【スエトモさん】

【毎週1本・水曜日に更新】某テレビ番組で『日本一の妄想男』なる名誉あるありがたい称号を…

【スエトモさん】

【毎週1本・水曜日に更新】某テレビ番組で『日本一の妄想男』なる名誉あるありがたい称号を頂いた筆者がお届けする短編物語。どうぞお楽しみください!

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  • ★【作者と読者のお気に入り】★

    たくさんのビューとスキを頂いた作品と、個人的に好きなモノだけをギュッとまとめてお届け!30作品程度で入れ替えしながらご紹介。皆様のスキが集まりますように(笑)お気に入りの玉手箱!

  • 短編:【スエトモの物語】

    短編小説の物語はこちらです。

  • RADIO:【短編小説の朗読】

    短編小説の朗読はこちらです。

最近の記事

短編:【シンプル・イズ・ベスト】

東京の賑わう繁華街。 「やめてください!」 「何だよ〜ちょっとくらいいいだろう」 「触らないでください!」 年の頃、二十二、三の女性がガラの悪い三人組の男に絡まれている。 「スミマセン、助けてください」 たまたま夕食を食べに来た、三十男に救いを求める。 「どうしました?」 「ひとりでフラフラしているなら、一緒に遊ぼうと言われまして」 「なるほど、では私は連れのフリをすれば良いのですね?」 「お願いできますか?」 「もちろん!」 「何だよ兄ちゃん、知り合いか?」 「待ち合わせを

    • RADIO:【ガラパゴス】

      短編小説の朗読・第17弾。 会社という場所は、そもそもガラパゴス諸島と同じである。それぞれの個体が生き抜くために肩を寄せ合い暮らしている。もっと言えば、この国も、この星も、どこにいても別々の個体が同じ空間にいることを知っていれば、争いは起こらない。なんて大きなテーマを語ってるワケでは、もちろん無いのだが。

      • 短編:【カフェにて(恋のリベンジ篇)】

        通り横にあるそのカフェは、電源やWiFiが自由に使えることもあり、保険の勧誘、金品の営業販売、中には芸能事務所の面談や、ノマドワーカーなど、ちょっとクセの強い客が多く訪れ、なにより長居をしていてもあまり迷惑そうな顔をされないことが魅力の店だった。 私は、そのカフェまで徒歩3分の激チカ物件に住んでいた。あの日以来、…正確には数週間前、長く付き合っていた人と別れてから、暴飲暴食をしてはトイレで吐く、過食症にも似た行為を繰り返してしまう日々を過ごしていた。部屋にいると気が滅入って

        • RADIO:【神が授けた一日】

          短編小説の朗読・第16弾。 4月に入り桜が咲き乱れ、新生活が始まる。いまの自分と過去の自分が向き合う時。ぐにゃっとした時空の歪み、そんな時にはお酒が一番!そんなお話なのか?

        短編:【シンプル・イズ・ベスト】

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        • ★【作者と読者のお気に入り】★
          29本
        • 短編:【スエトモの物語】
          83本
        • RADIO:【短編小説の朗読】
          17本

        記事

          短編:【最初から結論ありき】

          「そのお話…、エビデンスは何ですか?」 「エビデンス?」 「根拠です!」 「いやいや、意味はわかっていますよ。エビデンス、なんて…ありません」 立派な応接ソファーに座った男性は静かに足を組む。 「いいですか?…そもそも人類は朝と夕方二食で暮らす生き物でした。それをトースターを考えた偉い発明家さんの思案で、朝昼晩の三食にすることで、トースターも売れて、パン屋も儲かった」 「ああ、まあ、有名なお話ですよね」 「土用の丑の日。夏場にウナギ。これだって、そもそも冬場に脂の乗るウナギ

          短編:【最初から結論ありき】

          短編:【花の教え】

          「最近の桜って花びら白いよね…」 彼女はそういう敏感な感性を持っていた。 「白い?」 僕には、桜の花びらがピンクに見えていた。いや、そう思い込んでいたのかも知れない。周りを見渡すと、至るところで花吹雪が舞っている。 僕には20年間、彼女がいない。奥手というか、人付き合いが苦手というか。大学に進み、同じゼミを専攻した彼女と出会った。 「もちろん品種によっても違うだろうけど…昔の花吹雪ってもっとピンク色だったと思わない?」 「ああ、そう…かもね…」 話を合わせてみる。 「自

          短編:【花の教え】

          RADIO:【グリーンハイツ201】

          短編小説の朗読、第15弾。今回は単館系映画館で流れているような、何気ない日常を淡々と感じて頂ける、そんな物語を目指しましたが、エンドの音楽が入った瞬間にその狙い通りの心地よさがありました。グリーンハイツの住民は、他にどんな人がいるのでしょうね。

          RADIO:【グリーンハイツ201】

          RADIO:【グリーンハイツ201】

          短編:【神が授けた一日】

          目を覚ますと、あたりは真っ暗だった。 「3時?」 ベッド横のデジタル時計は3時5分を表示している。 「あれ?昨日…」 頭の中で記憶を辿る。 「有給消化をしないとペナルティになるからって…」 そう、溜まりに溜まった有給休暇を期限までに消化するようにと注意された。なので、すぐに申請をした。 「明日は休みだからって…」 よく行く居酒屋で呑んでいた。 「仕事終わってからだから、10時からだったっけ…?」 途中から記憶が無い。 「常連さんが来て…あのあとどうした?」 ケータイを探し、何

