リスティング広告の基礎知識
1.はじめに
1-1.きっかけは社内勉強会
先日、社内でリスティング広告の勉強会をしました。
参加頂いている方とざっくばらんにディスカッションでき、個人的に学び多い時間でした。
また、勉強会は自分自身がリスティング広告について詳細に理解できていない点を明らかにする良い機会でもありました。
1-2.本記事の目的
今回のnoteでは勉強会資料をベースに「リスティング広告の基礎」についてまとめてみたいと思います。
本記事は私自身のWebマーケターとしての経験だけでなく、Google広告ヘルプページ、Udemy講座、Tomoyuki Yonemitsuさんのnote、リッチリンク社Youtube等のコンテンツも参考にしてまとめています。
2.本題に入る前にアイスブレイク
2-1.そもそもWebマーケティングとは?
リスティング広告はWebマーケティングの一手法です。
本題に入る前にWebマーケティングとは何か?についても触れておきたいと思います。
Webマーケティングの定義は広義と狭義で2種類あります(下記図)。
広義では「自社メディアを中心に、顧客の役に立つ活動を通じて利益を上げ続けられるようにすること」を意味します。
一方、狭義には「自社の顧客獲得や売上増加といったゴールのために自社メディアを中心にさまざまな販促活動、プロモーションを行うことの総称」を指します。
なぜ広義と狭義で2つに分かれているのでしょうか。それはマーケティングの歴史と現代企業の組織形態が関係しています。
20世紀初頭に生まれたマーケティングの歴史からWebマーケティングを定義しようとすると、その活動範囲は販売促進やプロモーションに限定されません。したがって、広義の解釈が妥当です。
しかし、現代の企業では組織機能の細分化が進んでおり、その結果として狭義的な定義の方が実態を説明するものになっています。
2-2.リスティング広告はWebマーケティングの一手法
Webマーケティングにはさまざまな手法が存在します。リスティング広告はその中の一つに過ぎません(下記図を参照)。
リスティング広告は多くの企業で利用される手法の一つです。
しかし、上記図解の通り、自社資源(予算・時間)を投下できる他の候補も複数存在します。
マーケティングマネージャーは、事業の目的や問題、自社資源を考慮して、他の手法も活用するべきかを検討しなければなりません。
ここまでが本題前のアイスブレイクです。
次項からはリスティング広告の基礎について説明します。
なお、説明は全てGoogle広告を例にしています。
3.リスティング広告の基礎
3-1.リスティング広告とは?
リスティング広告(検索連動型広告)は、Google広告の主要な機能の一つです。
ユーザーが検索エンジンで特定の語句を検索した際に、検索結果ページの上部や下部に表示される広告です。
購買ファネル上でリスティング広告の役割を捉えてみましょう。
リスティング広告はサービス利用熱度が高いカスタマーにアプローチできる手法であることが分かります。
リスティング広告の基本要素
本項では、リスティング広告を構成する基本要素について説明します。
下記資料の赤字1〜5で示している内容は、普段から検索サービスを利用する方は直感的に理解しやすい内容かもしれません。
上記の図解資料3・4はまとめて広告文や広告クリエイティブと呼ばれることもあります。
3-2.リスティング広告の特徴・メリット
リスティング広告には、大きく分けて3つの特徴とメリットがあります。
ターゲティング、ビッティング、クリエティブの順に詳細を説明します。
1. ターゲティング
リスティング広告では、特定の行動を促すこと(例:購入、登録、クリック)を目的とした詳細なターゲティングが可能です。
ユーザーの行動履歴やデモグラフィック情報を基に、精密にターゲット設定を行うことで、より効果的な広告配信が実現します。
2. ビッティング
リアルタイムで狙ったターゲットに入札し、検索結果に広告を表示させることができます。カスタマー視点で視認性が高い場所に広告を表示するためには、入札単価や広告品質が重要なポイントとなります。
3. クリエイティブ
リスティング広告では、効果分析のPDCAサイクルが早いため、広告パフォーマンスを最大化するために、A/Bテストを通じて異なる広告訴求を試し、どれが最も効果的かを確認することが重要です。
これにより、広告効果を高めるための最適なクリエイティブを見つけることができます。
これらの特徴を活用することで、リスティング広告は非常に効果的なマーケティングツールとなります。
3-3.リスティング広告の種類
リスティング広告の代表的なプラットフォームには、Google広告、Yahoo! 検索広告、Microsoft広告の3つがあります。
これらの広告プラットフォームの最も大きな違いは、配信面です。
配信面の違いにより、広告の露出機会や検索ボリューム、さらには成果指標(KPI)にも大きく影響します。
効果的な運用には、プラットフォームごとの特性を理解し、広告運用に反映させることが重要です。
それぞれのリスティング広告の特徴も合わせてご紹介します。
Google 広告
広範囲なユーザー層にリーチ可能で、検索ボリュームも非常に多い。ただし、競合が多いためCPCが高くなる傾向がある。
Yahoo! 検索広告
日本市場に強みがあり、特に国内ターゲットに向けたキャンペーンに適している。CPCはGoogleに比べてやや低い。
Microsoft 広告
海外での利用者が多く、特にビジネスユーザーや年齢層が高い層にリーチするのに有効。
3つのプラットフォームの中でCPCは最も安価(な可能性が高い)。今は比較的競合が少ないため費用対効果が良い。
検索パートナーについて
Googleの検索パートナーとは、Googleと提携して検索結果に広告や無料商品リスティングを掲載する検索ネットワークのサイトを指します。
検索パートナーは、YouTube などのGoogleのサイトに加えて、Google以外の多数のウェブサイト(livedoor、BIGLOBE、goo、OCNなど)にGoogle検索広告とリスティングのリーチを拡大します。
検索パートナーのサイトでは、検索結果ページ、サイトディレクトリページ、ユーザーの検索クエリと関連性の高いその他のページに広告とリスティングが表示されます。
また、Yahoo! JAPANにも、検索パートナーとして提携している外部のウェブサイトやアプリ(Ameba、excite、so-net、OCN、Biglobe、nifty)などが挙げられます。
LINEヤフー株式会社のパートナーサイトについて
