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獲物の分け前~チューリップ『LIVE ACT TULIP 1973-1979』編その2

 チューリップのライヴ・アンソロジー・ボックスからの2回目は1977年3月20日の中野サンプラザでの新日本フィルハーモニーとの“TULIP SPRING SPECIAL 第1回あなたのコンサート”の模様を録音したものです。
このボックス・セットは基本的にはライヴを録音したマルチ・トラックを立ち上げ、リミックスする形なんですが、この日だけはテープの損傷が激しくて、財津和夫さん所有のカセットテープをマスターにして、音質補正をしたのがこのアルバムになるわけです。
そんじゃ行ってみよー。

・チューリップ『LIVE ACT TULIP 1977 with ORCHESTRA』(SHCS-513/シンコーミュージック)

 近々、閉館する中野サンプラザで一番ライヴを開催したバンドはチューリップらしいです。
ちなみに1989年の“Well”ツアーの最終日、7月8日のライヴも中野サンプラザでしたから、つまり、彼らの歴史は一旦、この会場で終わりを告げたわけです。

 そのことはともかく、ブックレットによりますと、五周年記念事業として中野サンプラザ側から提案されたものということです。
互いにとって品格の上でもふさわしかったということなのでした。

・チューリップ『LIVE ACT TULIP 1977 with ORCHESTRA』収録曲

 ちなみにこの日、ストリングス・アレンジと指揮を担当したのは、チューリップやアリスなどエキスプレス・レーベルのストリングスやホーン・アレンジを数多く手掛けた青木望さん(意外なところだと、ネオGSのザ・ファントムギフトのアルバム『ザ・ファントムギフトの世界』でも、青木さんはストリングス・アレンジを担当しています)。

 チューリップとオーケストラの共演はほほ収録されましたが、「人生ゲーム」だけは財津さん所有のカセットテープに入っていなかったので、このCDには未収録です。
基本的にチューリップの単独演奏は収録されていませんが、クラシックの名曲をメドレーにした「クラシック・インスト・メドレー」が収録されています。
時間はちょっと前後して、まずは財津さんが一人で現れて、ビートルズの「THE LONG AND WINDING ROAD」から。
はファースト・ライヴ・アルバムで「YESTERDAY」を演奏したことを思い出してしまいますが、オーケストラと一緒に演奏することで生じたスケールの大きさは比べようにもありませんが。。
アルバム『無限軌道』収録の「たえちゃん」やアルバム『TAKE OFF』収録の「あの、ゆるやかな日々」などの演奏頻度が低い曲や、「悲しきレイン・トレイン」や「青春の影」などもストリングスを効果的に使って演奏されています。 

 このアルバムに収録されたのはマルチ・トラックが立ち上がらなかったことが残念な出来上がりなのですが、スタジオ・ヴァージョンと聴き比べてみたりと、その仕上がりを想像するのも楽しい行為です。
個人的にはもう一度だけでいいので、チューリップとオーケストラの共演を実現させてほしいですね。

 このライヴに関してはライナーを読んでいたたけたら、マスターテープの状態や何チャンネルで録音されているかなど詳しく書いてありますから、なんとか手に入れてほしいものです(勿論、この他のアルバムや、その時期のチューリップのことにも触れています)。

 明日からはチューリップの1979年のライヴについて書く予定です。お楽しみにー。

 ではまたー。

 

 

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