2024ファジアーノ岡山にフォーカス19『 ≫≫第2期は攻撃的サッカーの予感~デザイン~≪≪ 』J2 第9節(A)vs愛媛FC
1、いつかの桜と今日の桜~一時の決別~
季節が移り変わる。久々のアウェイ愛媛戦。いつのアウェイ戦だろうか。この桜がまさに開花した時期に試合がありましたよね。昔を思い出しながら、坂道を登った。両チームのサポーターが、ニンジニアスタジアムへと集結している。
アウェイの心細さは、ここにはない。改修されたニンジニアスタジアムのゴール裏には、両クラブのサポーターの声が木霊する。これがダービー。これが近場のダービーなんだ。アウェイでのビックフラッグ。そこに僕たち私たちの誇りがそこにある。
そして、私の中での愛媛戦は、2-3や2-2のような壮絶な打ち合いになるイメージが強い。前節の仙台vs愛媛の試合をチェックしていたので、岡山での堅守でもそういった試合になるのではないかと、試合への気持ちの高まりを抑えられない。楽しみで楽しみで仕方ない。スタメン発表があって、試合までの約2時間。この時はこの時で想像が膨らむ好きな時間だ。
実は、この試合、以前交流のあった愛媛のサポーターの方とコンタクトを取って1時間ほど話をすることができた。降格するまでの2年間の厳しい戦いが、きつかったという話を聞いて、改めて降格の恐ろしさを感じた。その点、岡山はJ2の戦いが続いてきた中で、降格がチラついたことは合ってもどちらかと言えば、昇格を意識して戦えていることは幸せなことであると改めて感じた。
そして、木山 隆之 監督への想いを聞きつつ、昔からの愛媛のサポーターの方にとって、木山 隆之 監督は、特別な指導者の1人なんだと感じた。こういった率直な話ができるライバルクラブのサポーターが、1人でもいれば、Jリーグを戦うという意味を改めて感じることができる。
愛媛のチームのことや選手のことから戦術のことまで話すことができた。キックオフを前にして、私の心は満足感に包まれた。これで、両チームの試合を観ることができるなんて、なんて幸せなんだ。差し伸ばされた手に少し驚いたが、小さな縁も大事にしてくれるライバルクラブのサポーター仲間に、握手で感謝の気持ちを伝えて、決戦に向けて、一時的に好敵手として対峙するために、席に着いた。
何度も経験しても落ち着かない感じと高まる高揚感。そして、チームと共にサポーターの心もキックオフの時を迎えた。
2、悪い流れと新しい流れ~芽吹きと開花~
プレビューの前に仙台vs愛媛の試合をチェックしていたが、後方からの追い越していく攻撃参加の迫力は、普通に守ると飲まれてしまう。そういった印象を抱いていたが、その懸念が、直面してしまうものとなった。というよりも、やっぱり岡山は、どんな相手にも自然体で戦うチームであるという事を改めて感じた。
木山ファジになって、一番に変わったことは、相手のサッカーの良さを消すのではなく、自分たちのサッカーを表現することに力を注いでいる。今節引き分けた事で、3位に後退こそしたが、連敗を避けることができた通り、悪い流れを断ちうるだけの内容で戦えた試合に感じた。
この日話した愛媛サポーターの方の話であれば、サイドを埋めて5バック気味にスペースを埋めて戦うと、愛媛の攻撃の勢いはかなり落ちるという話を聞いていた。当然リサーチしていたと思いますが、岡山としては、この試合でもそういった選択はしなかった。
ただ、その中でも岡山の攻撃時の3トップの役割はしっかり整理することができていた。2トップまではいかないものの左サイドを11番 太田 龍之介 選手が空中戦で競ったり、プレスをかけることを担当して、中央とやや右で9番 グレイソン 選手が空中戦で競り、プレスやパスコースを切る感じの約束事というか共通認識として持てていたことを感じ取ることができた。
部分的には、2トップの形で、真ん中の後方に27番 木村 太哉 選手が、備えるタイミングもありましたし、右サイドのスペースを抉って、クロスを入れて、中の9番 グレイソン 選手と11番 太田 龍之介 選手が競るという形を、得点こそできていなかったが、形を作ることができていた。
