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役割人事とは?「100人の壁」を打破する人事

こんにちは!「すごい人事(※)」情報局のゆいです。
前回は人事の役割の中で「専任人事」についてお伝えしました。

今回は組織規模が60~120名で求められる人事「役割人事」の業務内容や求められるスキル・経験についてお伝えします。

人事の人数を増やすタイミングで、組織規模50名以下の人事との差異を明確にしたい方は必見です。

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【このシリーズを読んでほしい人!】
・組織規模が100名に近い企業の経営者、人事担当の方
・「100人の壁」対策が出来ていない経営者の方
・スピードを上げて組織拡大をしている最中の経営者の方

【このシリーズを読むことでのベネフィット】
・役割人事の業務範囲や求めたいスキルがわかる
・組織規模が100人前後になった時の組織課題を知ることが出来る
・人事を採用する時の参考になる

役割人事とは

本記事での「役割人事」の定義は、組織規模が100名前後の会社にいる人事のことで、業務内容は採用・労務・育成・組織などの人事業務を担当する役割のことです。これらの業務を一人で担当するのではなく、複数名で役割分担をして業務を遂行します
組織規模50名前後と比べて組織にが横に広がり深みも出ているので、役割人事はゼネラリストというよりはスペシャリストになります。人事のチームが作られていくので、誰がどの役割になるのかを考えるタイミングとなり、人事としても自分の専門性をどこに持つのか、キャリアについて考えるタイミングになります。

役割人事が必要となる組織フェーズ

役割人事が必要となるのは「100人の壁」が発生するフェーズです。このフェーズでは、目の前の課題をとりあえず対処していくという方法ではなく、運用を仕組化して中長期的に対応できるような方法を取る必要があり、そこには人事スペシャリストの知識や経験が必要となってきます。

私の経験上、従業員50名前後であれば、組織の歪みを察知しやすい上にすぐ対応もできていたのですが、100名前後となると施策一つ一つの影響が大きいので改善が簡単ではありません。また、業務フローや社内ルールなどを整備しないと組織をまとめられなくなるので、常にPDCAを回して仕組みづくりをしなければならない状況です。具体的には次のような状況です。

権限移譲が必要になる

1人のマネージャーがマネジメントできる限界の人数について、一般的には5~8名、多くても10名といわれています。限界を超えてしまうと、コミュニケーションに偏りが出てしまったり、メンバーのケアが行き届かなくなってしまったりして、組織の雰囲気が悪くなり成果を出すことが難しくなってしまいます。また、100名規模であるとプレイングマネージャーも多いと思います。そうなると余計に自分だけでは業務を抱えられなくなると思いますので、権限移譲が必要となります。
権限移譲を促進するために人事がすべきことは、マネージャーの評価ポイントを明確にして、マネージャーにどこまでの業務を求めているかを伝えることです。成果がわかりやすい自分の業務と成果がわかりにくいメンバーのマネジメントであれば、自分でやってしまった方が早いと思ってなかなか権限移譲をしないマネージャーが出てきてしまうかもしれません。

ルール整備が必要になる

権限移譲をしたあとに困るのは、メンバーにどこまで自由に行動してもらうかです。メンバーに自由に動いてもらった結果、マネージャーの思った通りに成果が出ずに結局マイクロマネジメントをしてしまうシーンはよく見かけると思います。もしくは、最近の若者は自分の頭で考えずに指示待ちをしていると嘆いているマネージャーを見たことがあるかもしれません。
メンバーに自分で考えて行動してもらい権限移譲をするためには、会社としてのルールを作って伝える必要があります。それは行動指針(バリュー)であったり、評価制度や昇進昇格制度であったりします。

育成が必要になる

ルールを整備して権限移譲をしようにも、任せる相手がいなければ出来ません。「プレイヤーとして優秀だけどマネージャーとしては別」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、プレイヤーとマネージャーとでは求められる役割が違うので、もしマネージャー経験がない人に権限移譲をするつもりであれば、まずは育成が必要です。マネジメント手法はある程度の型があるので、汎用性の高いマネジメントスキルについては人事からサポートしたいところです。
また、100名規模になると新入社員や未経験者を育成するゆとりが出てくると思います。吸収力と伸びしろが大きい人を育成することで、教える側も成長しますし、会社のコスパも良くなると思います。