LINEヤフー株式会社は、Yahoo! JAPANとLINEの統合によって生まれた企業です。
この統合により、Yahoo! JAPANの検索広告がLINEのパートナーサイトでも配信される仕組みが確立されました。
具体的な例としては、以下のようなLINE関連のプラットフォームが広告配信面になります。
3-4.リスティング広告とSEOの違い
ここでは、リスティング広告とSEOの違いについて説明します。
SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)は、ウェブサイトを検索結果で上位に表示させるための対策です。つまり、SEOはWeb広告やリスティング広告とは異なる分類に属します。
有料のリスティング広告とは異なり、SEO(検索エンジン最適化)は無料で行えますが、即効性は期待できません。
SEOの取り組みを開始してから、サイトへの流入増加などの成果が現れるまでには半年から一年程度の時間がかかることが一般的です。
時間はかかりますが、SEOの良い点は、その資産性です。一度施策を実装すれば、中長期にわたって効果を発揮し続けます。
3-5.リスティング広告が表示される仕組み
リスティング広告が表示される仕組みをカスタマー視点・広告主・媒体視点から整理してみたいと思います。
リスティング広告が表示される仕組み①カスタマー視点
カスタマー視点では、検索した語句に関連した広告が表示されています。
カスタマーの検索語句と広告主が指定したキーワード(※)が一致した場合に広告が表示されます。
※キーワードとは、ユーザーが検索する語句と広告を一致させるために使用される単語やフレーズです。
ただし、カスタマーが検索した語句と広告主が指定したキーワードが一致したからといって、必ずしも広告が表示されるわけではありません。
広告が表示されるためには、広告主がオークションで勝利する必要があります。
次項では広告主・媒体視点を含めてリスティング広告とオークションの挙動を説明していきます。
リスティング広告が表示される仕組み②広告主・媒体視点
カスタマーが検索した語句が、広告主側で指定したキーワードと一致すれば広告がオークションにかけられます。オークションでは広告ランク(※)数値をベースに各広告主間での入札勝者が決まります。
リスティング広告において、広告ランクは非常に重要な仕組みなので、次項で詳細を説明します。
3-6.広告ランクとは?
広告ランクとは、検索結果ページで広告の掲載位置を決定するために使用される数値です。
各オークションでは、他の広告主の広告と比較して広告ランクが算出され、順位が決定されます。広告ランクを決定する要素は以下の通りです。
広告ランクが上位になると、次の2つのメリットがあります。
広告ランクを上げることで、これらのメリットを享受できるようになります。
次に広告ランクスコア改善の3つレバーである上限クリック単価、広告の品質、広告表示オプションについて補足します。
上限クリック単価とは
リスティング広告における上限クリック単価とは、広告主が1回のクリックに対して支払うことを最大限に許容する金額のことです。
これは、広告主が入札時に設定する金額であり、この金額が高いほど広告の表示順位が上がる可能性があります。
一方で上限クリック単価を上げる際は下記2つの観点に注意する必要があります。
上記で記載した点に考慮しながら、上限クリック単価を調整し、広告ランクを効果的に高める必要があります。
広告の品質とは
広告の品質とは、カスタマーが検索広告を目にした際の体験とランディングページへ進んだカスタマーに提供される体験の質を推定したものです。
広告の品質評価の結果は、品質スコアでわかります。品質スコアはGoogle広告アカウントで確認することができます。
広告表示オプションとは
リスティング広告の広告文の下に広告見出しや説明文だけではカバーできない情報(テキストやリンク、住所、電話番号など)を表示することができる機能です。
広告にコンテンツ(サイトリンクや画像などのアセット)を追加すればするほど、検索結果ページでの広告の表示可能性や視認性が高くなり、広告の成果も向上することが期待できます。
広告ランクの公式はGoogleが発表したものではありません
補足までですが、下記公式はGoogleが正式に発表したものではありません。
あくまで、筆者がGoogleヘルプ内容を踏まえて解釈したものです。
「+ 広告表示オプション」となっている通り、広告表示オプションの影響度合いはおそらく小さいと思います。
一方で、正しく設定するだけでオークション上は少なくともプラスに働くことは間違いなく、広告出稿時はもれなく設定するのがオススメです(ユーザー体験や画面の占有率的にも◎)。
ちなみに『いちばんやさしいはじめてのGoogle広告の教本 人気講師が教える運用型広告の基礎と実践 』の広告ランクに関する説明を見ると、公式に広告表示オプションは入っていませんでした。
本書内の広告ランクに関する説明は下記の通りです。
同書はGoogleにて広告営業や運用業務に携わっていた杓谷 匠さん、 Google 広告主コミュニティ プラチナ プロダクトエキスパートの田中広樹さん、アユダンテコンサルタント宮里茉莉奈さんによって書かれている為、信用できる内容と考えられますが、最終的にはGoogle見解を捉えつつ、読者側でどの考え方を支持するか決めて頂くのが良いかと思います。
3-7.リスティング広告のアカウント構成とは?
本項以降では、実際に広告運用を行う際に必要となる基礎知識について説明していきます。
まずはアカウント構成についてです。
アカウント構成とはリスティング広告を設計する際の基本的な枠組みのことです。
下記資料の青字番号①~⑤を順に説明していきます。
①アカウント
階層構造の最上位の単位。ログインする為のメールアドレス・パスワード、お支払い情報がここで設定されています。
②キャンペーン(CPN)
広告グループをまとめる階層。日予算の設定や、エリア・言語設定、入札戦略の設定などはこの階層で行う。
③広告グループ
同じテーマを持つ広告やキーワードをまとめたものです。キーワードと広告文をまとめる階層。名称の通り「広告」のグループとなるため、広告訴求内容にマッチしたキーワードを登録する。
④広告
広告の構成要素は見出し(Title)と説明文(Description)の2つです。広告は広告グループ単位で設定が可能。
⑤キーワード (KW)
自社商材のターゲットに関連するキーワード。種類としては自社名や自社商材名などの指名ワードと、自社商材以外にも当てはまるような一般ワードの大きく2つに分けられる。
3-8.キーワードのマッチタイプとは?
