クレア・ビショップの2023年ベスト10について

クレア・ビショップが自身のブログで、ARTFORUMの編集長であったデイヴィッド・ヴェラスコが解雇されたことへの抗議として、ARTFORUMの2023年ベスト10記事を取り下げていたことを明かし、そのベスト10記事をブログに掲載していた。
ビショップが何を選んでいるのかは実際の記事を見てもらいたいが、ここで取り上げたいのは、ビショップが10位を「ARTFORUM, 1962–2023 (New York)」としていることである。戯れにその部分を翻訳したものをすでにThreadsの方に投稿したが、せっかくなので、多少手直しした上でこちらにも掲載しておきたい。


10. アートフォーラム, 1962–2023 (ニューヨーク)
パレスチナに関わるあらゆることに対する常軌を逸した嫌悪が、北米やドイツなどの文化機関をとらえていて、最高の美術雑誌を生命維持装置につないでしまっている。オープンレターが公開され、規約の違反があったとされ、編集長が解雇され、スキャンダルが起こった。以前より良きものが『アートフォーラム』の灰から立ち現れ、以前ほどディーラーやコレクターに借りをつくらずに、素晴らしい編集者たちが書き手たちを最高の仕事へ駆り立てるという伝統を継続させますように。


見出しのところで『アートフォーラム』が「1962-2023」と、昨年で終わったことにされていることがまず興味深い。そう考えると、ドクメンタなども昨年で終わったと考えてよいかもしれない。パレスチナを擁護するいかなる言説も欧米でパージされている様子はまさに「常軌を逸している」としか思えないが、果たして『アートフォーラム』やドクメンタが灰から新たなかたちで蘇ることがあるのだろうか。


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