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2023ファジアーノ岡山にフォーカス36『 リーグ戦に向けて~継続~ 』天皇杯 3回戦(H)vs湘南ベルマーレ

 リーグ戦で勝ち切れない試合の中、勝ち進めば強いチームと戦えるという夢のある大会。ジャイアントキリングの夢に魅せられた岡山のサポーターが集った。平日の水曜日の試合ということで、断念された方も多いことは間違いないが、北九州戦より多い、約3000人サポーター。両チームが見据える目の前の4回戦、そして、その先の「頂」を目指す戦いは、シティライトスタジアムで、火蓋は切って落とされた。

整列する両チーム。

 ファジフーズは、2回戦よりも出店は多くなったものの入場予測も含めて、僅か。筆者は、千屋牛丼をチョイスした。普段は、あまり食べないが、肉が超絶柔らかく、甘い。これは、美味しい。ただ、普段のファジフーズは、限定を狙うため、定番になかなか辿り着けない。

千屋牛丼。

 さて、久々に天候が安定していた。試合の内容も安定した戦いで勝てれば、良かったがそうならなかった。この試合では、「リーグ戦に向けて」という視点にフォーカスを当てて、試合そのものに関する考察は、必要最低限としたい。まずは、その試合の簡単なレビューから始めていきたい。



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1、相手より得点できるチーム~格上~

2023 天皇杯 3回戦 ファジアーノ岡山 vs 湘南ベルマーレ シティライトスタジアム
岡山イレブン
湘南イレブン(ごめんなさい、この後の整列に間に合いませんでした)

 サッカーというスポーツは、ファールかどうかの判定しかなく、基本的に内容は、試合結果に反映されない。順位上では、反則ポイントで反映されることがあるが、基本的に、相手より、得点を多く決めたチームが強いチーム(格上のチーム)である。そこに対してのアプローチとして、守備を安定させることや攻撃を工夫や特化させることで、守備機会より攻撃機会を増やす事で、相手より多く得点を決めて、勝ち点を積み重ねていく。

 引き分けであったものの東京Vの城福 浩 監督が、町田戦後に激怒していたが、どんなサッカーでもリーグ戦で勝ち点を多く積み重ねたチームが、リーグで「一番強い」という地位を手にすることができる。

 さて、この試合の岡山と湘南は、実は、ほぼ同じアプローチで勝ちあがることを目指していた。ハードワークとサイド攻撃を巡る攻防であった。立ち上がりこそ、湘南が、サイドから切れ味鋭い攻撃で岡山に迫っていたが、運動量とスピードで、岡山が、主導権を握った。

 33川谷 凪と8ステファン・ムーク2トップのプレスで、湘南のDF陣に食らいついた。特に33川谷 凪の守備意識の高さと積極性が、前回より飛躍的に改善しており、リーグ戦での活躍が期待できるものであった。2トップの一角として起用するのであれば、十分選択肢に入って来る。惜しいミドルシュートもあった。

 また、前半のポイントとして、33川谷 凪と30山田 恭也にミドルシュートが1本ずつ合った事からもチーム方針ではなく、純粋にそういったタイプの選手がいないという事が現状なのかもしれない。

 岡山は、どちらかと言えば、リザーブメンバーを見ても前半から飛ばしていって、後半以降に主軸選手で、試合を決めるというゲームプランであった事は、選手のペース配分から伝わって来た。

 サッカー的には、今季で最も岡山らしいサッカー(22シーズンまでの岡山のサッカー)試合を前半の45分ではできていた。主軸メンバーで、その運動量が目立っていた8ステファン・ムークですら、そのペースに付いていけない感じで、前半でも腰に手を当てていたぐらいだ。

 試合的には、そのペースが落ちてきた所で、選手交代して、質での戦いに移行しようという所で、なかなかプレーが切れずに、岡山の交代前に、そのまま失点してしまった。ここに関しては、岡山の選手や監督に非はなく、(直ぐに交代できなかったという意味では)不運であったが、そういった隙で決めきることができる湘南は、流石のJ1のチームらしい決定力。

