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「笑芸人 VOL.14~17」(白夜書房)/高田文夫責任編集。

 「笑芸人」について書いて3日目です。普段の数倍時間かけて書いてますが、イマイチちょっとテンションが上がりません。
お笑いに興味があって好きだとしても、お笑いをテーマにして書くのとはちょっと違う。というか、天と地ほどの差があると実感してます。
でも、書くんだよ!モードに入っているので、もう少しお付き合いください。

・「笑芸人 VOL.14~17」(白夜書房)/高田文夫責任編集

 VOL.14のメイン特集のお題は「笑うラジオ」ですね。実は私は「笑芸人」でいうとこの号が一番好きかもしれません。
子供の頃からラジオ好きで、色々と影響受けまくっていますからね。
冒頭は伊集院光さん、吉田照美さん、うえやなぎまさひこ(雑誌上の表記)さんの鼎談。それぞれのエピソードがいちいち興味深い。
続いては永六輔さんのインタビューで、聞き手は高田文夫さん。言うまでもなく面白い。
ラジオが民放で開始された時期を知る永さんからの伝承が、TBSラジオは上手くいっていたのに、近年はそれを自ら放棄しているように見えるのが残念で仕方ないです。

 更に上田晋也さんインタビュー。ってことはまだ上田さんが帯でラジオ番組やってた頃という。。

 放送史家の川崎隆章さんによる「ラジオバラエティ興亡史」。これまた力作です。関東、関西に中京地区の番組までフォローしているのが、とにかく素晴らしいです。
昔のハイクオリティなラジオ(ちなみに私はナショナルのクーガーでした)を持っていた方は色々な地区の人気番組をチェックしていたようですね。非常に興味深いです。

 そして、「アシスタント井戸端会議」も素晴らしい。
なんたって憧れの外山惠理さんが参加していますから。
外山さんを近距離で拝見したのは一回だけ、「たまむすび」双六を赤坂サカスで配布した時に手渡していただいたのでした。あまりにも素敵だったので、声をかけることすらできなかった私です。。
「外回りサミット」にはラッキィ池田さん、なべやかんさん、田上ひろしさんに野中直子さんといった豪華な顔ぶれです。

 そして、連動した形で「ラジオビバリー昼ズ 15周年」。これまた構成はベン村さ来さん。かなりの力作です。
様々なエピソードに挿入される写真がまた貴重なのが嬉しいですね。
その他、東貴博さん、春風亭昇太さんに松村邦洋さんのトークに歴代アシスタントの告白とホントに充実した内容です。

 個人的には特典CDの「土曜ワイドラジオTOKYO」での久米宏さんと小島一慶さんのトークも嬉しいです。
他にも吉田照美さんの「てるてるワイド」や、笑福亭鶴光さん最終回など聞き所が多い内容になってます。
他の細かい部分も相当面白いので、しつこく必読の内容だということで締めますよ。


 VOL.15のメイン特集は「笑う演劇」です。取り上げられた登り調子だった方々がブレイクして、ビッグネームになったという印象があります。
まずは阿部サダヲさんと高田さんの対談から。グループ魂の話題、面白いですね。
大人計画の年譜やフライヤー、舞台の写真などかなり貴重だと思います。

 特集の前半は大人計画をフィーチャーしていて、宮藤官九郎WORKSや顔田顔彦さん(聞き手は乾貴美子さん)、宮崎吐夢さん、松尾スズキさんインタビューと強力な内容です。

 古田新太さんインタビューを挟んで、橋本じゅんさん(劇団☆新感線)と皆川猿時さんの対談。
新感線ゆかりの市川染五郎さん(現・松本幸四郎)さんインタビューもありつつ。

 昇太さんプレゼンツの「三大女優座談会」も素晴らしい。ちなみに戸田恵子さん、犬山イヌコさん、高田聖子さんが出席しています。
ラサール石井さんの“試験によく出る”演劇30年史ゼミナール、中島らもさんとモロ諸岡さんの対談(らもさんが亡くなる二週間前に収録)、伊東四朗一座のBACK STAGEと既に見所満載となってますね。