社内文化の浸透

従業員50名前後であれば(人に寄りますが)社長は気軽に飲みに誘える相手でした。しかし100名ともなれば社長は手の届かない存在になり、何を考えて何をしている人なのか従業員からは分からなくなります。これまでは直接話して会社の理念や役員の人柄を伝えることができましたが、直接話せないフェーズでは社内文化が浸透しにくくなります
私が見てきた会社でも、社内イベントを開催したり、表彰したり、社内報を作ったりなど工夫をしていましたが、伝えすぎるほど伝えても、悲しいかな伝わらないことがあります。社内文化の浸透方法は様々な角度からチャレンジできるので、人事が役員に代わって情報発信をしていきたいタイミングです。

スタートアップを抜けて名実共に中堅企業になっていく

だいたい従業員数100名を超えると中堅企業と見なされることが多いです。求職者や従業員が会社に求めていることが変わってくるフェーズなので、”自社”分析が出来ていないと従業員との齟齬が生まれてしまいます。
規模が大きくなれば動きが鈍化して人間関係が複雑化しますが、会社が取り組めるプロジェクトは大きくなるし多種多様な従業員がいることでシナジーも生まれやすくなります。「100人の壁」を超えられるかどうかが大きなターニングポイントになることが多いので、専門知識を持った役割人事が求められます。

役割人事の業務内容

役割人事が求められるフェーズでは、業務の名目は一緒でも、従業員数50名の頃とは異なる業務内容が求められます。

部門間連携が取りやすくなる仕組みづくり

私は、実はここの業務経験が一番評価しにくいと思っています。連携が取りやすくなるための手段として、例えば現場マネージャーとの1on1の仕組みづくりや社内ポータルサイトなどでの社員紹介記事・ツールの導入、目標設定の共有の場づくりなどが挙げられますが、どの手法が有効なのかは組織によって違います。
仕組みづくりのために組織人事がすべきことは、自社はどういう組織かを分析し、課題に対して最適な手段について情報収集をしてPDCAを回すことです。成果を数値で表現することが難しく何をしていたらいいのかも曖昧ではありますが、人事業務として特記したい項目です。

採用

採用業務は中途中心から新卒・ポテンシャル採用も増えていきます。中途採用はスペシャリストの採用需要が高まるので、各募集職種について、細かい業務内容や転職市場の状況などの理解をする必要があります。新卒採用はまだまだ一括採用が続いているので、新卒採用の年間スケジュールを把握しておくことと、ナビサイトなどツールの理解、学校連携など新卒採用ならではの業務があることを知ることが重要です。
組織規模が大きくなった分、採用人数が増えるので採用業務だけで手一杯になりがちになります。採用担当だけでなく社内外に協力者を作っておくこともかなり重要です。

社員教育

階層がはっきりしてきているので、昇進昇格に紐づくような教育制度を作ることができたらベターです。どのレイヤーにどのようなスキルを求めているのかを言語化し、新入社員研修やマネジメント研修など、どの職種でも必要となるようなスキルは全社研修として研修制度に組み込むと、社内で共通認識ができて教育しやすくなります
「教育すること」に慣れていない人が教育する機会が増え、どうやって教育したらいいのかわからずに悩む人が増えてくるタイミングなので、教育する人を教育するのも役割人事の業務です。

社内文化浸透施策検討

会社が向いている方向を伝えるために、 組織のビジョンやミッションを明確にし、全従業員と共有します。ビジョンやミッションを理解し共有することで、従業員は組織の価値観に共感しやすくなります。また、ビジョンやミッションは会社の制度や評価のベースとなる考え方にもなるので、制度の根拠や評価基準を明確にすることも社内文化を浸透させることにつながります。さらに、 社内のコミュニケーションを活発化させることは、社内文化の浸透に大きな役割を果たします。会議の仕組みや1on1などの面談の仕組み、コミュニケーションツールの活用など、情報共有や意見交換の機会を設けられるような仕組みづくりが必要です。会社の文化によっては社内イベントや交流活動を主催することもあります。
様々な会社がユニークな制度で脚光を浴びることがありますが、面白そうだからといってそのまま流用するのではなく、自社にとって何が効果的なのかを検討することが大事です。