 それでも、19木村 太哉の気持ちの籠ったプレーを中心に決定機を何度も作ってゴールに迫る岡山。そこで、岡山は、43鈴木 喜丈と48坂本 一彩、44仙波 大志の3人の内の2人を誰にするか迷った末に、48坂本 一彩と44仙波 大志を投入した。しかし、このメンバー変更により3バックから4バックに変更したことで、ツーセンターバックの左CBに入った42高橋 諒の軽い守備対応により生じた決定機を決められて、決定的な2点目を許した。

 これは、42高橋 諒が悪いのではなく、攻撃的に決断をすることで、同点〜逆転に持って行くことのできる可能性があった中での逆に、その決断によって生じた隙で失点してしまった。実は、この得点をアシストしたのが、26畑 大雅の圧倒的なスピードで、42高橋 諒を置き去りにし、途中出場の37石井 久継が、ゴール前に飛び込んで決めたという事で、このように流れが悪いチームと良いチームには、結果に直結してしまうという分かり易い例であった。

 そして、皮肉も岡山出身の高卒ルーキー(平塚U-15出身)の選手によって、岡山の夢は打ち砕かれてしまった。個人的に、この26畑 大雅のスピードを活かしての突破のようなプレーを、先日千葉より期限付き移籍が発表された17末吉 塁に期待したいプレーで、岡山に足りなかった両サイドができるスピードが武器の選手。手薄な右サイドの起用を含めて、状況によっては、左サイドでの起用もできるという事で、岡山の負けが決定的となったシーンから、17末吉 塁の活躍のイメージが連想するという辛いものであるが、私自身諦めが悪いので、リーグ戦に向けて最後まで可能性に繋げて欲しいと願うばかりである。




2、リーグ戦に向けて~選手評~


 さて、メインテーマであるリーグ戦に向けて、各選手の印象について、選手評価という形で、リーグ戦の出場に向けてという視点で語っていきたい。

GK:21山田 大樹

 GKは、難しいポジションで、試合感が鈍りがちだが、21山田 大樹にそうしたものは全く感じられなかった。それどころか前半の何度かあったビックセーブだけではなく、超攻撃的なピンポイントのフィードやパスというのは魅力的で、リーグ戦で再び観てみたいと感じられるパフォーマンスであった。ただ、一方で、J1の湘南相手とはいえ、2失点してしまったという事を考えると、1堀田 大輝の牙城を崩すのは難しいかもしれない。

左CB(3バック→4バックの左CB):42高橋 諒

 天皇杯での2試合のパフォーマンスは、正直リーグ戦以上であった。何故、天皇杯で、これだけ輝いたのかというと、左CBでの出場がメインという事である。4バックの左CBでは、やや対応に不安が残るが、3バックの左CBであれば、最後尾からのスピードに乗った攻撃では、オーバーラップ。守備ではインターセプトにより、そのまま攻撃に移る事ができる。

 この試合では、そうしたシーンを何度も作る事ができた。無尽蔵にも感じられる効果的な攻守での存在感は、素晴らしかった。攻撃的な3バックを採用するのであれば、個人的なファーストチョイスでは、42高橋 諒を推薦したい。それだけ天皇杯での2試合のパフォーマンスは素晴らしかった。

中CB(右CB):4濱田 水輝

 良くも悪くも抜群の安定感。ただ、5柳 育崇や23ヨルディ・バイスの牙城を崩せるかというのはまた別問題。守備が悪いというよりは、5柳 育崇と23ヨルディ・バイスの得点に絡める攻撃面での貢献度の高さを考えると、流石にバックアップの域は抜け出せない。