 後半には清水宏さんと八嶋智人さんの対談、ナイロン100℃の三宅弘城さんと大倉孝二さんの対談も当然面白いです。
舞台出身の俳優名鑑や劇団について書かれた記事も面白いのですが、全部触れるわけにはいかないので、是非探して読んでください。
高田さんの慧眼ぶりにため息が出てしまうかも。


 VOL.16のメイン特集は「エンタの大真打 落語」です。林家正蔵さんが襲名した時期ということで、林家正蔵さんと高田さんの対談、襲名をプロデュースした春風亭小朝さんのインタビュー、正蔵日記に六人の会(小朝さん、立川志の輔さん、春風亭昇太さん、笑福亭鶴瓶さんに柳家花緑さん)からのメッセージと盛りだくさん。

 あ、その前にドラマ「タイガー&ドラコン」の記事がありました。これはご存知宮藤官九郎さん脚本でしたよね。
昇太さんと西田敏行さんのインタビューを掲載してます。
こう見ると、毎号発売のタイミングが素晴らしいですね。

 特集後半は「『圓生と志ん生』と井上ひさし」(まだ井上ひさしさんがご存命だったか!こればっかやな)、「落語に本気な落語家の笑福亭鶴瓶です!」、立川志の輔さん、立川談春さんに立川志らくさんという立川流の記事と豪華な内容です。ちょっとあっさりという感じですが、この号はこの辺で。

 
 VOL.17。多分これが最新号(≒最終号)なんじゃないかな?
メイン特集のお題は「ここが笑いのG(ギャグ)スポット」です。
まずは「TOKYO劇場密集地帯MAP」。お笑いに限らず、ライヴに通った方々にはグッとくるはずです。こんなにあるんだーとか思いつつ。名前が変わったり、閉めたところもありますね。。
続いて、「劇場思い入れ世代別ランキング」。なるほど、こうなるのかとか思いつつ、見ていたら大阪篇もありますね。素晴らしい。
次は「ここがオレのG(ギャグ)スポット」として、爆笑問題、くりーむしちゅー、劇団ひとりさんに鳥肌実さんの常打会場だったり、思い入れがあるだろう会場を紹介しています。

 イッセー尾形さんと清水ミチコさんのインタビューはジャンジャン(渋谷に昔あったライヴハウスの名前)から色々と始まったであろうお二方の思い入れが興味深いです。
イッセーさんはクエストホールという新天地を見つけ、清水さんはジャンジャン以降この時点ではライヴが減ってしまったなど、貴重なエピソードですね。
多分、近い未来に日本武道館で定期的にライヴをやるようになるとは思ってなかったはずです。

 三宅裕司さんのスーパーエキセントリックシアターについてのインタビューも面白いです(しかも聞き手が東貴博さん!)。
言うまでもなく、この特集のインタビューは全て面白いのでした。
喰始さん、立川志の輔さん、いとうせいこうさん、(コント赤信号の)渡辺正行さんに小宮孝泰さんあたりはホントに最高ですよ。
音楽のライヴもですが、会場選びの大切さや決まってから継続する難しさが伺えるのが、非常に共感できますね(一応、私もイベント主催したりしていたので)。

 水道橋博士のツイキャスを見ていると、「板(舞台の意)の上に立ち続けたり、立つことの意味は大事なんだ」(大意)。とよく言っていることが思い浮かびました。上手く言えませんが。。

 後半は東会と竜兵会の抗争。この模様が付属のCDに収録されているんですよね。
それと中島らもさんの追悼記事。
「三木のり平の劇場人生」はご子息である小林のり一さんへのインタビュー(聞き手は高田文夫さん)と森光子さんが語る「“演出家”三木のり平」がとにかく最高です。
それと、鈴木啓之さんによる「日劇」の軌跡もメチャクチャ興味深い内容ですよ。こういう記事はいつでも誰でも読めるようにしてほしいですね。

 「笑芸人」のバックナンバーを読み返して、お笑いに限らずエンターテイメントをこれだけ掘り下げている雑誌(書籍でもいいけど)が今あるのか?そもそも必要とされているのか?ちょっと考えてしまいました。
芸事の伝承について、もっとシリアスであるべきかもしれないとかも。見る側としても、ね。

 と、やたら長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
またこうした記事はいつか書いてみたいですね、懲りずに。
明日は何を書くか考え中であります。だって三日間労力を使い過ぎたので。。

 ではまたー。

 

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