」という方へ


教えてあげませ~~~~ん!(๑>؂• ๑)テヘペロ


なんてことはしませんので、ご安心ください。

今回は、

・自社エンジニア向け
・受託・SES系エンジニア向け

という企業セグメントを分けて書いていきたいと思います。

自社開発企業
まず自社開発企業ですが、この企業群の陥る罠は「掲載情報の過多」が発生しやすい印象を受けます。

良くも悪くも載せることができるアピールポイント(差別化点など)が多くなってしまうので、スカウト文の訴求内容と掛け合わせて本当に伝わって欲しい内容を精査していきましょう。

こういう企業群ではforkwellという媒体にある企業さんを参考にすると良いかと思います。

forkwellはエンジニアが企画に参加したのかな?と思えるくらい、用意されている項目がエンジニア向けになっており、他の媒体で制作する際に参考すべきかと思います。
※実際のforkwellで求人作成する際は選択式だったりしますので、項目のみを真似されることをお勧めします。

その中で気になった求人ですが、
こちらの求人はすごく気になりました。

気になった理由ですが、
・押し付けている感じがしない
・働くイメージが持ちやすい

少し失礼ですが、全体的な印象としては
「差別化が難しい事業ゆえ、、、、 
と思いました。

他の会社は「当社は~~で○○が強みです!」といった形で強みの訴求に主軸を置く会社が多い気がしています。
上場企業や有名会社の名前出して「取引できています!」という感じのことです。

それに対してこの求人は会社概要などは最低限に抑えつつ簡素で分かりやすくし、「提供できること」というワードで丁寧に強みを伝えています。しかも書いてる内容はそこまで差別化できる内容ではないですが、「ITに不慣れな方が多い業界なので、誰でもわかりやすい、ということを意識しながら開発」というワードなどがちりばめられていて、どのような方がエンジニアとして開発業務をされているか見えますね。

一番いいなと思ったのは
「開発サイクルはゆるいアジャイルでまわして」という記載。
かっこいいこと書きがちな求人で「ゆるい」というワード使うのが会社の雰囲気を表しているなと思いました。


こんなに記載しておいてなんですが、自社開発系の企業で求人票に記載する内容の断捨離で悩むようでしたら、全て記載するのも良いと考えています。
比較的興味を持っていただきやすい企業群ではあるという点と、求職者の方が求めている情報を断捨離してしまい、応募を逃している可能性を考えると、記載できる内容を全て記載するのも戦術だと思います。

受託・SES系

次に受託・SES系の企業群ですが、
この企業群はビジネスモデルが問題となり、非常に差別化が難しいです。
そのため求人作成には苦戦を強いられるんですよね。

・取引先企業や案件の特色
・給与面
・社内体制
・開発方面以外のポスト
・経験年数事の採用比率
・辞めた方の情報

このような内容が挙げられるかと思います。

特に案件(ネイティブアプリが多いとかインフラ領域に力を入れているとか)をあえて絞っている会社はスキルアップの目安として分かりやすいので、なぜその領域に力を入れているなども含めて打ち出すべきだと思います。

他にも社員の経験年数の比率などを開示するは見たことがないので、お勧めです。
学ぶ立場として入るのか、教えることが多い立場で入ることになるのかが分かるようになりますので、アウトプットをしていきたいと考えているエンジニアの求職者目線では欲しい情報ではあるかもしれませんね。

一番見たことないし、見てみたいなと思うのは辞めた方の情報ですね。
エンジニアが転職やフリーランスになってしまうのは働き方が一番自由になりやすい関係から致し方ないので、割り切って辞めた方がその後どういう進路を取られたかを記載することで、入ってくる方達の目安としてアピールポイントになるケースがあると考えています。

逆に差別化できない、魅力になりにくい点については

・営業が強いことの強調
・たくさん記載のあるプログラミング言語
・資格取得手当
・残業時間※SES企業のみ
・社長や会社の思いだけを書く

この辺は書く必要を感じていません。
そもそも営業力は証明が難しいですし、開発環境は打ち出しにくいのは分かりますが、整理して記載するのであればまだしも、プログラミング言語を羅列して記載しすぎると訳わからなくなりますので、省いていいと思います。
あとよく目にする資格取得へのサポートですよね。
未経験や若手に向けては良いかもしれませんが、エンジニアに関係なく、経験者の世界は案件の受け入れ先からすると、資格より経験を重要視される世界になります。それについては一番求職者ご自身が理解をされているはずですので、求人に記載をする意味を考えるべきかと思います。