 ただ、声を大きくして言いたい事は、リザーブメンバーが、22シーズンの岡山らしさと23シーズンの主軸メンバー以上に、この試合で発揮できたのは、そういったサッカーを知る数少ない選手である4濱田 水輝の存在があってこそだ。リーグ戦のスタメンは、厳しいかもしれないが、来季も岡山らしさを伝える事のできる数少ないリーダーシップを持った選手という事で、練習からチームを作って行くことができる選手。それが、4濱田 水輝だ。

右CB:15本山 遥

 42高橋 諒が、異次元の存在感を魅せた中で、攻守共に”安定“しているに留まっている事が、彼の厳しい現状を物語っているかもしれない。ただ、42高橋 諒のプレーを観ていて感じられたのは、3バックの左右のCBは、攻撃参加してこそ真価を発揮するということだ。この試合では、守備は悪くなったものの攻撃面での貢献度不足が、そのまま15本山 遥の評価に直結している。

 22シーズンの終盤を含めて、4-1-2-3のアンカーのように、一人で守備を走り回る様な役割の方が、シンプルに15本山 遥は、活きる。そう考えた時に、一つ考えられるのが、守備のマンマークのスペシャリストである。もちろん、状況に応じてという条件付きではあるものの組織と個人の中で、相手の良さを消せる可能性のある選手だ。

DH:6輪笠 祐士

 久々の公式戦の出場となった。正直な所、33山田 恭也と比べて、守備のタスクが担う時間が長かった事、また両チームにスピード感のある展開であったことから、6輪笠 祐士が、どれだけ攻守で絡めたかという部分で、私の方では言及が難しい選手だ。なんとなくそういった役割を担っていたのではないかと感じられるが、負傷で離脱していた時のような存在感を放っていなかった(筆者は見分けられなかったが、守備でしっかり戦えた気がする)。

 ただ、フル出場できたという事で、今後のリーグ戦での出場機会は間違いなく増えてくる中で、15本山 遥との共存を含めて、試合感を取り戻しつつ、内容と結果をどう充実させていくか。激しい競争の中で、より攻撃にシフトしていくという部分での6輪笠 祐士のパフォーマンスに言及できるように、私もしっかり選手を観察していきたい。

CH:30山田 恭也

 正直、基礎技術レベルは、J2で戦える選手であるという認識になりつつある。それより、気になるのは、やや重たく感じるフィジカルの方だ。それが、アジリティの部分なのかトップスピードの部分なのか。フル出場が、難しい事を含めて、動き出しの一歩のスムーズさや、攻守の流れの中での一歩一歩がスムーズになるだけのフィジカルを手にすることができれば、A契約枠に含まれない貴重なHG選手として、岡山の選手層を貴重な「戦力」として厚くできる選手である。

 プレースタイルは、岡山のユース育ちという事もあり、ザ・岡山の選手で、ハードワークや守備意識は、完璧で、ミドルシュートを狙える積極性もある。判断も速く、プレーの成功率を上げるフィジカルができた時に、完成形の30山田 恭也が観れる筈だ。

 30山田 恭也を何試合か観てきたが、「戦力」として計算できる選手に成長したのではないか。もちろん、ここから主軸となることは、年齢的に難しいかもしれないが、頼もしい選手になってきたことは、30山田 恭也、いや、ファジアーノ岡山の前進であり、嬉しく感じられた。

左WB(左SB):2高木 友也

 42高橋 諒の台頭と22佐野 航大の合流と共に、2高木 友也の出場機会が減ってきている。2高木 友也の武器はと考えた時に見えにくいものがある。それでも私の認識として、2高木 友也の武器は、直線的な仕掛けやシンプルなパス交換の2点であると感じている。もう少し、クロスでのアシストが増えて来るのが理想的だが、「攻撃の厚み」が足りない。

 そう考えた時に、2高木 友也がイマイチではなく、チームとし上手く機能していない側面が強いのではないか。私のレビューではあまり触れてこなかったが、クロスからの得点やSB→SBという得点パターンのような厚みのある攻撃ができなくなっていることからも問題は根深い。

