短編:【風邪薬狂騒曲】
新年早々に風邪をひいた…
もしかしたら、時差で訪れたウイルスかも知れないし、季節性のアレかも知れない。またはその両方が複合したという噂も…。
さらに私を追い詰めたのが、風邪薬問題である。昨年末から風邪薬、特に咳の薬が売り切れているという情報があった。症状として鼻水と咳が止まらない現状を見ても、巷で流行りの病気にかかっていることは間違えない。
とはいえ新年度が始まり、病院に行く間もなく出社した。
年々、年末と年始の感覚が麻痺して来て、1月の4日には仕事初めなのは慣れているのだが、感覚がズレてしまうのが昼食である。会社近くのお店はとてものんびりしており、そのまま1月第一週はすべて休暇をとっていた。
しまった…想定外である。
家には、昔買った風邪薬顆粒があと2袋だけ残っていたのだが、最近は食後30分以内に飲むように、という注意書きが書いてあった。
昔はもう少し緩かったような気がした。1日3回食後1袋という表記から、30分以内に、という限定をされると意地でも食事をして30分以内に飲んでやろうと必死になる。お店もやっていないし、仕方ないのでコンビニでおにぎりとお水を買って来る。風邪の時くらい、栄養の良いモノを摂りたいところではあるのだが、贅沢は敵である。
急ぎ昼食を腹に入れ、30分以内に風邪薬を流し込む。よしこれで、今日のノルマはひとつ果たしたぞ!
そう思って午後の業務を始める。
が…なんだ?クラクラッとする。
熱を計ってみる。
36.7度…
う〜む実に微妙である。
平熱と呼ぶにはちょいと高めだが、高熱と呼ぶにはそれほどでもない…
それから10分程仕事をしたところで気がついた。あ、風邪薬を飲んだから、睡魔が襲って来たのだ。少なくとも、風邪薬が私の体内で闘ってくれている。
咳が出ない反面、睡魔との戦い。
うむ…仕方ない。久々に飲んだ薬はよく効くようで、本当に車を運転する前には風邪薬を飲んではダメな訳が実感した。帰りに薬局へ行って、風邪薬の有無を確かめて来なくては。
時代と共に、どんどん風邪薬も進化しているだろうし、年々変わるウイルスのカタチにも対応型が違うのだろう。とはいえ…まずは薬があるのかな…
新年早々の攻防戦。こうして私の一年は幕を開くのであった。
「つづく」 作:スエナガ
#ショートショート #物語 #短編小説 #言葉 #写真 #フィクション #風邪薬 #睡魔との戦い
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?