          短編:【神が授けた一日】

          短編:【ガラパゴス】

          「先輩…もう限界です!」 今年入社の新人さんが、1ヵ月も経たずに愚痴りだしている。 「なになにどうした?」 教育係の私は、愚痴を聞いてあげるのも仕事である。とはいえ、たかだか3年前に入社した私も、いまの会社に不満がない訳では無い。会社からちょっと離れた小洒落たカフェで、新人の彼女とランチを摂っている。 「この会社!もう終わってますよ…」 「なに、課長になんか言われた?」 「課長だけじゃないです!部長もそうだけど…完全にガラパゴスですよ!ガラパゴス!」 「ガラパゴス…」 最近

          短編:【ガラパゴス】

          短編:【No Movie,No Life.】

          僕には30年続けている“こだわり”があって。というか短いスパンでのこだわりはたくさんあって、例えば、土曜日は昼から餃子を作り夜はガンガンお酒を呑む。これは3年くらい続けたのですが、ある時に見たテレビ番組で「最強の完全食が餃子」という特集があり、確かに肉・野菜がしっかり入って、炭水化物の薄い皮に包まれた、素晴らしい食事で、主食がビールで、米食を制限していた僕にとっても完全食だと信じていた。この頃はスライサーとおろし金の二刀流で、毎週毎週週末にキャベツを切って、長ネギも細かくして

          短編:【No Movie,No Life.】

          短編:【四月馬鹿】

          「エープリルフールってあるでしょ」 「四月馬鹿、嘘ついてイイ日ね」 ファストフードの店内で向かい合う学生カップル。男子が自慢気に話しかける。 「世界的に浸透しててさ、各地で様々な嘘が飛び交うんだよね」 「へぇ〜そうなんだ」 女の子はズズズとドリンク飲み干して、紙のカップを揺する。氷の乾いた音がする。 「なのにさ、明確な由来とか起源とかが判っていないらしいんだ…」 「そうなの?え、だってバレンタインデーもクリスマスも、はじまりが判っているじゃない?」 「もちろん、諸説あるんだ

          短編:【四月馬鹿】

          短編:【曖昧な話】

          「それほど好きじゃないかな…」 「それほど?」 「いや、嫌いじゃないけど…」 曖昧な人の会話。曖昧な返答。 人の生活は0か100かで割り切れるものではないが、かなりの確率でフワッとした曖昧な言葉で出来ている。 「前は好きだと言ったじゃないか!」 公園でカップルがケンカをしている。ケンカ? 「言ったけど、う〜ん、それほど…好きじゃないかも」 女は悪びれず。 「好きじゃないって…」 男はうろたえている。 「好きは好きなのよ。う〜ん、ポテチくらいに好き」 「ポテチ?」 「そう!

          短編:【曖昧な話】

          RADIO:【春の訪れ、そんな今日此頃…】

          短編小説の朗読、第14弾。映像を作るお仕事をしていると、物語に季節感を出すのはどうなんだろうと思ってしまうのだが、年間通して書くストーリーには、どんどん時季を入れたくなってしまう。これも去年の私が書いた物語。熟成して九里さんのキャラ声が入って、また春らしい作品に生まれ変わって、ちょっぴり嬉しかったりする。

          RADIO:【春の訪れ、そんな今日此頃…】

          RADIO:【春の訪れ、そんな今日此頃…】

          RADIO:【妄想とか、願望だとか】

          短編小説の朗読、第13弾。近頃、妄想というか、想像というか、イメージを膨らませない、ストレートで全部説明しないと理解しない人が多い。僕の創作は、ゼロをイチにしたり、百にする作業。昔の人は柳の木を見て、お化けを連想したように、イマジネーションが豊かだったはず。金のなる木、そんな植物からも物語を紡ぐことはできるんですね(笑)

          RADIO:【妄想とか、願望だとか】

          RADIO:【妄想とか、願望だとか】

          短編:【普段着のままで】

          いくらどんなに取り繕ったところで、中身が伴わなければ仕方ない。逆に中身がどんなに素晴らしくても、キレイに着飾らなければ気づいてもらえないこともある。 「お見合い…ですか?」 彼女はずり落ちそうなメガネを直して聞き直した。 「いえね、知り合いの方の御子息なのよ…もうね、本当に素敵な人でね…」 おばさんは付き合いでしょうがないとでも言いたげに応えた。 「はぁ…」 今どきはマッチングアプリもあれば、出会い系もある。 「そんなに気合いを入れずに、ホント、普段着でいいの!ね、だから…

          短編:【普段着のままで】

          短編:【俺がそんなことするように見えるか?】

          「俺がそんなことするように見えるか〜?」 そんなことを言う男が一番怪しい。 「見える。とことん見える。疑いなく見える!」 「そんな〜」 下心や盗みを働くとか、人との関係において、やっちゃいけない様々な裏切り。 「絶対に君を幸せにする!だから、俺と…」 「ゴメンナサイ!」 告白をあっさり断られる。 「なんでよ〜」 「きっとアナタは浮気をする。借金をする。甲斐性なしになる!」 「待ってよ…俺がそんなことするように…」 「見えます。間違いなく見えます!女にだらしない!お金にだ

          短編:【俺がそんなことするように見えるか?】