キーワードのマッチタイプは3種類
キーワードがユーザーの検索語句と一致すれば広告がオークションの候補に入りますが、その際にどの程度厳密な一致を求めるか指定するのが、キーワードのマッチタイプです。
上記資料にも記載していますが、完全一致は「キーワードとまったく同じ意味または意図の検索」が広告の表示対象です。
一方、フレーズ一致は「キーワードと同じ意味の内容を含む検索」が表示対象です。
マッチタイプによって検索語句との類似度が異なるため、広告運用に大きな影響を与えます。したがって、これを正確に理解しておくことが重要です。
ちなみにGoogle側の見解としては指名系キーワードは完全一致・フレーズ一致を活用し、一般系キーワードはインテントマッチ活用を推奨しているようです。
インテントマッチの補足
また補足までですが、インテントマッチの旧名は部分一致です。2024年7月に名称変更になっています。Googleは変更の理由を以下のように説明しています。
Googleは2000年から検索広告を開始していますが、現在では検索クエリが以前よりも複雑で多様になっているとの事。
毎年2割程度のクエリは1年前は検索自体されていなかったりするので、変化はかなり激しいと想定されます。
この変化に対応するために、インテントマッチ(旧名:部分一致)が重要な役割を果たします。
インテントマッチは、大規模言語モデル(LLM)を利用して何十億ものテキストを学習し、ユーザーの意図を理解します。
さらに、他のマッチタイプでは使われない複数のシグナルを用いることで、ユーザーの検索意図に最も関連する広告を表示できるようにしています。
完全一致、絞り込み部分一致、フレーズ一致と比較すると、インテントマッチは固有のシグナルとしてランディングページの内容、広告グループに含まれる他のキーワード(テーマの学習)、過去の検索、ユーザーの所在地データを使って広告配信を実施しています。
3-9.品質スコアとは?
品質スコアとは、リスティング広告の品質を、他の広告主と比較してスコアで表す診断ツールです。
品質スコアが高いと、リスティング広告の掲載順位が上がりやすくなり、コスト削減が実現しやすくなります。
スコアは1~10の数値で示され、キーワード単位で確認できます。
品質スコアは、次の3つの要素を総合して算出されます。
各要素には、評価に応じて「平均より上」、「平均的」、「平均より下」のいずれかのステータスが付きます。この評価は、過去90日間にまったく同じキーワードに対して広告が表示された他の広告主との比較に基づくものです。
ステータスが「平均的」または「平均より下」の要素がある場合、その部分に改善の余地があるかもしれません。記載した3つの要素は改善方法の定石がありますので続いて記載します。
広告の関連性を上げる方法①
極論、検索されたクエリと同じ文字列が広告文に含まれていれば、関連性は高いと判断されやすいです。
ただ自社サービスと関連性が低いクエリについては、広告文に追加して仮に管理画面上の広告の関連性が上がったとしても、最終的にCVする可能性が低いです。
なので、あくまで自社サービスと関連性が高いにも関わらず、現時点で広告の関連性が低いと評価されているものについては、積極的に広告文に追加していく良いかと思います。
また反応したクエリに対して、キーワード登録が漏れていたら、キーワードを忘れずに追加していく事も大切です。
広告の関連性を上げる方法②
前提として、検索されたクエリが広告文の中に
含まれる割合を高める具体的な方法はインサーション機能の活用です。
インサーション機能はキーワードと広告文の関連性を高めるためのツールで該当指標改善において重要な役割を果たします。
インサーション機能とは、広告文にユーザーが検索したキーワードを自動的に挿入する機能です。
これにより、検索しているユーザーに関連性の高い広告を表示でき、品質スコアの向上だけでなくクリック率の向上にもつながる可能性があります。
推定クリック率の改善方法
推定クリック率は要約すると登録されているキーワードがトリガーとなって広告配信された時のCTRを予測した数値です。
予測する際に参考にする指標が、そのキーワードの過去のクリック率であったりデバイスの種類だったり複数あります。
登録されているキーワードがトリガーとなって広告配信された時のCTRというのは例えば掲載順が違うともちろんクリック率が違ってきてしまうので、あくまでキーワード単位で見た時だけの想定のクリック率ということになります。
推定クリック率についても、管理画面上のキーワードのタブで確認が可能です。
平均より上/平均/平均より下の3段階で評価されています。特に改善すべきなの平均/平均より下のキーワードになります。
推定クリック率 改善ポイント①
権威性やお得情報、競合と比較した際の優位性をふんだんに活用すること。
Googleヘルプにもある通り、クリックを促すような独自性のある訴求を広告文に含めると良いです。
推定クリック率 改善ポイント②
実際のキーワードで検索して競合がどのような訴求をしているかを確認しましょう。
前提として、品質スコアは相対評価です。
つまり、同一キーワードに対して広告を出した競合と比較して平均より上/平均/平均より下を評価されています。
そのため、競合がどのような訴求をしているかを確認すれば、自社の広告がなぜ推定クリック率が低いかというのを推察することができます。
競合調査の目的は他社を真似る事ではなく、あくまで自社の強みで抜け落ちている訴求がないかを確認すること、または言い回しの参考にする為です。
Google側機能としてマイアドセンターで競合調査もできるので適宜調査に活用しましょう。
ランディングページの利便性の改善
