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アメリカ臨床大学院での学び②

初回はこちら

週に4時間あるFundamentals of Neuroscience for the Orthopedic Clinician(整形外科の臨床家に向けた神経基礎)というコース。本日はこちらについて書いてみたいと思います。私たちが日本の大学4年間で習うような神経系の解剖と生理学の内容を一気に復習(より詳しく)+臨床との関連も含めて学びます。これがとても重要で勉強になります!が、最も大変な授業の一つでもあります

例えば求心性伝導路

大脳に達する意識に上るもの
Dorsal Column Medial Lemniscal Tract (DCML) 後柱-内側毛帯経路
意識に上る固有受容覚、振動覚、識別性触覚(メルケル触盤、ルフィニ・パチニ小体から)
Spinothalamic Tract Dorsal 脊髄師視床路
温痛覚と触圧覚

小脳に達する意識に上らないもの
Postrior Spinocerebellar Tract 後脊髄小脳路
主に下肢の筋紡錘からの情報、意識に上らない固有受容覚
Cuneocerebellar Tract 楔状束小脳路
主に上肢の筋紡錘からの情報、意識に上らない固有受容覚
Ventral Spinocerebellar Tract 腹側脊髄小脳路
ゴルジ腱器官からの情報と全身の姿勢コントロール

これらの伝導路は一度は触れたことがある方もいると思います。横断面と前額面で大脳皮質や小脳に達するまでの過程をしっかりと覚えられるように事前学習ビデオがポストされ、2/4時間の授業では演習をメインで行います。その後、それに関連した課題が出され、臨床との関連は?この部位は何か?など、定着を測るようにしてくれます。

2/4時間は講義がメインで、前庭や聴覚、視覚、触覚の受容器、運動学習などなど、神経系の疾患をお持ちの方への介入に関わらず重要な内容をカバーしてくれます。日本語でも難しい医学用語を爆速の英語で理解するのはなかなか大変ですが、今後の臨床、メディカルスクリーニングでどこが損傷したことによる症状かの理解を深める、通訳の仕事などなど、多岐に渡って活かせると思うので非常に有意義な時間を過ごせています。

そして、よく自分が学んできたこととの関連はどうか、ということも考えます。これらの伝導路は臨床の中で非常に重要な要素の一つと考えているFascia (筋膜)へ介入した時に、受容器から伝導路の関係を考えると

どのようなメカニズムが介入で起こるか?
なぜ動かしにくいのか?
理学療法士的な鑑別診断でしっくり来ない時になぜ有効なことがあるのか?

など、他の科目で改めて学習している心理的要素も含んだ標準介入と筋膜の良好な関係についても考えを及ばせることができてとても良い学びができています。そして、レッドフラッグススクリーニング、心理面も含む原因の鑑別、徒手技術、運動療法の選択といった標準的な知識を高めることの重要さも同時に強く感じております。資金面の準備の難しさはあっても、DPT教育が近年はNo.1にランクされるだけあるなというしっかりとした臨床教育の方法も経験できています。まだ前半ではありますが、ピッツバーグ大学に来てよかったなと感じているところです。

さて、この辺で今回の記事は終わりにしたいと思います。お読みくださりありがとうございます。

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