業務改善のアイデアは不満の中にある
なんとなく「不満」あるいは不満を形にした「愚痴」を悪いものだと思っていませんか?
なぜ悪いものなのでしょう?
聞いてて気分が悪くなる?
そんなこと思っている人はおそらくIT業界に向いていません。
私たちIT業界に限らず多くのビジネスは
お客さまの現状(As-Is)を把握し、
その現状にある不満(問題点)を聞き取り、
理想の形(To-Be)を提言し、実現していく
ことで成り立っているものが多いはずです。
不満を聞くのが嫌な人は現状改善に思考がはたらかないと言うことです。現状改善に思考がはたらかないということはクリエイティブな活動ができないと言うことです。できるとしても、ただただ「技術」を使って言われたことをするだけのワーカーになるのが精一杯です。
もちろん、そうではない純粋に建設的な開発と言うのもあります。
「今までになかった新しいものを生み出したい!」
という要望を叶えるものなどは特にそうでしょう。
しかし、そんな仕事は数えるほどしかありません。
あったとしても『今までなかったもの』…つまりは前例のないものですから、調べて出てくるものでもありませんのでゼロから考え、試行錯誤を繰り返し、時には失敗の連続でストレスに悩み続けるようなこともあるかも知れません。確実に産みの苦しみを味わうものになります。
世の中、第一人者になるような活動をする人たちは必ず通る道です。
そういったことから基本的にビジネスの大半は、
お客さまの不満を解消、解決する
ことに注力することになります。だからこそ不満や愚痴を意欲的に聞こうと言う姿勢が作れない人は、少なくともIT業界に向いていないと言えます。
さて。
「大なり小なり」アイデアをひらめくことがあると思います。
身にならないものもあるでしょうし、その大半は実現されないかもしれません。そのアイデアをそのまま、時の流れにまかせて忘れていませんか?
もっとこうしたらビジネス(仕事)の効率がUPするのに
もっと上司がうまく指示をだしてくれたら、スムーズに作業ができるのに
AさんとBさんは二人揃うとビジネス(仕事)の作業率が悪いから、席を離せば個々の能力を発揮できるのに
このように変えたら商品がもっと売れるのでは?
あくまでたとえですが、業務に従事していると様々な発想がうまれることがあると思います。
先ほども言ったようにIT業界の仕事には大きく、
現状の「不満」や「愚痴」から生まれるもの
ゼロから想像してうまれるもの
の2種類があります。
どちらが優れているとかそういうものはありません。どちらも無くてはならないビジネスモデルです。
ただし、みなさんが就職する際に履歴書やエントリーシートに書いているであろう「世の中のため」「社会貢献」などと言うのは、その殆どが前者で成り立っていると言うことは覚えておいてください。
一般的にはきれいなイメージを以って『アイデア』と表現すると思いますが、現場で働いている際のアイデアはその9割以上が、
「不満」や「愚痴」から生まれるもの
です。問題解決にせよ、課題解決にせよ、現状に何かしらの不満があるから改善・解決したいわけです。
これを知っておかなくては、まともに仕事になりません。
ですが知ったとしても愚痴をそのまま垂れ流すだけで終われば、それは本当の「愚痴」以外何者でもありません。逆に人の不満や愚痴を放置しておく部署や人は職務怠慢ということになります(もちろん役割定義や職務権限等があるので誰でもなんでもできるわけではありませんが)。
そんなのもったいない、と思いませんか?
目の前でこぼされた愚痴や不満は裏を返せばそのままアイデアの原石です。
「もっと○○すればいいのに…」
「○○すれば、業務改善!」
本当の意味で建設的な人は、上記のように考えます。
「もっと○○すればいいのに…」
「(あの人また愚痴ってる…)」
こう考える人は基本的に建設的な視点を持っていません。
人の言動から前向きな発想が考えられず、現状維持に甘んじることを良しとしている人なわけですから、裏を返せば改善の推進力を阻害する…言い換えれば"足を引っ張っている"人と言うことになります。愚痴を言っている人よりはるかにたちが悪いとも言えます。
業務改善アイデアのほとんどは
「不満を解決させるひらめき」から生まれるもの
です。これを知っておかなくては、少なくともBtoBのシステム開発において本当にお客さまが望むシステムを提供する事は叶いません。
『BtoBによる受注案件』とはすなわち
"オーダーメイド"
と呼ばれるものと同じです。
一つひとつが世の中に1つだけのものです。
ソフトウェアであればフォルダやファイルを複写するだけで全く同じものが作れるのに、それで成り立つ商売ではないのです。
なぜ一つひとつ異なるのか?
それは
お客さまの現状に対する不満や愚痴に、
それぞれ全く同じものが存在しないから
です。
お客さまの数だけ不満や愚痴が存在する
ということです。
しかし、愚痴を愚痴で終わらせず、愚痴をアイデアへ変換する方法と言っても必要最低限の条件を満たさなければなりません。
発想だけ建設的でも、行動に移さなければ結局改善はできないからです。
つまり「愚痴」に対して胸を張ってアイデアと言うための条件、それは
行動力
です。「愚痴」を言って終わりではなく、建設的な方向へ行動することで初めて「愚痴」が業務改善アイデアへと変換されるのです。
システム開発の中では「提案力」とも言えるでしょう。
言い出してしまえば後には引き下がれないからです。
今まで言っていた「愚痴」や「不満」を
『よし!なら良くしようじゃないか!
あなたも一緒によくしましょう!』
となればそれは立派なアイデアになります。
これをお客さまの不満の中から抜き出し、書き起こし、定義し、お客さまと私たちとの間で相互に共有しあい、共有し、解決する方策を決定する。
これを本来は「要件定義」と言うのです。
なぜか要件定義工程の中で、すでに設計まがいのことを始めているエンジニアもいますが、それはただフライングしているだけで要件を定義しているわけではありません。最悪の場合、正しく要件を理解できないままあとで大きな手戻りが発生することにもなりかねません。
ほとんどの方が、愚痴をビジネス(仕事)のガス抜き程度しか考えてなく、
不満はあっても変えようとしません。そしてそういう人であればあるほど他の人の愚痴や不満を聞くたびに負の感情やネガティブ(否定的)な発想しか持たなくなっていきます。
最悪、そういう人が「改善」しなければならないような立場に就いた場合、
一切の改善がストップしてしまって組織全体から人事レベルでの不満や愚痴が発生することになります。
そして愚痴が愚痴を生み、どんどん拡大していくばかりになります。
そのような環境でいつかバブルのように弾けたら…欧米などでよく行われるストライキとなりかねないわけです。
『そんな私から良くしようじゃないか!』
『あなたも一緒によくしましょう!』
なんて言えない、と思うかもしれません。
ですが、それは誰でも思うことです。
みんながしないから、自分が始める意味がある
すくなくともこれだけは覚えておいてください。
普通の人は「愚痴」で終わりです。
どんな仕事であっても、うまくいっている人と言うのはその大半が
現状維持のままでは発生してしまう「愚痴」や「不満」を
アイデアへと変換させる行動
をしているだけなのです。
もちろんそのアイデア自体に次なる問題があると言うケースもあります。
しかし、それもまた不満に思うようになれば、改善するアイデアを考え、行動に移せばいいだけです。
そして、誰もアイデアへと変換しない人ばかりの職場や組織、チームであればそれは『あなたが活躍できる大チャンス』です。
仕事がうまくいく方法や上手くいかせるきっかけが、その「不満」や「愚痴」という宝の原石のなかに眠っているかもしれないのです。
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