Googleは、ユーザーが検索したクエリに対して、LPがどれだけ関連性があり、利便性が高いかを評価します。
まず、関連性とは、検索クエリとLPの内容(広告文やLPの一致性)がどれだけ一致しているかを指します。Googleは、検索クエリとLPのタイトルやメタディスクリプション、H1タグなどを参照し、これを判断している可能性があります。
また、DSA(動的検索広告)でも、この関連性が重要となるため、キーワードとLPの内容が一致していることが求められます。カテゴリごとにLPを設けることで、より高い関連性を確保できるでしょう。
次に、利便性については、LPの表示速度がポイントです。ユーザーがクリックしてからページが表示されるまでの時間が遅かったり、ページ自体の動作が重い場合、GoogleはそのLPを「利便性が低い」と判断します。
このため、Page Speed Insightなどのツールを使って、モバイルで70点、デスクトップで90点以上を目指してページ速度を改善することが推奨されます。
最後に、離脱率も利便性の評価に影響を与えます。離脱率が高いと、ユーザーがページをすぐに離れてしまっていることを意味し、Googleから低評価を受けることになります。定期的に離脱率を分析し、その要因に対して適切な施策を実行していくことが重要です。
要するに、関連性の高いコンテンツを持ち、迅速に表示されるLPを作成することが、品質スコアを向上させるカギとなります。
品質スコアの簡易的な確認方法
管理画面から品質スコアを期間を指定してみると、過去の履歴と現在のステータスを見ることができます。
例えば広告文を変更して、30日経ったときに過去30日で実績を見たら、履歴と現在で品質に変化があったかということをみることができます。
もし、品質が変わっていれば、広告を変更したことで改善したかどうかというのが正確に確認することができます。
品質スコアと広告ランクの関係性
ちなみに、品質スコアは広告ランクのスコアを決定づける1要素である「広告の品質」評価の結果指標です。
品質スコアをベースに広告品質を改善すると広告ランクスコアにもポジティブな影響を与えることが理解いただけるかと思います。
登録しているキーワード全てに品質スコアがつかない理由
品質スコアは登録しているキーワードが検索クエリと完全に一致した場合に、付与されるものです。
マッチタイプ インテントマッチでキーワードを登録して拡張された検索クエリでヒットしたとしても、品質スコアは付与されません。
その為、広告主はキーワードの登録を怠って、インテントマッチの拡張任せで運用していると、品質スコアが付与されず、広告の品質改善の為の、適切なモニタリングができません。
なのでクエリを見て、キーワード登録ができていない場合は、都度登録することが必須になります。下記の通り管理画面で確認可能。
ただしながらここは注意が必要で、インテントマッチを活用すると、傾向こそあるものの1表示1クリック1CVのような検索クエリを拾ってきたりすることもあります。
上記を毎度全て検索キーワード登録していくと、結局キーワードごとの学習量が分散してしまう懸念があります。
なので、同じような検索クエリで何度もCVが取れる場合(再現性がありそうな場合)に関しては、検索キーワードとして追加し、品質の向上を狙っていくのが良いかと思います※。
※ 完全に検索キーワードとクエリが一致している方がオークションでも勝ちやすい認識。
3-10.リスティング広告の入札戦略
入札戦略とは、広告オークションにおいて、他社との競争に勝ち、効果的な掲載面を獲得するために、適切な入札方法を選択することです。
入札戦略には、手動で入札単価を調整する「手動入札」と、Googleの学習機能で得たデータを活用して自動で入札を実行する「自動入札」の2種類があります
自動入札では、クリックやコンバージョン、インプレッションシェアなどの重視する指標に合わせて、さまざまな戦略を選択できます。たとえば、ポートフォリオ入札戦略では、複数のキャンペーンや広告グループ、キーワードをまとめてグループ化し、掲載結果の目標に合わせて入札単価を設定します。
また、コンバージョン数やコンバージョン値を重視した最適化を行う入札戦略には、機械学習を使用して入札を最適化する「スマート自動入札」もあります。
各入札戦略の詳細説明はGoogle広告ヘルプ、Prime numbers社の説明を参照ください。
Value Based Bidding 入札戦略(価値に基づいた入札)について
上記図内で水色で★をつけている箇所は「Value Based Bidding(バリューベースドビッディング)」と呼ばれており、直訳すると「価値に基づいた入札」という意味です。略してVBBと呼ばれています。
リスティング広告における価値とは、「売上の向上」を指します。
VBBは「売上」に価値をおいて費用対効果を高める入札戦略を行います。
VBB入札戦略の代表であるコンバージョン値の最大化、目標広告費用対効果(tROAS)について概要を次に記載します。
本項の最後にVBBの活用事例として、トライトグループ社の内容を貼っておきます。私が働いている業界が人材領域なので参考になります。
人材サービス運営のトライトグループ、ROAS 改善への試行錯誤
3-11.検索キーワードのマネジメント
前提
リスティング広告にて検索キーワードを洗い出す際に役に立つツールを先にご紹介します。本項では下記ツールを使うことを前提に説明します。
キーワード初期設計方法
リスティング広告における検索キーワードの初期設計を効率よく進めるためには、以下の手順に従って作業を進めます。
検索キーワードとクエリの管理方法
まず上記管理方法については鉄板の方法があるので下記に記載します。
なぜ上記の方法論が鉄板なのか?
