わたしたちはみんな、ゆっくり走る練習が必要だ。(『千個の青』より)

昔、まだ走るのが一番楽しかった頃のことをふと思い出したのは、マスクをしながら階段を上がって、否応もなく息苦しさを感じたときだった。

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走るというよりは、前に押し出されているという方が近い感覚は、まるでどれだけでも早く走れるような気がしていた。

いまはどうだろうか。

前に走ったのは、たしか乗るはずの電車に遅れそうになって走っては止まって歩いて…と繰り返した日だったはずだ。

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どこか果ての無いような確信めいたものを信じられたあの頃ほど、無敵だった時はないなぁと今でも思う。それほど歳を重ねたという事なのかなと思ったのだけれど、それもなんだか少し違う気がした。

だからか、推し量れないようなものに出会うとわくわくさせられる。
たとえば果ての見えない荒野だったり、とんでもなく大きな樹木だったり、心が震わされる音楽や文学だったり、あの頃の無敵な自分にどこか近づけるようなものなんかだ。

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走るについて考えていたら、たまたま読み始めた本がそんな話をだったので、そっと紹介しておきます。

『千個の青』チョン・ソンラン著

〈あらすじ〉
故障のため安楽死の危機に瀕した競走馬"トゥデイ"と、下半身が 壊れたまま廃棄が決まったヒューマノイド騎手"コリー"。社会の 片隅で懸命に生きるさまざまな弱者たちに支援され、もう一度レースの表舞台に戻ってきた彼らの挑戦がはじまる。

ほかにも、最近聞いてよかった曲もそっと置き土産に…

それでは、火曜日もおつかれさまでした。

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