右WB:32福元 友也

 着実にWBとして成長していると感じる一方で、年々レベルの上がっているJ2リーグの中で、出場機会を掴むことができるのか。そういった意識で考えると、相当な危機感を持って、日々過ごしているのではないかと感じられる。

 好感の持てる点としては、DF→FW→右サイドの選手へとポジションを移した経緯という事もあり、守備がしっかりできる点である。走力こそ気になる部分こそあるが、「量」より「質」を追い求めて欲しいと感じる。

 MFタイプのように、ボールの組み立てに積極的に絡むというよりは、攻守で1対1に勝てる。クロスに逆サイドで合わせられる。こういった自身の経験をフルに活かせるというプレースタイル像が、成功の近道に感じられる。後は、この試合でも、攻撃時に1対1で対峙した時のクロスやパスのアイデアは多彩だなと感じた。

 この辺りは、ゴール前の密集地でプレーした経験という彼の武器であり、彼にしかできないプレーであるだろう。ただ、チームの中で、主軸としてプレーしていきたいという目標があるのであれば、岡山でプレーを続けていく事で実現するためには、繰り返しになるが、相当な危機感を持っている筈だ。

OH:25野口 竜彦

 天皇杯に強い25野口 竜彦というイメージが定着しつつあるが、この試合は、流石にJ1の湘南相手という事で、得点を生み出す事ができなかった。彼の特徴としては、技巧派でありながら直線的な仕掛けをするというタイプであることだ。44仙波 大志や22佐野 航大をイメージして頂いたら分かり易いかもしれないが、基礎技術がしっかりしている選手は、細かいタッチや大きなターンで、守備側の直線的な対応に対して、柔軟に仕掛けて打破していく。

 しかし、25野口 竜彦は、やや直線的で、止められる可能性がどうしても高くなってしまう。近年のJ2で、その突破で決定的な仕事が「できる」ではなく、「できるかもしれない」では、やはりスタメンとして出場機会を掴めない最大の理由である。

 そして、バックアップメンバーという立ち位置を長年打破できていない事を考えても厳しい立ち位置でプレーしている。北九州戦でのスルーパスのように技術に優れる選手ではあり、岡山らしく泥臭くプレーできる選手ではあるが、現状ではリーグ戦に絡む未来図までは、まだイメージできなかった。

FW:8ステファン・ムーク

 この日のスタメンメンバーの運動量とピッチコンディションの中で、かなりハードに感じていたことは間違いなく、いつも以上に疲れていたようだった。リーグ戦の主軸選手の中では、走れている方だが、どれだけ今のリーグ戦の主軸メンバーが走れていないか。というのを強く感じられた。

 22シーズンも早い段階で、交代することが多かった事からも実は、スタミナが武器の選手ではなく、長い距離を走った後でもクオリティが落ちない安定感が武器の選手である様に感じた。

 前半の決定機逸機はともかく、後半で決めきれないのは、チームの中で、前線の選手に怪我人が続出していく中で、理想とするプレー時間をオーバーしているのではないかと感じられる。やはり、彼の起用法は、60~70分走り切って、プレーのクオリティが落ちない内に交代する。もしくは、途中出場というのが、理想的に感じられる。

 48坂本 一彩と15本山 遥の復調、6輪笠 祐士の復帰、17末吉 塁の期限付き加入といった中で、負担が減れば、決定力の高い8ステファン・ムークを再びみれるはずだ。

FW:33川谷 凪

 前線からのチェイシングと裏へ抜ける意識が、劇的に改善していた。FWに怪我人が続出している中で、繋ぎの選手としては、アピールの内容としては100点満点(結果は残せなかった)の解答であった。

 この試合を観た方であれば分かると思いますが、8ステファン・ムークと共にハイプレスと裏への抜け出しの意識を高く持って、何度もスプリントしていた点はまさにスーパーサブとしての活躍をイメージし易かった。