理想的にはインテントマッチで掲載してクエリを拾っていくことはまずやりたいこと。
ただやみくもにインテントマッチを追加しても、CPAを悪化させることになるので、完全一致で効果が良いものをフレーズ一致、フレーズ一致で効果が良いものをインテントマッチというような形で徐々に段階を踏んでマッチタイプを広げていく事でCPAを高騰させることなくクエリを広げていくことが出来る。
かつ、それぞれのマッチタイプごとで効果が合うものだけ拡大する手順なので 効率も守りつつ、カバレッジ拡大が目指せる。
完全一致とフレーズ一致の比率は理想的には9割以上
掲載されるクエリの量というのはインテントマッチさえ入れていれば問題ないんですが、 TDで効率的な掲載の仕方としてインサーションというものがある。
インサーションはヒットしたクエリではなく、検索キーワードが返るようになっている。
インテントマッチを設定していて、拡張された結果、 掲載された検索語句があった場合に、その検索語句がTDに返るのではなくて、 拡張する前の元となったインテントマッチの検索キーワードが返ることになる。
こうなるとせっかく、効果の良いインサーションTDを入れていても、 ユーザーが実際に検索した検索語句ではないものが、TDに返るのでなかなかCTRが上がっていかない。
逆に獲得したインテントマッチをどんどんどんどん完全一致化していくことによって実際にユーザーが調べた検索語句がしっかりと正確にインサーションTDに返ることでCTRが高まり、品質が高まってより低いCPCで掲載していくことができる。
しっかりとインテントマッチで拡張はしていきたいが、効率を守りながら拡大していくために①順序を踏んで拡大していく事。②かつインテントマッチだけに頼らず、完全一致とフレーズ一致の比率を高めていく事でより正確なインサーションを実現する事、この2つを実行していくことがとキーワードとクエリの管理法において重要になってくる。
3-12.目標CPAの設計方法
目標CPAの考え方と設計方法については、昨年まとめた自分の記事を引用致します。リスティング広告を出稿する商材によって目標CPAの考え方が変わります。
1.平均原価からCPA水準を決める
商品の購入やサービスの利用が目的で、継続的な利用が見込まれない場合に、この考え方が当てはまります。
2.目標ROASからCPA水準を決める
事業主語で目標ROASが決まっていれば、「1CVの平均売上÷ROAS」で許容すべきCPAラインを設定できます。
例えば既存広告メニューであるFacebook広告の許容CPA(事業として採算が取れる獲得単価)を考えるときに、1CVの平均売上をROASで割ることで具体的なCPAが設定できます。
3.Life time Value(生涯収益)からCPA水準を決める
CPAの水準はCVを1件獲得した場合に
期待されるLTV(Life time Value:生涯収益)から考えることもできます。
リピート性の高い商材の目標CPAを考える場合はLTV起点で考えるのが一般的です。
一般的なECサイトのCPA水準について考えてみましょう。この場合、目標CPAは下記の式で表すことができます。
例えば平均顧客単価が¥5,000、平均原価が¥1,000、平均購入回数3回の場合、
(¥5,000-¥1,000)×3で¥12,000となります。
4.あわせて知っておきたい!リスティング広告のパフォーマンス改善に欠かせない指標&機能
4-1.インプレッションシェア損失率
指標について
インプレッションシェア損失率は広告の表示機会を改善するための指標です。
インプレッションシェア損失率は、広告が表示されるべき機会に対して、実際に表示されなかった割合を示します。主に予算不足や広告ランクの低さが原因で発生します。
この指標は、広告が表示されなかった理由を特定し、広告の表示機会を増やすための改善点を明確にするのに役立ちます。大枠の改善方針は下記の通りです。
指標ごとの確認方法
管理画面で見れる指標を説明します。改めてですが、
インプレッションシェアは下記の指標です。
そして、インプレッションシェアは下記の式が成り立ちます。
そしてそれぞれの指標はアカウント内で下記から確認可能です。
キャンペーン単位で日予算を設定するのでそのような上記仕様になっていますが、広告グループとキーワードに関しても、上記方程式を使えば予算損失を求めることが可能かと思います。
4-2.広告の有効性
広告の有効性とは
広告の有効性は広告のパフォーマンス(クリック率、コンバージョン率など)を改善するための指標です。
同指標からヒントを得て、広告見出しや説明文の見直しをすることで、広告効果を改善できます。Googleヘルプの内容を引用します。
広告主が「広告の有効性」をそもそも見ておらず「低い」の状態のまま放置しているのは非常にもったいない状態です。
クリック率、コンバージョン率などパフォーマンス改善に繋がりますので、まずは管理画面から状態把握を行いましょう。
広告の有効性はあくまでクリエイティブ改善のヒント
ここで補足ですが、「広告の有効性」はあくまで
クリエイティブ改善のヒントとして使うのがベターです。
前提として、広告文(タイトルと説明文)はユーザーの目に触れる部分なので違和感がないか・ブランド観点で問題がないか・事業ターゲットとは異なるユーザーを連れてきていないか等を広告文を作成する最初の段階で注意しましょう。
その上で、運用状況により「CTRが低い」「ターゲットと異なる流入が多そう」「長期間差し替えておらず摩耗が見られそう」など広告文に課題がありそうなときに差し替えを検討し、左記の検討時に参考までに広告の有効性を管理画面で確認し、できるだけ最良を目指す動きが良いかと思います。
また成熟し安定してきているリスティング広告アカウントの場合、公称データ等の最新情報の更新以外は大きく変更をかけない場合もありますので、時と場合に応じて参照する指標と捉えてください。
(基本的にGoogleの機械学習により良いTDが表示されるようになっているので、表示回数が多いTDを差し替えることはリスクが大きい。表示回数が少ないTDはインパクトが小さいことが考えられる)
続いて広告の有効性の4要素を使った改善方針について補足します。
広告の有効性 要素①広告見出しを追加しましょう
こちらは基本的にはレスポンシブ広告の15枠のうち8つ以上埋めればクリアできるので満たせるようにしましょう。多く埋めるほうが機械学習も働きやすくなるかと思います。
