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菅原敏
2021年3月16日 21:00
ひと気のない北国の山中に、一度だけ訪れた図書室がある。その窓からは季節が色づく周囲の山々を一望することができ、窓際に座る司書はその景色に溶け込むようにひとりで仕事をしている。ときおり手元から目を挙げて、窓からの景色を眺め、また作業に戻る。誰もこない図書室で、僅かばかりの本と静かにそこにいる。図書室はその土地に生まれたある詩人の記念館の中にあり、彼にまつわる書籍を中心に様々な詩集が並んでいる。