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専任人事とは?「50人の壁」を乗り越える1人目人事

こんにちは!「すごい人事(※)」情報局のゆいです。

人事は組織規模によって求められる業務やミッションが違うことをご存知でしょうか?
Crepeでは組織規模に合わせて人事の役割を5つに分類しています。

今回は組織規模が30~60名で求められる人事「専任人事」の業務内容や求められるスキル・経験についてお伝えします。同規模の企業で人事を採用予定の方はぜひ採用基準の参考にご覧いただけるとうれしいです。

※すごい人事…「内発的動機」でイキイキ働ける人が増える「強い組織」づくりができる引っ張りだこ人事!

【このシリーズを読んでほしい人!】
・組織規模が30名を超えてきた企業の経営者、人事担当の方
・1人目人事を専任でおくタイミングや人物像について考えている経営者の方
・「50人の壁」対策が出来ていない経営者の方
・今後スピードを上げて組織拡大をしていく予定の経営者の方

【このシリーズを読むことでのベネフィット】
・専任人事の業務範囲や求めたいスキルがわかる
・組織規模が50人前後になった時の組織課題を知ることが出来る
・人事を採用する時の参考になる

専任人事とは

本記事での「専任人事」の定義は、組織規模が50名前後の会社にいる人事のことで、業務内容は採用・労務・組織など人事業務を専任で担当する役割のことです。
経理業務など人事外の業務は他の専任者に任すことができて、人事業務に専念できるような状況になっていますが、組織の「50人の壁」が立ちはだかり、目の前の課題を解決することの連続で目まぐるしい状況下に置かれていると思います。
1人目人事としてその役割を任命する企業さんも多くいらっしゃいます。

専任人事が必要となる組織フェーズ

専任人事が必要となるのはバックオフィス業務を1人で「とにかく回す」というフェーズが終わり、数名で手分けすることで人事業務に少し深く携われるフェーズになった時です。それがだいたい社員数30名を超えてきたタイミングとなります。(社員数30名を超えてもバックオフィス1人でやっている会社も稀に見かけますが、倒れますので何とかしてあげてほしいです…)

社員数が30名を超える頃、それまで社長が社員一人一人を見ることが出来ていたところ、誰が何をしているのか把握できなくなってきます。マネージャーがいれば権限移譲ができるかもしれませんが、簡単ではありません。さらに、今までは雰囲気で進めてきたことは、人数が多くなったことにより、明確なルールが無ければ現場が混乱することになります。

社員と経営者との間に距離が生まれる…それが「50人の壁」と言われるものです。このような状況で人事の課題を解決していくことが求められるのが専任人事です。多くは1人目人事がその役割を最初に担うケースが多いですが、具体的には次のような課題があります。

組織構造の見直し

30名以上の組織には明確な組織構造が必要になります。プレイヤー社員が各々成果を出していたところから、部門やチームを構成するようになるため、部門の役割や責任を明確化し、効率的なコミュニケーションと意思決定を促進する必要が出てきます。
どういう部門構成にしてどこに人が足りなくてどういうスキルを持った人が必要になるのか、経営者と共に考えることが専任人事の役割です。

人事制度の整備

組織が大きくなると社員の働き方や会社への関わり方の多様化が進みます。社員数50名前後は、その時の状況に合わせて就業規則やその他規程を見直すタイミングになりやすいです。
また、経営者の目が届かない社員が増えることによって経営者の一存で給料を決めることが難しくなるため、賃金体系や人事評価・報酬制度について作りこみが必要となります。

マネジメント強化

部門やチームができるとマネージャーやリーダーの重要性が増します。社員数30名を超えてきた段階で組織で初めて明確に"リーダー"という役割が必要となる上に、経営者とチームメンバーとをうまく繋ぐことができるリーダーを配置する必要があります。
社内にノウハウが無い中でリーダーシップのスキルを持つ人材の発掘や育成に注力し、チームの指導とサポートを強化することが専任人事に求められます。

社内文化の浸透

社員数が増えてくると、社内文化の維持と強化が重要な課題となります。社内文化は、企業の価値観や行動規範、コミュニケーションスタイルなどを含み、組織の一体感や社員の満足度に大きく影響します。
専任人事は、企業の価値観を明文化する他、情報共有や円滑なコミュニケーションが取れるように組織のソフト面の改善を求められます。

労務の法令義務が追加

社員が50人を超えると「労働安全衛生法」に基づいて会社に課せられる義務が増えます。

・衛生委員会の設置
・衛生管理者の選任
・産業医の選定
・健康診断報告書の提出
・休憩室の設置
・ストレスチェックの実施

その他、障がい者の雇用も義務となります。
専任人事はこれらの法律を把握した上で適切に対処しなければなりません。

専任人事の業務内容

専任人事が必要となるフェーズは組織が大きく動くタイミングで業務の幅もグッと広がります。専任人事が求められる業務内容は次の通りです。

人事制度設計

給与の決定基準、昇給・昇進基準、ボーナス制度などを含んだ給与体系の構築です。中途社員が増えてくるタイミングなので、既存社員と中途社員の給与額の整合性を取る必要が出てきたり、諸手当の妥当性を確認しつつ制度化したりします。会社側で全てを勝手に決めることはできないので、労働者代表と話し合いながら制度設計をしていく必要があります。
会社と社員の双方の落としどころを見極めて制度を作らなければならないところがポイントだと思います。また、必要に応じてマネジメント研修や新入社員研修などの研修体系の構築も求められます。