広告の有効性 要素②よく使われているキーワードを広告見出しで使用してください
こちらも基本的には満たせるようにしたい項目です。
(ちなみに「KW」「TD」「LP」はすべて一貫性があることがベスト、GoogleはターゲットとずれたKWに広告を出稿することを想定していません)
ただし、CPCが低いなどの理由であえて若干ターゲットとは異なるユーザーも入っていると考えらえる、KW等に出稿して、広告文でふるいにかける方法もあります。
(昨今のGoogleの動向としてビッグワードの方が競争率が低いためCPCが低く、専門性が高いKWの方が競争率が高いためCPCが高い)
その場合、KWと広告文が必ずしも一致はしないかと思いますので、こういったときにはあえてKWをそのまま広告文に入れない場合もあります。
広告の有効性要素 ③広告見出しをより独自性のあるものにしましょう
&④説明文をより独自性のあるものにしましょう
こちらは、指名以外の検索キーワードで基本的に満たすようにしましょう。
独自性というのがどうやらTDの組み合わせパターン数を指しており、
ピン止め機能(その広告文を出す位置を1番目、2番目、3番目いずれか指定する機能)を使用しているか否かでこの項目を満たす満たさないが変わります。
数学の順列の考え方なのですが、ピン止め機能を使用することですべてのTDの組み合わせの通りが減ってしまいます。
Googleとしては、機械学習に任せてほしいので使ってほしくないようで、広告主側も組み合わさると意味が分からないもの以外はピン止め機能はあまり活用していないようにしましょう。
一方で指名キーワードだと例えば、「【公式】具体的なブランド名」など公式が付くものは1番目に出したい、などの希望があることが多いので、ピン止め機能を使用してもOKです。
Googleの考えに従うと、もちろん①~④すべて満たしてあげるのがいいので基本的には満たす数を増やして最良に近づけられるようにしましょう。
しかし、事業方針からあえて意図しない配信の仕方をする場合もあるので、その場合には満たしてあげられないこともあります。左記は利害関係者と適宜認識を合わせて広告運用を行う必要があります。
4-3.キーワードステータス
「キーワードのステータス」はキーワードの選定と管理を効率的に行うための指標です。
キーワードステータスは、キーワードが広告オークションに参加しているか、そのパフォーマンス状況を示します。ステータスの種類は以下の通りです。
この指標を活用することで、各キーワードの広告配信状況を効率的に把握することができます。
また、「有効(制限付き)」の状態については、広告文(見出し・説明文)の改善ヒントにも繋がりますので、特に注意してご確認ください。
4-4.スマート自動入札
スマート自動入札とは
スマート自動入札(旧「オークションごとの自動入札」)は、Google AI を使ってコンバージョン数重視またはコンバージョン値重視の最適化をオークションごとに実施できる入札戦略です。
自動入札とスマート自動入札の違いは?
スマート自動入札と自動入札の違いは入札戦略における目的です。
自動入札は、自動で入札戦略を行う全ての機能を指します。
一方、スマート自動入札は、自動入札の中でも特にコンバージョン獲得及びコンバージョン値に特化した入札戦略を指します。
目標コンバージョン単価、目標広告費用対効果、コンバージョン数の最大化、コンバージョン値の最大化はいずれもスマート自動入札戦略です。
掲載結果を正確に評価する為に必要なコンバージョン数は?
スマート自動入札の最適化にはどれくらいのコンバージョン数が必要なのでしょうか。
Google広告ヘルプではスマート自動入札に関して下記のように説明しています。
Googleの公式コメントをベースに考えると「1カ月以内にコンバージョン数が必ず30件必要!」などの縛りはないと解釈できます。
またゴールド&シルバー プロダクト エキスパートの方々のコメントを参照すると、あくまで基準的な数値であり、マーケットやビジネスによっても異なるようです。つまり、一概に「何日で何件」と言えないということ。
筆者の業務経験を踏まえても自動入札(スマート自動入札)の機械学習期間は明確な期限はラインはなく、アカウントの状況次第かなと思っています。
入札戦略を変えたり、アカウントを1カ月程度停止しているところから再開した時は開始から3~4日で検索クエリが広がり、そこから1~2か月かけてターゲティング及びビッティングが安定化していく印象があります。
ちなみにですが、もちろんコンバージョン数は多いほうが機械学習のシードデータが増えるので良いと思います。
本項の最後に株式会社デジタリフトさんの下記記事を貼っておきます。運用者の経験も踏まえて書かれており、個人的に参考になりました。
Google、Yahoo!、Meta、Criteoなど複数の媒体の必要コンバージョン数について触れられています。
4-5.自動入札で使用されるシグナル
シグナルとは
シグナルは個々のユーザーやオークション時のコンテキストを特定できる属性のことです。Google製品で使われる言葉です。
Google検索やメール、マップ、YouTube、GooglePlayなどのGoogleサービスを軸に、ユーザーの行動や属性情報を収集・分析することで、広告のターゲティング、ビッティング、分析の精度を高めます。
Google側のシグナルソースは200以上あり、組み合わせると何兆通りにもなります。
GoogleはCookieに加えてシグナルを広告ターゲティングに活用できる
Googleシグナルは、Cookieとは別の軸でユーザーの行動を計測できるため、クロスデバイスに応じた分析・解析に役立ちます。ただし、Googleアカウントを持つユーザーに限定されるため、アカウントを持たないユーザーの属性や行動は計測できません。
自動入札に使われるコンテキストに基づくさまざまなシグナル
Google広告ヘルプを参照すると、様々はシグナルが活用されていることが分かります。
シグナルを下記に記載しますがかなり多いです汗。
【補足】Google側はユーザーシグナルの強さを見極めて、オークションの勝ちやすさを決めている
【例】BtoBtoCビジネスのリスティング広告
例えばBtoBtoCビジネスのリスティング広告ではtoBとtoCでアカウントを分けて、同じ検索キーワードに入札する場合があります。