最後のクオリティが足りなかったり、連携不足で、ずれることもあっても非常にポジティブにこの変化を捉えて、個人的に非常に嬉しく感じていました。ただ、当然ながらMF型のアタッカーの19番 岩渕 弘人 選手に比べて、11番 太田 龍之介 選手は、ストライカーの選手なので、戻ってプレースバックしたり、降りてきてゲームメークに加わるというよりは、同じストライカーの9番 グレイソン 選手と二人で得点を狙ったり、前からプレスをかけていくとか、中でクロスを待つといったプレーを選択する傾向にあった。
そのデメリットというか変化によって、ダブルボランチがカバーするエリアが広くなり、結果的に守備のスペースが空いたり、守備の死角というのが、シーズンの開幕のころより生じているように感じた。
この隙に突かれた結果、愛媛のサッカーに嵌ってしまいました。DFラインと中盤の間のスペースで、愛媛の選手が受けることができたり、拾うことができてしまうという事に繋がってしまった。もちろん、主軸選手が、試合に出場できていない選手がいることによる守備や攻撃のバランスが微妙に変わって、隙が生じてしまっている部分も否定できないとはいえ、それでもこの形が何度もあって、10番 松田 力 選手の技ありのミドルシュートが生まれた。
ただ、前半に関しては、先制するまでにも愛媛の方が、何度も決定機を作っており、愛媛のサッカーに守備で対応できていない岡山を尻目に、愛媛が前半の流れを掴んだ。とはいえ岡山も攻撃の形自体は作れていて、愛媛の方はある程度、守備が機能していたことで、無失点に抑えることができた前半となっていた。
愛媛としては、90分間プレー強度を維持するという事が必要なスタイルであるため、ある程度、カウンターに徹したことで、岡山として結果的に守備に対応することができたので、スコア自体は、1-0で、ホームの愛媛が前半を終えた。
愛媛は、開花した桜のようにスタイルを体現できていた。岡山もまた新スタイルが芽吹きつつあると感じた前半であった。このサッカーであれば、スコアこそリードを許しているが、新しい流れを作るかもしれない。そういった期待というか希望を持って、ハーフタイムの時を過ごして、後半のキックオフを待った。
3、堅守から猛攻へ~花火~
後半頭から岡山は、19番 木村 太哉 選手に変えて、8番 ガブリエル・シャビエル 選手を投入した。スタートから見てみたい気持ちも強いが、ファジ造語「∞GX FIELD∞」のプレーエリアを考えた時に、どうしても特殊な戦いを強いられる形となってしまう。
この試合でも守備の圧力のきついエリアから離れたポジションでのチャンスメークが光っていた。得点が欲しい時にゴール前に選手が集まることが多い中で、少し離れた位置で黒子役で、チャンスメークに徹してくる選手がいることは大きい。
この試合の8番 ガブリエル・シャビエル 選手のプレースキックでも岡山のチャンスを多く作った。特に左サイドのCKは、大きく曲がりGKが触るチャンスが全くなく、岡山の選手が頭で触れるというシーンを何度か作ることができた。
2度の同点ゴールに、直接絡むことこそできなかったが、間違いなく岡山の攻撃の回数を増やすことができるスペシャルな選手であると感じた。
21番 パク・ゴヌ 選手の後ろからの危険なファールでレッドカードで一発退場。25番 吉尾 虹樹 選手もその後に負傷交代していることからも、観客席からは少しきつめの判定にも感じたジャッジではありましたが、主審の今村 義朗さんのジャッジがなければ、岡山は一方的にダメージを受ける形となっていたので、結果的に救われたジャッジという意味では「危険であった」という判断が、妥当であったことが分かる。
