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ヨシタケシンスケさん『おしごとそうだんセンター』感想|キャリア迷子にも効く"抽象化"

大好きな絵本作家・ヨシタケシンスケさんの新刊、『おしごとそうだんセンター』を読んだ。

思った以上に深くて良い内容だったので、軽い感想文を書いてみる。


ここ数年で読んだ著書5冊

人気絵本作家・イラストレーターのヨシタケシンスケさん。

2013年出版の『りんごかもしれない』が大ヒットして一気に有名になり、MOE絵本屋さん大賞・ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞など、多くの受賞経験もお持ちだ。

『ヨシタケシンスケ展かもしれない』も大人気開催中!

現在行われている長野(5月12日まで)の展示後も、石川・神奈川・沖縄・岡山など、全国巡回が予定されているとか。


ヨシタケシンスケさんには、私も例に漏れず『りんごかもしれない』でハマったクチ。

当時、友人と
「何この絵本、大人でも面白い……! というより、そもそも大人用では?」
と盛り上がった。

子どもが生まれて多くの絵本を一緒に読む中で、
「この人の絵本はいいなぁ……大人にも発見が多い」
と気づいたのだ。


その後、何冊も彼の本を読み……

さすがに全部とは言えないかもしれないが、9割は読んでると思う。


最近読んだヨシタケシンスケさんの本は、この4冊。

『ものは言いよう』


『もしものせかい』
『にげてさがして』


『あつかったら ぬげばいい』


でもやっぱり1番好きなのは、
『なつみはなんにでもなれる』
かもしれない。

我が子が幼い頃、一緒に読んで笑い転げたのが懐かしい。

「あの時間は尊いものだったなぁ……」
と、今となっては超実感。

とは言え、普通に1人で読んでも楽しい。


本作のざっくり内容

今回の『おしごとそうだんセンター』のあらすじは、こんな感じ。

地球に辿り着いた宇宙人が訪れたのは、かなり変わった職業相談所
彼(彼女?)はスタッフと一緒に、地球で働くために色々な視点から学ぶことに。
現在の地球には無いであろう「めずらしいおしごと」を通して見えてくる「はたらく」「おしごと」の意味とは?


「地球での仕事」をまったく知らない宇宙人に1から説明する中で、私たち自身も仕事について再確認できる……という、見事なつくりになっている。

のほほんとしながらも本質を突いた内容になっているのは、いつもの通り。


いいなぁと感じた「おしごと」

本では「めずらしいおしごと」(多分まだない)を44種類も紹介している。
その中で私が惹かれた仕事を、簡単にご紹介!

お客さんとして体験するなら下記5つ。

●かしきり島
水上で一日中思い思いにゆっくり暮らせるフロート島

文庫すくい
金魚すくいの文庫本版。漫画バージョンもある

時空引越し便
違う時代・星に引越する際のお手伝い

世界征服 代行業
世界征服の手続き・実務を代行してくれる

お話屋
日替りで面白い話をもらえる

本の内容を参考に文章を編集済

特に「時空引越し」と「世界征服」は特にやってみたいから、開発されたらすぐに利用したいところ。


逆に自分が職業として挑戦してみたいのは、この5つかな?

●プレゼント特急配達便
プレゼント配達・サンタさんのお手伝い

ししまいアドベンチャー
獅子舞の人力車で、新春の野山を駆け回るツアー

まほうのじゅうたん便
ドローンで吊り下げた魔法の絨毯で、送迎してくれる

インスピレーション屋
特別装置を使って、アイデアが必要な人に提供

ヒント屋
1人1人に色々なヒントを教える(詳細は教えないらしい)

本の内容を参考に編集済

本を参考にして「どんな職業がありえそうか?」を子どもや家族と考えてみるのも、結構面白そう。

私は下記くらいしか思いつかず……

  • 涼しくなる歌を歌ってくれる

  • 詐欺電話に親身に対応し、足を洗わせる

  • その人に合った手帳を探してあげる

  • 交換日記屋さん

  • 金魚すくいを教えてくれる塾

  • 「今日夜更かししたら明日どうなってるか」を具体的に教えてくれる

いやー、面白い職業を考えるのって結構難しいな。


何がそんなに良いの?

本に出てくるのは、実際には無い職業ばかり。

だが、そこがいい。

よく考えると
「これって、ある意味あれに近いよね?」
とあり得そうな職業もあるし、そうでなくても色々考えさせられる。

この本で特に使われているテクニックは「抽象化」

最終的には具体化されて絵に描かれるが、その前段階では必ずふわふわした言葉で表現されている。見事だなぁ……と感心してしまった。


私はどんな「おしごと」をしているか

読み進める中で、
「最近の私はいったい何をしているのか?」
を考えたくなった。

具体例ではなく、あくまで抽象的に表現してみよう。


① 体系化して伝える

ライティング・講座・プレゼンは、こう括ることが可能。

未知のものに触れた時、つい全体像を知りたくなってしまって……
これは昔から。授業の復習よりも予習が好きだったのもそのせいか?

未知の業界・業種を調べることやリサーチ全般が大得意で、仕事に繋がった経験も何度かある。(今も時々請け負っている)

割と何の学習にも活かせるから、便利なテクニックだと思う。


② 点と点を繋ぐ

仕事だけでなく趣味やライフスタイル的な部分もあるけれど。

関連性を見つけたり、仮定して線を引いてみたり。
頭を使うだけでなく、感覚的な気づきやフィーリングを大事にしている。

実際に「友人と友人を引き合わせる」紹介は日常的によく行っていて、フリーランスになってからはその動きが加速している。

どうやら相性や方向性で判断しているようで、引き合わせたら結婚に至った事例もある。……仲人か⁈

HP・ブログ・SNSなどでの発信も、この括りで捉えることができる。

私が良いと思った情報を、受け取った人が喜んで実践してくれたら、それは「とある情報を誰かと繋げた」
ことになるから。


いかようにも使うことができる特性だし、多分どんな仕事でも生かせるのではないだろうか?


③ 応援する

最近名乗り始めた「母親支援活動家」

子どもの頃の体験や専業主婦経験から、世のお母さん達をサポートしたくて始めた職業だ。


その前から、整理収納アドバイザーとして「お片付け」の面で周囲の人々をお手伝いしてきた。

お片付けオンラインコミュニティ『お片付けBootCamp!』に所属し、主にコメント返信でサポートする業務も行っている。


タスクシュート100日チャレンジの第三期で、誰にも言われないのに勝手にコメントをつけまくって、協会メンバーを驚かせた経験も。

この配信でも触れている話。

表立って何かの講演で教えてあげるより、ひっそりと陰からサポートするのが好きなんだと思う。

テキストの会話の中で相手が
「あれ、私って○○だったのかも……?」
と気づいて変化する瞬間には、ものすごい充実感がある。
(必ずしも変化が必要なわけではないが)

タスクシュートの分野でも「教える」だけでなく「個別サポート」の方向で何かできないか、目下考え中だ。


以上、今やっている仕事を3つの観点で抽象的にまとめてみた。
他の視点でも表現できそう……

「自分の仕事の棚卸し」がしたい方、試しにやってみては?


根底に流れる優しいメッセージ

ヨシタケシンスケさんの絵本は、とにかく「優しい」。
彼の著書には様々な点で惹かれるが、その部分が1番素敵だと思う。

情報過多で、知識だけなら延々と詰め込むことができる今の時代。
多くの人に必要なのは「優しさ」なのかもしれない。


  • 仕事に悩む方

  • これからの進路を考えたい方

  • 生き方を模索したい方

  • 単に内容が気になっている方

は、ぜひこの新刊をどうぞ。


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