菅原伸也

美術批評・理論  ユルめの感想を書く場にしたいと思います。  https://suga…

菅原伸也

美術批評・理論  ユルめの感想を書く場にしたいと思います。  https://sugawarashinya.wordpress.com/  連絡先:shinyasugawara.critique(at)gmail.com

最近の記事

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ネット上で読める僕の文章やインタビュー

展評 2024 「いかにして美術史を語るか、もしくは語らないか──3つの展覧会を中心にして:「TRIO」「シアスター・ゲイツ展」「異文化は共鳴するのか?」」(Tokyo Art Beat) 「カール・アンドレ 彫刻と死、その間――アナ・メンディエタとともに見ること」(RELATIONS) 2023 「有識者が選ぶ2023年の展覧会ベスト3:菅原伸也(美術批評家)」(ウェブ版美術手帖) 「2つの監獄、そして監獄からの視点──Now and Then。ある展示とパレ

    • クレア・ビショップの2023年ベスト10について

      クレア・ビショップが自身のブログで、ARTFORUMの編集長であったデイヴィッド・ヴェラスコが解雇されたことへの抗議として、ARTFORUMの2023年ベスト10記事を取り下げていたことを明かし、そのベスト10記事をブログに掲載していた。 ビショップが何を選んでいるのかは実際の記事を見てもらいたいが、ここで取り上げたいのは、ビショップが10位を「ARTFORUM, 1962–2023 (New York)」としていることである。戯れにその部分を翻訳したものをすでにThread

      • クレア・ビショップ「『人工地獄』10周年記念再版本への序文」について

         もう一昨年のことになるが、2012年にクレア・ビショップの『人工地獄』原書が刊行されてから2022年で10年となった。それを記念して同年VERSOから10周年記念再版本が発売された。それに際してビショップが「10周年記念再版本への序文 (Preface to the Tenth Anniversary Re-edition)」という文章を新たに執筆し、10周年記念再版本に増補されている。これは、ビショップがこの10年を振り返り、その間に社会で起こったことを受けて、自分の考え

        • Tania Bruguera, or on the Expanded Notion of Participatory Art

          Shinya Sugawara 以前書いたこの論考のほんの少しだけ改稿した英語版です。This is the slightly revised English version of this essay originally written in Japanese. 一番下にPDFファイルもあります。There is the PDF file down below. Tania Bruguera, a Cuban political artist, has been wo

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        ネット上で読める僕の文章やインタビュー

          移民運動インターナショナルによる「移民宣言」試訳

          タニア・ブルゲラがイニシエーターとして関わっていた移民運動インターナショナルによる「移民宣言」の試訳をシェアします(おそらく著作権的にも問題がないと思うので)。ブルゲラ研究の一環として個人的に翻訳していたものです。この宣言は、移民運動インターナショナルが2011年11月に開催した会議「21世紀の移民を再概念化する Re-Conceptualizing the 21st Century (Im)Migrant」の成果として制作され、2012年には、サンパピエ運動が始まったパリの

          移民運動インターナショナルによる「移民宣言」試訳

          クレア・ビショップの論考「情報オーバーロード Information Overload」について

          クレア・ビショップが『アートフォーラム』誌の2023年4月号に「情報オーバーロードInformation Overload」という論考(BISHOP, CLAIRE. “Information Overload.” Artforum International, Apr. 2023, pp. 122–89.)を発表したので、久しぶりに(本格的には3年ぶりくらい?)noteを更新してざっくりと紹介することにしたい(ここで論考をすべて読むことができる)。実は「情報オーバーロード」

          クレア・ビショップの論考「情報オーバーロード Information Overload」について

          「ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏」(東京ステーションギャラリー)

          註)かつて2016年に「ART CRITIQUE ウェブ版」というところに投稿した文章なのだが、ページ組みまで終わってあとはサイトにアップするだけという段階になって初めて原稿料が支払われないということが知らされるという最低なことをされた経緯があるので、ここに転載しておく。 ほとんど重大な出来事が起こらなかった人生を神秘化する形や、もしくはその作品の「静謐さ」や「精神性」を詩的に礼賛する形で、モランディの絵画群はいまだに語られることが多い。だが、東京ステーションギャラリーで開

          「ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏」(東京ステーションギャラリー)

          ボリス・グロイス「Trump’s America: Playing the Victim トランプのアメリカ:被害者を演じる」について

          今回は、e-flux journal 2017年9月号に掲載されたボリス・グロイスの論文「Trump’s America: Playing the Victim トランプのアメリカ:被害者を演じる」を紹介したい。原文は以下で読むことができる。https://www.e-flux.com/journal/84/150668/trump-s-america-playing-the-victim/ 2年半以上前の論文であり状況は多少変化しているものの、コロナ禍においてそしてBLAC

          ボリス・グロイス「Trump’s America: Playing the Victim トランプのアメリカ:被害者を演じる」について

          ボリス・グロイス「The Museum as a Cradle of Revolution 革命の揺籃としてのミュージアム」について

          今回は、e-flux 2020年2月号に掲載されたボリス・グロイスの論文「The Museum as a Cradle of Revolution 革命の揺籃としてのミュージアム」について書いてみたい。原文は以下で読むことが可能だ。https://www.e-flux.com/journal/106/314487/the-museum-as-a-cradle-of-revolution/ 芸術の有用性を否定するという点において、前回、前々回紹介したタニア・ブルゲラの「ポリティ

          ボリス・グロイス「The Museum as a Cradle of Revolution 革命の揺籃としてのミュージアム」について

          タニア・ブルゲラ「NOTES ON POLITICAL TIMING SPECIFICITY」について

            前回の続きで、タニア・ブルゲラが「ポリティカル・タイミング・スペシフィシティ」という概念について論じた文章に関して書いてみたい。前回のクレア・ビショップの論考と同じARTFORUM2019年5月号に掲載されたものようだ。以下のサイトで全文を読める。https://www.artforum.com/print/201905/notes-on-political-timing-specificity-79513 おそらく前回のビショップの文章はこれを受けて書かれたものなのだろ

          タニア・ブルゲラ「NOTES ON POLITICAL TIMING SPECIFICITY」について

          クレア・ビショップ “Rise to the Occasion”

            『ARTFORUM』2019年5月号に掲載された、クレア・ビショップ “Rise to the Occasion”という文章を取り上げ、その簡単な紹介と感想を記しておきたい。原文は以下で全文読むことができる。 https://www.artforum.com/print/201905/claire-bishop-on-the-art-of-political-timing-79512   一言で言えば、本論は、「ポリティカル・タイミング・スペシフィック」という概念に関し

          クレア・ビショップ “Rise to the Occasion”

          グレイソン・ペリー『男らしさの終焉』

          グレイソン・ペリー『男らしさの終焉』小磯洋光訳、フィルムアート社、2019年 本書の原書のタイトルは『The Descent of Man』。「The Descent of Man」でググるとまず出てくるのはチャールズ・ダーウィンの同名の著書である。その邦訳は『人間の由来』もしくは『人類の進化』という題名になっている。おそらくそれなりに素養のある英語話者であれば、本書のタイトルを見るとすぐにダーウィンのことを思い起こすのであろう。したがって、ここでペリーは「man」を普遍的

          グレイソン・ペリー『男らしさの終焉』