 引いた相手にどう崩していくのかという部分がイメージできれば、もっと評価が高くなる選手だ。19木村 太哉、19末吉 塁といったスピードやドリブルで搔き乱していくという選択肢が広がった事は、チームとしての大きな後押しになりそうだ。

 ただ、33川谷 凪がメンバー入りするためには、「中盤」での活躍をイメージができるかどうかにあるだろう。チームの編成を考えても想定は中盤のサイドであった筈で、やはり、岡山の特殊なタスクを全うできず、バックアップメンバーの域を抜け出せなかった背景がある。

 恐らくオフ・ザ・ボール(ポジショニングやフリーラン)の守備に問題があるのが大きな理由であり、FWとして起用された事で、シンプルにボールに対して、アクションを起こす事で、シンプルにプレーできて、彼の良さが出た側面がある。

 ただ、そうなると、ライバルは7チアゴ・アウベスや18櫻川 ソロモン、99ルカオ、48坂本 一彩、8ステファン・ムークといった選手達がライバルとなる。彼らが全員揃った時にメンバー入りできるかとなると、別問題である。

 彼が一皮向けることができるのであれば、19木村 太哉のように中盤でも攻守に貢献できる選手になれるかどうかである。

途中交代選手に関して

 途中交代選手に関しては、リーグ戦にというテーマから逸れるため、今回は、割愛したい。ただ、1点だけ触れると、27河井 陽介が、急いでボールを持ってスローインした何気ないプレー。その前か後に2高木 友也が、出しどころを探していたプレーとは対称的にすべきことをしっかり理解している。

 多くの方が既に指摘されていることだが、私もこのプレーを観て、皆さんが仰られている通り、急ぐべき所で、素早くスローインを入れていく事の重要性を感じた。


3、リーグ戦に向けて~チーム編~

3-1:前を向く3バック

 では、具体的に選手をどうチーム(組織)に組み込んでいくのか。まずは、一番イメージし易いのが、既にリーグ戦でもあった42高橋 諒の左CBでの起用だ。ただ、そこで起用するだけでは駄目だ。

 岡山の守備は「受」の属性が強いが、この試合のように前からハイプレスを駆けていく事で、パスコースを限定する。「攻撃」だけではなく、「守備」でも「前」を向けるシーンを作って行くことで、彼の良さは活きる。天皇杯で、42高橋 諒が輝く背景は、その辺りにある。

 一つのプランとして8ステファン・ムーク、33川谷 凪、19木村 太哉のような前からプレスをかけていけるFWの選手と同時起用していくことが良いだろう。7チアゴ・アウベスや48坂本 一彩、18櫻川 ソロモンといったハイプレスにあまり向かない選手の時に42高橋 諒と、同時起用してしまうと、下がりならの守備対応が増えてしまうので、43鈴木 喜丈の方が安定する。

3-2:ロングパス主体

 21山田 大樹の魅力を改めて感じた。1堀田 大輝にはないスケールの大きさこそ感じられたが、後で回せる技術があっても繋ぎながらチームとして前進していくスタイルであれば、1堀田 大輝の方が、機動力がある分安定感があるが、仮にロングパスを積極的に使って行くのであれば、21山田 大樹のキック力やロングスローというのは、やはり魅力的だ。

 フィードのキック自体は、21山田 大樹の方が良さげで、アシストを狙うという意識も高い事もあり、攻撃的なGKと言える。チームを安定させるという観点でGKを弄るというのは、悪手にも映るが、やはり21山田 大樹も魅力的なGKに感じた。ただ、GKが守備に専念するというのであれば、1堀田 大輝や13金山 隼樹が、GKを任されるのも一理ある。

 もう1つ、1堀田 大輝が重用される理由として、DFラインの重さがある。この試合のように左右のCBが42高橋 諒と15本山 遥と軽ければ、セットプレーの高さという意味でも起用される事もあるかもしれない。