リスティング広告の入札はドメインが異なれば基本的に発生しますが、Google側はユーザーシグナルの強さを見極めて、オークションの勝ちやすさを差配しています。
【例】BtoBtoCビジネスのリスティング広告(MCCが同じ)
toBとtoCが同じMCCで運用されている場合はサービス間のユーザーシグナルを共有しているので、入札差配はさらに適切に働くと考えられます。
例えばブランド傘下の複数アカウントが同じキーワードに入札しても、CPCが上昇し、広告予算が無駄遣いになるようなことは起こりません。
さらに広告主が1stPartydataを活用すればシグナルファーストの運用はさらに加速します。
4-6.機械学習を最大化するリスティング広告ベストプラクティス
Googleは機械学習を入札額の自動調整、広告の配信先の最適化、広告文の自動生成などに様々なシーンで活用しています。
機械学習を適切にワークさせ、自社のリスティング広告パフォーマンスを最大化する為に押さえておきたいポイントを書き出しておきます。
Creative Excellence、インテントマッチ、VBB入札はいずれも漏れなく活用し、広告成果の量と質の改善を狙っていきましょう。
5.リスティング広告運用で必ず使う指標一覧
5-1.広告主がまず見るべき指標
広告運用において特に頻出する8つの指標を、数・率・単価(縦軸)と購買ファネル(横軸)に基づいて以下の図にまとめました。広告主は特に赤枠の部分から状況を把握するのが定石です。
上記図の赤枠内にあるのはCV(Web広告を実施したときの目標に到達した件数)、CVR(クリック数に対するコンバージョン数の割合)、CPA(コンバージョン1件あたりにかかった費用)の3つです。
特にCVは、Web広告の最終目標がどれだけ達成されたかを示す直接的な指標です。
CVは広告主によって内容が異なりますが、商品購入、資料請求、会員登録など、具体的な行動を測定するのが一般的です。
各指標の算出方法は下記をご確認ください。
5-2.広告主と広告運用パートナーが次に見るべき指標
次はリスティング広告の改善を行う際に広告主と広告運用パートナーが見るべき指標を説明します。
下記赤字指標を捉えることでリスティング広告がどれくらい表示されたか(imp)?何名がクリックした(CTs)?、どれくらいのクリック率(CTR)とクリック単価(CPC)なのか理解できます。
5-3.広告から生まれた売上や利益を捉える指標
また、広告主はリスティング広告の実施によってどれくらいの事業収益が得られたのかも把握しなければなりません。
具体的には広告はどれくらいの事業売上(ROAS)・事業収益をもたらしたのか?(ROI)、また登録者1名あたりの売上は?(ARPU)等を捉えていく必要があります。
これは、広告投資の正当性や妥当性を理解するために必要な指標で広告運用指標とセットで覚えておく必要があります。
5-4.リスティング広告の分析方法
最後に、リスティング広告の効果分析に使える計算式を紹介します。
この計算式を使用することで、リスティング広告に関する各指標の増減要因を因数分解できます。
6.リスティング広告の成果改善施策
本項ではリスティング運用が始まってフローに乗った後、具体的にどのような手順で分析意思決定をして、どう改善していくか?PDCAにつなげていくべきかという部分を説明致します。
6-1.リスティング広告改善手順の全体像
はじめに改善手順の全体像です。図解資料は①何を目的に改善するのか? →②改善する指標を選ぶ →③実施施策を検討するという流れでまとめています。
例えばコンバージョン単価を下げたい場合、CVRを上げるのか、クリック単価を下げるのかのどちらかになります。
どちらに指標が改善余地が大きいかを運用状況から考え、特に改善幅の余地が起きい点に注力して施策を行いましょう。
また、改善する上で意識するポイントとして定量目標もセットで定めておきましょう。
6-2.クリック数を増やす為にインプレッションを増やす施策について
1. キーワードの追加
・マッチタイプの拡張
完全一致やフレーズ一致のみで運用している場合、インテントマッチを追加することで、より多くの検索語句に対応でき、インプレッションを増やすことが可能です。
・新規キーワードの追加
これまで取り扱っていなかったキーワードを追加することで、新しいユーザー層を取り込めるチャンスが広がります。設定する際には、コンバージョン(CV)しやすいキーワードを意識することが大切です。
2. 広告文の改善
・レスポンシブ検索広告の有効性向上
広告の有効性が高まると、オークションでの競争力が増し、広告が表示される機会が増えます。特に、広告の有効性が「良好」または「優良」であれば、幅広い検索語句に対応できていると言えます。
・広告文の見直しポイント
下記を確認することでカスタマーに自社サービスが伝わりやすい広告文になります。
3. 配信エリアの最適化
配信エリアが商圏ギリギリまで設定されているか確認しましょう。商圏外のユーザーに配信されないよう調整することで、無駄なインプレッションを減らすことができます。
4. その他プラットフォームの活用
Google広告で効果が出ている場合、Yahoo!広告やMicrosoft広告の導入も検討すると、さらに露出を増やすことが可能です。
5. 予算の調整
・インプレッションシェア損失率の確認
検索広告でインプレッションシェア損失率が0%でない場合、予算が不足している可能性があります。この損失率を0%にするために予算を引き上げるか、同じ予算での運用を希望する場合は入札額の抑制を検討してください。
ちなみにインプレッションシェア損失率を定常的に0%にすることが理想ですが、広告主の予算額やその他アカウント状況から達成できないことがしばしばあります。
私の運用経験や他アカウント運用者の経験談をベースにすると、インプレッションシェア損失率は5~10%をベターな目標ライン(ベストはもちろん0%)にして、代理店が広告予算の無駄遣いをしていないかチェックしていければ良いのかなと思っています。
6-3.クリック数を増やす為にクリック率を上げる施策
1. 入札価格の引き上げ
・入札価格を引き上げると、広告の掲載順位が上がり、それによってCTR(クリック率)も向上します。下位に表示されている場合、クリック率が低くなりやすいため、入札を強化して順位を上げることが有効です。
・広告掲載順位が上がると、CTRの向上によって広告ボリュームが増加し、CPC(クリック単価)の上昇を抑えつつ、最終的にはコンバージョン数の増加に繋がる可能性があります。
