あなたはかけがえのない存在
マンガ感想文
ルックバック 藤本タツキ
自分の才能に 絶対の自信を持つ藤野と、 引きこもりの京本。 田舎町に住む2人の少女を引き合わせ、 結びつけたのは漫画を描くことへの ひたむきな思いだった。 月日は流れても、 背中を支えてくれたのは いつだってーーー。 唯一無二の筆致で放つ 青春長編読切。
チェーンソーマンの時からこの先生のマンガは、感情豊かに描き、人間らしさが全面に出ていて、一人一人登場人物が好きになる。
今まで褒められ続けてきたマンガの才能を持つ藤野が、自分より画力の優れた京本のマンガに、驚愕する姿。
その京本にマンガの天才と呼ばれ、雨の中嬉しさを爆発させ、辞めようと思ったマンガに必死に食らいつく藤野。
ここからの展開が映画「君の名は。」のように今まで見たことのない類で、どう終結するのか、惹きつけられた。
最後の言葉が印象深い。
だいたい漫画家ってさあ・・・ 私 描くのはまったく好きじゃないんだよね 楽しくないし めんどくさいだけだし 超地味だし 1日中ずーっと絵描いてても 全然完成しないんだよ? 読むだけにしといたほうがいいよね 描くもんじゃないよ じゃあ藤野ちゃんは何で描いてるの?
たった一人に喜んでもらえるだけで、たった一つの笑顔だけで、心から突き動けるような活力が生まれることがある。
1人の存在なんて小さいと思うこともあるけど、たった1人の存在が他人に大きく影響を与える可能性もある。
何回も読み、読み返す毎に心臓がキュッとなり、涙が出そうになる。私の中にある大切な瞬間(気持ち)が思い出される。人を助け、喜んでもらえた時の笑顔だ。担当した高齢者や友人の笑顔を思い出すと、最後の壁が溶け、涙がこぼれた。
最後まで読んでもらえて嬉しいです