社長や会社の思いについては、調べてみるとすごく面白い結果になりまして、要約すると「IT業界の人材不足のため」「日本のIT化のため」「受託やSES業界を変革させるため」の3パターンになることが多かったです。
ですので、上記に当てはまる場合は差別化が難しくなってしまうため、一歩踏み込んで実際に世界観を作り出すために行っている取り組みや、世界観の実現のために足りていない要素を具体的に記載をして、イメージを湧かせていくことが必要になります。
しっかりと根を張ったストーリー作成については当社の得意領域ですので、下記のnoteを参考にしつつご相談をいただけますと幸いです。


若手・未経験レベルのエンジニア向け

こちらではそこまで差が生じないため、セグメントを分けず記載していきたいと思います。

押さえるべき要点として、

・使用技術や開発環境を含めた成長環境
・「自分には難しそう...」と思われない工夫
・働き方
・会社の存在理由や目指す世界観

多くの企業が採用したい若手は24~28歳を想定されると思いますが、この年齢の方達の特徴を理解して、求人票を構成させていきましょう。

若手の傾向について100名以上の若手エンジニアを採用してきた経験から記載をさせていただきます。

ハングリー精神なるモノを持っている方は多くはなく、新しいことに挑戦することへの心的ハードルが高い方が多い印象です。しかし、上記の要点を抑えれば人が集まりますし、環境さえ整えればしっかりと戦力化するのが面白い世代です。

求人票作成において、なにより意識をしていただきたい点は「これなら自分でもできる」と思わせる工夫です。
そのために、成長できる理由やサポート体制、資格手当などをしっかりと記載をしてください。また、それらの成長が無理のない(プライベートと両立ができる時間が確保されている)環境でしていくことができるかを意識している人が多いです。

最後にめんどくさい世代で申し訳ないのですが、「会社の存在理由や目指す世界観」いわゆる「ナラティブ」を結構意識するんですよね。
「なぜ創業したいのか?」や「なぜその事業をするのか?」などといった物語やストーリー、そしてこれから何をしていくのかに、共感して集まる世代です。それを証明するかのように『Wantedly』が流行り、創業ストーリーや会社エントリーなどを打ち出す企業が露骨に増えましたよね。

上記のようなことを意識して求人票を作成していくことが重要になります。
特にナラティブについては過去~現在だけでなく、未来に目を向けることで差別化できる要素を増やせますので、「この整った環境でその未来を一緒につくりたい」と思わせていきましょう。


感動したエンジニア向け求人票事例

最後にこれはすごいな...
と率直に感じたビズリーチさんの求人票の一部を取り上げたいと思います。

開発環境が気になる人が多いので、プログラミング言語をたくさん記載したりすると思うのですが、こんな完成度で出せるのか!と思ったのが下記です。

ビズリーチさん

画像2
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インフラアーキテクチャなどを求人用の画像欄で見る機会はたまにあるのですが、ここまで使用技術やツールをまとめてくれるのは純粋に嬉しいですよね。

本当はビズリーチさんの競合他社との差別化についてなども記載があり、載せたいのですが、どこまで載せていいのかわかりませんので、サイトから頑張って探してみてください!
「ここまで正直に差別化するんだ!」と思えるほど開示しています。

ちなみにこれは数年前の求人ですので、今ほど有名ではなかったのは確かです。
そんな状況でもここまでエンジニアに寄り添って情報を開示しているので、今では上場できる会社になったのだと思います。

伸びる会社には伸びるだけの人が集まる要因があります。
そういう目線で伸びている会社をベンチマークしてみるのも面白いかもしれませんね。

最後に

本当はフェーズについてや市場価値の見せ方、そもそもエンジニアの分類を理解できているか?なども記載をしていきたいと考えていたのですが長くなってしまいましたので、別の機会でお出ししたいと思います。

また、どんなに求人票を綺麗にしても、企業体質などを変えていかない限りは根本的解決はできないですし、求人票を目に入れるためにやらないといけないこと、目に入れて選考に進んで貰った後にやらないといけないことなど、所詮採用工程の一部でしかないことを前提として工夫をしてください。


ライター:ポペヌ
エンジニア歴約10年、人事歴約3年。中学時代からエンジニアとしてお小遣い稼ぎを始め、エンジニア経験を活かしながら、大手IT企業にて人事に転身。
「プログラミングができる人事」として、主に経営陣をカウンターパートに経営視点の人事戦略設計〜実行、検証まで従事。
即戦力エンジニアをオフライン・オンライン施策をベースに採用単価0円で採用実現するなど、特に新卒採用、およびエンジニア採用に強みを持つ。

「すごい人事」情報局運営元:株式会社Crepe 
Crepeでは、ESG観点からみた人的資本における企業価値向上支援を行っています。具体的には、採用CX(候補者体験)向上ための採用戦略コンサルティング、採用ストーリーブック制作、研修トレーニング、EX(従業員体験)向上のための組織コンサルティング、エンゲージメント向上 HRtech「ミライチズ」などを通して、より良い個人と企業の関係の質向上支援を行っています。
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