3-3:メンバー分布

基本(4-4-2)
18ソロモン(19木村・×99ルカオ・×38永井・×9ハン)、48坂本(33川谷・×7チアゴ)
22佐野 (2高木・25野口)14田中(8ムーク)
44仙波(27河井・41田部井)、6輪笠(15本山・30山田)
43鈴木(42高橋・34藤井)、5柳(4濱田)、23バイス(×20井川)、16河野(17末吉・32福元)
1堀田(13金山・21山田・31谷口)

 こうしてみると、前線の選手の怪我の選手が多い。

オプション1(3-4-2-1)
18ソロモン(19木村、×99ルカオ)
48坂本(8ムーク、×7チアゴ)、14田中(33川谷・25野口・×38永井)
22佐野(2高木・×9ハン)、44仙波(27河井)、6輪笠(15本山・30山田)、16河野(15末吉・32福元)
42高橋(43鈴木・34藤井)、5柳(4濱田)、23バイス(×20井川)
1堀田(13金山、21山田、31谷口)

 15末吉 塁の期限付き加入と6輪笠 祐士の復帰により、現実味が帯びて来た3-4-2-1。

オプション2(3-1-4-2)
19木村(18ソロモン・×99ルカオ・×38永井)、33川谷(48坂本・×7チアゴ)
44仙波(27河井)、14田中(8ムーク・25野口)
22佐野(2高木・×9ハン)、6輪笠(15本山・30山田)、16河野(15末吉・32福元)
42高橋(43鈴木)、5柳(4濱田)、23バイス(×20井川)
1堀田(13金山、21山田、31谷口)

 この試合に近いイメージ、3バックもこうしてみると面白そうだ。


4、試合雑感~風~

 この試合では、岡山にハイプレスという風が吹いていた。ただ、ゴールという壁は倒せず、風は塞がれてしまった。岡山としては、風だけではなく、壁に壁をぶつけていくような相乗効果や掛け算、足し算のように、より効果的なアクションを起こして行かなければならない。

 ここまでリーグ戦を強く意識して、この試合を振り返って来たが、岡山と湘南には、内容を度外視した歴然とした差があった。

 それは、湘南には、再現性の高いサイド攻撃があったことだ。再現性といっても、それは、やはり個の力が中心で、チームとして、シュートのイメージを前線の選手が、共有できている。

 組織的に、約束事を設定するのではなく、個の力が高い事で、ゴールをイメージできている。イメージを具現化する形の多彩さは、圧倒的に湘南の方に分があった。

 岡山ももう少し、成功を意識できるシンプルさが欲しい所だ。その点、30山田  恭也や33川谷 凪のミドルシュートというのは、勢いや気持ちが感じられた。水戸戦での19木村 太哉の決勝点の様に、全体的に物足りないのは(前に行く)気持ち(勇気)かもしれない。

 0-2で敗れてしまったが、この湘南との試合を観ながら、「岡山も十分戦えている。」「気持ちが籠っている。」「岡山らしい。」といった感想を抱けた。

 良い試合をしながら勝ちきれないという悔しい敗戦であったが、岡山の底力、可能性を感じた。横浜FMに4-1で勝った町田との差も同時に感じた所はあるが、劣勢でも一瞬で勝負を決められる個の力。それが、岡山に圧倒的に足りないとも思えない。

 この答えが解っているよで、解からないこの問題を17末吉 塁に続く補強で、梅雨明けのように、快晴となって欲しい。

4濱田 水輝 選手(岡山)
「自分たちの今までやってきた前からプレスを実践するために、受け身にならず強気で前からプレッシャーをかけに行こうと周りに伝えたかったし、言葉や姿勢で見せたかった。」

ファジアーノ岡山公式HP
天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会 3回戦 監督・選手コメント
より一部引用。
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202307122230/

文章・画像=杉野 雅昭
text・photo=Masaaki Sugino


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