採用

専任人事の業務の中で採用の比重は大きいと思います。組織が大きくなってきて採用予算が少し増えてくると、採用手段を増やすことができます。さらに経営者以外にマネージャーが採用に関わるようになるので、面接官育成も必要となるでしょう。
また、中途だけでなく新卒採用も実施するようになれば、新卒採用のスケジュールを把握しながら学校との連携やインターンシップ対応などの業務も追加されます。

社内文化浸透施策の検討

社員数が増えると、それまで阿吽の呼吸で出来ていたものが通用しなくなってきます。例えば、会議の議事録を取るか取らないか、チャットツールの使い方やマナー、社内イベントの内容や頻度などです。一見バラバラに見えますが、全てはどういう人に集まってほしいか・どういう組織にしたいかに基づくので、会社の価値観を明文化した上で細かいルールを定めていく必要があります。
専任人事は、大枠である価値観の明文化から細かいルールの落とし込みまでを遂行することが求められます。

労務対応

前述した労働安全衛生法の義務に対応する業務がありますが、それ以外にも定例業務の勤怠管理・有給管理・社会保険手続きなどがあります。とくに勤怠や有給の管理は社員数が増えてくると煩雑になってくるので、30名を超えた段階で管理方法の見直しが入ることが多いです。
人数が増えてくると、一部の社員が勤怠を間違って付けていたり、有給を取得し忘れていたり、必要な届け出をしていなかったりとトラブルが増えます(つらいですね…)。ルールを作るだけでなく周知もしていくことが専任人事に必要な業務です。

経理・総務など人事業務以外を兼務することは難しい

今までお伝えしてきた業務だけでかなり工数がかかることをご理解いただけたと思います。そのため、経理や総務などバックオフィスを一人で担当することは無理が出てきます。間違えられない業務が多々あるので、社員数30名を過ぎた頃にはバックオフィスの人数を増やすことをおすすめします。人事の私としては「お願いします」です。

専任人事に求められるスキルや経験

社員数が増えたことによって、人事に求められる業務に幅と深さが増したことはご理解いただけたと思います。専任人事に求められるスキルや経験は、社員数30名以下や100名以上の時とは違ったものが求められると思います。

採用

採用に予算がかけられるようになったタイミングで採用スピードにブーストをかける会社が多いように思います。スピードが出ても採用に主で携われるのは1人だけという状況なので、いかに社内外の人を巻き込んで助けてもらえるかが大事です。変化の激しい自社の事業理解、職種理解、さらに採用手法のトレンドを追っていけるようなスキルを持つ人事が求められます。
専任人事を採用する場合、人事未経験者には少しつらいと思いますし、人事経験者でも組織規模が異なるとスピード感が違うので、変化に付いてこられる人が良いと思います。

労務管理

労基法を理解しているに越したことはないのですが、労務の知識が深くてなおかつ他の人事業務も出来るスーパー人事はほぼ見たことがありません。「これは怪しいかも」というアンテナを立てることが出来たり、トラブルがあった時にどこに頼ればいいのかを知っているだけでも十分かと思います。可能であれば、社労士と契約をして頼りにするのが一番おすすめです。労務分野も経験がものを言うので未経験者には大変かもしれません。

ピラミッド構造になった組織の経験

社員数30名以上になると部門・チームが出来始めて組織がピラミッド構造になります。そうなってきた場合に、だいたいコミュニケーションやルールに課題が生じるので、ピラミッド構造を経験していると、事前にトラブルになりそうなところを察知して回避しやすくなると思います。私は、人事はいかに事前にトラブル回避出来るかが大事だと考えていますので、組織の成長によって生じる「トラブルあるある」を経験していたり知っていたりする人事が望ましいと思います。

「何でも人事」から組織構造を理解している「専任人事」への知識が追加される

社員数30名以下で採用した人事は、バックオフィス全般を担う何でも人事でした。この時期はバックオフィスに関わることをとにかく回し、0→1で組織を作っていくことが求められていました。しかし専任人事は、これから組織が大きくなるので、その成長に耐えうる下地を作ることが求められます。

突貫工事で組織を作ってしまうと、その後崩壊してしまうので、しっかりした土台作りが出来る必要があります。そのために、とにかく回す人事から組織構造への理解や人事業務知識を持っている人事への変化が求められます。ただし、日々の業務をこなしながら知識を深めていくのはかなり大変だとは思います。

スタートアップ・ベンチャー経験豊富な人事の採用は難しいから人事業務委託も視野に入れよう

専任人事、1人目人事の理解を深めていただいたので、自社の人事に不足している知識やノウハウがわかったと思います。前述した内容を経験している人事は市場で少ないので、1人目人事としてこれから採用するには少しハードだと思います。
そういう場合は、1人目人事、専任人事受入の準備としてまずはスタートアップ・ベンチャー経験が豊富な人事の業務委託を検討してみてはいかがでしょうか?

Crepeでは、成長企業向け即戦力プロ人事シェアリングサービス「すごい人事パートナー」や、人事業務の内製化を支援する「すごい人事トレーナー」があります。 自社に適したサービスをご利用いただくと、自社にノウハウが溜まりトラブルを未然に防ぐことに役立つと思います。

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1人目人事の採用や、専任人事の選出や育成に悩まれている企業さま、ご相談はお気軽に!
ここまで読んでいただきありがとうございました。

ライター:西田ゆい
名古屋の老舗企業とベンチャー企業で人事を経験後、独立してフリーランスの人事になる。現在は5~6社に入り、採用・労務・組織開発など幅広い業務を担当している。「誰もが楽しく働ける社会へ」を個人ミッションとして日々邁進中。

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