労務対応

入退社の数、従業員数が増えるのでルーティンの労務業務の工数が増えていきます。さらに、従業員の働き方に多様性が出てくるので、Excel等で個人情報管理や給与計算をしているとイレギュラー対応が大変だったりミスに繋がったりするので、人事業務に特化したツールを導入することをおすすめします。
人事は、なるべくルーティン業務を効率化し、従業員が働きやすい労働環境を整備することに時間を使いたいところです。例えば、就業規則の見直しや付随する規程の整備、健康診断の他にストレスチェック制度を導入する等です。
リモートの会社が増えてから「テレワーク勤務規程」の必要性が出てきたり、遠隔勤務だからこそ心身共に健康管理をどうしていくかについて検討する必要があったりします。イレギュラーなことがあったとき、その場しのぎで対応していくとイレギュラーな前例が出来てしまい不公平に繋がってしまいます。そうなる前に労務担当が法律に則ってルール整備したいですね。

役割人事に求められるスキルや経験

先述した業務内容から、役割人事は専任人事よりも業務範囲が広く深くなっていることはご理解いただけたと思います。今後の運用を見通して仕組みづくりをしていくことが求められるので、それぞれの業務に精通したスペシャリスト(=役割人事)に必要なスキルと経験は次のようなものだと考えています。

組織づくり

”チーム”ではなく”組織”づくり経験がポイントとなります。チームビルディングは少人数で最大限の力を発揮するものですが、組織づくりは大人数が自由に行動するために必要な最低限のルールを作ることだと思います。
100人の壁を経験している組織人事がいると心強いですが、そうでなくとも100人の壁の経験談はネット上で見つけることができますし、陥りやすい事象はある程度パターンがあるので、情報収集をして備えることができます。大切なことは、他社で成功した事例をそのまま自社に適用するのではなく、自社の課題を分析して自社流にアレンジして対応していくことなので、役割人事は柔軟性が求められると思います。

1→10の経験

従業員100名前後規模であれば、ある程度のルールや仕組み等は作られていると思います。そのままの運用だと立ち行かなくなるタイミングなので、1であったものを10にしていく仕事が多くなります。規模が大きくなるほど変化が与える影響が大きくなるので、先々を想定しながら、ちゃんと運用できるよう形を整えていくスキルが求められます。
また、既存のものをそのままで良しとするのではなく、常に変化する現場を見ながら最適な環境づくりをしていく必要があるので、課題発見・改善力も求められます。

プロジェクトマネジメント経験

既存のものを変更していくことは、社員全員にとってメリットがあるものであれば反発はないですが、全員が納得するものを作ることはかなり難しいです。一番は、会社がどうありたいか、社員にどうなって欲しいかに従って変化していくことですが、都度社員に説明したり、納得はしてもらえなくても理解をしてもらったりする動きが必要となります。社内でネゴシエーションを取りながらプロジェクトを前に進めていく経験が、役割人事に求められると言えます。
また、社内だけでなく社外関係者との折衝経験も必要となります。業務量が膨大になりがち、かつプロジェクトを進める時間もかかるけど、リソース不足であったりスキル不足になりがちなのが役割人事が必要となるフェーズです。社外の人に自社の状況を説明したり、協力してもらうために相手の状況を理解したりする経験orスキルが求められます。

人事同士の横連携も必須

役割人事はスペシャリストが求められますが、採用・労務・育成・組織すべての人事業務は連携してこそ力を発揮できます。
私の経験談ですが、採用時に社員のキャリア展望や会社に求めていることを面接の記録として残していて、その情報を共有してもらうようにしていました。その結果、配属先の検討資料としてその情報を活用したり入社後オンボーディングの参考にしてスムーズに組織に馴染めるようにフォローすることができました。
人事の情報を共有し、お互いの業務への理解があって連携が取れることも役割人事に必要なことです。

100人の壁を突破した経験がある人事は引っ張りだこ!人事業務委託も視野に入れよう

100人の壁を突破した役割人事は、転職市場にあまりいません。この壁を突破するのは胆力がいるので、100名前の会社を求めて転職を続ける人事は…かなり稀だと思います。そのため新たに採用することは難しいので、既存の人事で頑張ることになると思いますが、一人ではかなりつらい状況になると思います。
こういうときこそ、人事業務委託を利用してみてもらいたいです。様々な組織を経験してきた業務委託の人事だからこそ、対応できる課題が多いと思います。

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ここまで読んでいただきありがとうございました。

ライター:西田ゆい
名古屋の老舗企業とベンチャー企業で人事を経験後、独立してフリーランスの人事になる。現在は5~6社に入り、採用・労務・組織開発など幅広い業務を担当している。「誰もが楽しく働ける社会へ」を個人ミッションとして日々邁進中。

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