・そのため、広告掲載順位ごとの成果をしっかりと見極めることが重要です。入札強化により、他の指標(例:コンバージョン数、クリック単価)にどのような影響が出たかも注意深く確認する必要があります。
2. 広告文の修正
・商材を求めているユーザーのニーズを満たす訴求ができるかどうかがポイントです。広告を見て思わずクリックしたくなるような魅力的な文章を作成することが大切です。
・自社の強みや提供できる価値を活かし、ユーザーがクリックしたくなるような要素を取り入れながら、テストを繰り返して効果的な広告文を作りましょう。
・また手前味噌ですが、広告を見て思わずクリックしたくなるような魅力的な文章作りに関しては下記記事も参考になるかもしれません。
要はポジショニング分析フレームワーク(※)を活用して、自社が競合よりも選ばれる理由を磨き上げましょう。そして左記を広告文に活用していきましょうという内容です。
※ポジショニング分析フレームワークは『戦略的ブランド・マネジメント』で紹介されたフレームワークで、正式にはPoints of Xと呼ばれています。Points of Xが説明されているnoteも参考情報として貼っておきます。
6-4.コンバージョンを増やす為にコンバージョン率を上げる施策
1. その他施策(画像内容含む)
・キーワード追加/停止
コンバージョンに繋がる見込みのあるキーワードを追加し、CVに繋がらないキーワードやCPAが高いキーワードは停止します。
インテントマッチを入れて自動入札に任せっぱなしの運用ではなく、定期的に キーワード・クエリを見直しながら除外・追加対応をしましょう。 これをするだけでもCVRがかなり変わります。 できれば隔週・最低でも月1回は見直し調整していきましょう。
・除外キーワードの追加
コンバージョンに繋がらない検索語句を除外キーワードとして設定し、無駄なコストを削減します。
除外を実施する際、下記の流れで進行すると効率的に対応ができます。
・広告文とリンク先の修正
ユーザーのニーズを満たす内容に広告文やリンク先を修正することで、コンバージョン率(CVR)の向上が期待できます。
・入札戦略の変更
手動入札から自動入札、またはその逆に変更し、最適な入札戦略を見極めます。
・配信エリアの絞り込み
コンバージョンが期待できる地域にのみ配信することで、無駄なインプレッションを減らし、効率的に予算を活用します。
・配信時間・曜日の見直し
コンバージョンに繋がりにくい時間帯や曜日の配信を減らし、効果の高い時間帯に集中することでCV単価の抑制を図ります。
6-5.コンバージョン単価を下げる為にクリック単価を下げる施策
1. 入札価格の引き下げ
・キーワードの入札価格を引き下げることで、クリック単価を抑え、最終的にCV単価の低下が期待できます。
2. 品質スコアの向上
・推定クリック率や広告の関連性、ランディングページ(LP)の利便性を改善することで、品質スコアを向上させます。品質スコアが高ければ、低い入札価格でも上位表示が可能になり、クリック単価の抑制に繋がります。
3. クリック単価の高いキーワードの停止
・クリック単価の高騰に繋がっているキーワードを停止することで、コストを削減し、CV単価を下げることができます。
4. 配信エリアの縮小
・クリック単価の高い地域に対して配信を停止したり、入札を抑えることで、コストを抑制し、広告の効果を高めることが可能です。
以上です。続いては日々進化しているGoogle広告の注目機能について触れていきます。
7.Google広告の注目機能
本項目ではGoogle広告の中でも特に筆者が注目している最新機能についてまとめています。
Google製品は日々機能が開発&アップデートされます。キャッチアップしつつ自社の施策最適化につなげていければと思います。
7-1.カスタマーマッチ
Google広告のカスタマーマッチは、広告主が保有する顧客データ(メールアドレスや電話番号など)をGoogleのデータと照合して、ターゲティングの精度を高める機能です。
マッチしたリストを配信対象にできるため、既存顧客に再アプローチしたり、類似ユーザーに広告を配信したりすることができます。
カスタマーマッチは、広告管理画面で顧客データをアップロードすることで設定できます。マッチ率は平均して20~30%程度ですが、マッチングには最低1,000件以上のデータが必要なので注意が必要です。
マッチ率はリストの効果を示すものではなく、適切なデータが適切な方法でアップロードされていることを示す指標です。
1stPartydataを用いるという意味では後続で説明する拡張コンバージョンと目的(自前データを活用したターゲティング精度向上)は同じですが、
オーディエンスシグナルを設定したり、除外で活用したりでき、CVデータではなくオーディエンス(データを提供した顧客)を活用できる点が異なります。
また、メールアドレスや電話番号の生のデータをエクセルなどに落として、Googleの管理画面にインポートするので、イメージ的にはこちらの方がプライバシー保護の観点でハードルが高い取り組みです。
7-2.拡張コンバージョン
Google広告の拡張コンバージョン(拡張CV)は、より正確なコンバージョン測定と高度な入札単価設定を可能にする機能です。
既存のコンバージョン タグを補完するもので、Cookie規制により欠損する可能性があるコンバージョン計測を個人情報を用いることで補完して計測します。
拡張コンバージョンの仕組みは次のとおりです。
拡張コンバージョンは、「来店、EC購入・カート申込、動画閲覧後のCV」など、様々な用途で利用できますが、リード情報を送信するコンバージョンアクションに限定されます。
また、Googleアカウントの情報を用いるため、ユーザーが広告をクリックした時点でGoogleにログインしていないと、コンバージョン計測はできません。
ちなみに、Googleの拡張コンバージョンと近い取り組みがイルグルム社が提供するADEBiS CAPiCO(CV API)であったり、FacebookのコンバージョンAPI等になります。
以上です。今回の記事では、リスティング広告の基礎を網羅的にまとめました。
今後は、リスティング広告で成果を出すために具体的に何をどう進めていけばよいのかについて考えをまとめていきたいと思います。
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