岡山は、4バックに変更。その前の交代で88番 柳 育崇 選手を右CBとしていたが、右SBに、左SBには17番 末吉 塁 選手が、アンカーに24番 藤田 息吹11をおいて、8番 ガブリエル・シャビエル 選手と44番 仙波 大志 選手が、広範囲で自由にプレーした。前線は、29番 斎藤 恵太 選手、9番 グレイソン 選手、99番ルカオ 選手の個の力で同点から逆転を狙った。
攻勢を仕掛ける岡山は、8番 ガブリエル・シャビエル 選手の高精度のクロスとプレースキックで、再三の形を作れば、99番ルカオ 選手のオーバーヘッドパス、9番 グレイソン 選手のオーバーヘッドキックシュートなど、迫力ある攻撃で愛媛に襲い掛かった。
そんな中で試合を振り出しに戻したのは、CKのクイックリスタートから44番 仙波 大志 選手が、17番 末吉 塁 選手からのクロスに合わせた29番 斎藤 恵太 選手であった。これで、追いついて、後は逆転するだけという展開であった。
しかしながら最後まで逆転することはできず、逆に愛媛のカウンターを受けて、決勝点を奪われかけたが、15番 本山 遥 選手が、快速を飛ばして、最後の一本を許さず、体でシュートをブロックして、守りきった。
最後の最後までゴールを狙い続けた岡山であったが、最後までそのゴールを割ることができず、試合は、2-2で終えた。まさに死闘とも言える、内容の濃いエキサイティングな試合は、痛み分けの引き分けに終わり、岡山は3位に、愛媛は7位に、それぞれ後退した。
両チームのサッカーを観た後には、花見の時期だが、夏場には、花火のように、より熱いサッカーをしていくんだろうということを感じて、この試合は、終わった。
4、岡山の武器は堅守だけにあらず~個の輝き~
7節終了まで、岡山は、2失点という堅守を武器に勝ち点を積み重ねてきた。ただ、監督や選手から、岡山の武器とまでは口に出されていなかったように感じる。そう考えると、そういった結果が出ていただけで、セットプレーでの失点を重ねたとはいえ、岡山の武器とは何か。そこを改めて考える横浜FC戦と愛媛戦となったように感じている。
今季の岡山は、メンバー次第で、攻撃的にも守備的にもなれるチームであるように感じている。サポーター目線では、岡山の武器は、結果からも内容からも「堅守」が武器だと感じていましたが、8番 ガブリエル・シャビエル 選手や11番 太田 龍之介 選手、29斎藤 恵太 選手の復帰と共に、岡山の武器は、得点力になりつつあるのではないかと感じている。
44番 仙波 大志 選手にしても守備よりも攻撃で持ち味を発揮できる選手で、愛媛に対してもその個の力を十人分に発揮していた。選手の組み合わせによって、チームとしての武器が変わるということは良くある話で、チームとしてどうそこを内容から結果に繋げていくのかというのが、求められる。
もちろん、岡山の守備でやり切るプレーもチームとして失っていないし、多少前がかりになったとはいえ、守備意識も高い。チームとして「堅守」に+αの部分を4月から見えてきている。
25番 吉尾 虹樹 選手の状態は、心配されますが、いざとなったら55番 藤井 葉大 選手もいる。17番 末吉 塁 選手のコンディションも心配されますが、彼の驚異的なスタミナには、チームとして救われているのも事実であり、難しいところである。
4月に入って、まだ勝てていないが、新しい岡山の強さを見れるのではないかと楽しみに感じた愛媛戦となった。
この期待感を、次節以降で、内容と結果で、勝ち点3に繋げて欲しい。
文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・photo=Masaaki Sugino
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5、写真で振り返る愛媛遠征~エキサイト~
勝てなかったですが、充実の愛媛戦でした。近場のアウェイは嬉しいですね。
6、アディショナルタイム(ファジ造語24)
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