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「気象庁の人々:社内恋愛は予測不能?!」 - 毎日変わる天気のように厭わしくも愛しくもある日常

★★★★+

とにかくテンポが良くて明るいときめきのある恋愛ドラマが観たい気分だったのでぴったりでした。原題は「気象庁の人々:社内恋愛残酷史」だった気がするので、改題しない方が面白そうだった気もしますが(原題の方が内容にもハマってる)、天気予報をうまく絡めたテーマで毎話エピソードがまとまっていくつくりなのでとても観やすかったです。主役のパク・ミニョンのキャラクターがとにかく良く、気づいたら思っていたよりもハマっていた!と感じました。

気象庁に勤める気象予報官のハギョン(パク・ミニョン)は、若いが優秀で仕事熱心。しかし忙しすぎる中で10年以上の交際を経て結婚式の準備を進めていたギジュン(ユン・バク)との関係がなんだかギクシャクし、しまいには彼の浮気が発覚し破談になります。よりにもよってギジュンは同じ気象庁の報道官。周囲もみんな知っている交際だっただけに、社内恋愛にトラウマを抱えてしまうことに。そんなとき、たまたま知り合い同僚になる新人気象予報官のシウ(ソン・ガン)と急速に距離が縮まり、気になっていくハギョンですが、このシウはなんと、ギジュンの浮気相手であるユジン(ユラ)の元カレで…。

明快な四角関係で、浮気した同士のギジュン&ユラと傷ついた者同士のハギョン&シウという構図は気持ちが良く、序盤はひたすらキュンキュンきゃっきゃな展開で進みます。ところが中盤、シウの父が登場することで風向きが変わると急に結婚や家族のリアルな重たさが表現されるようになり、あんなに短距離走みたいに恋を始めたハギョンとシウがどんどん前進できなくなってしまい、もどかしさが募るのです。この辺は観ていてもなかなかストレスが溜まるところ。

ただ根本的にハギョンの性格がさっぱりしていて、それでありながら情に厚い女性なので、周囲に対する気配りや人間らしい葛藤が見ていて癒されるキャラクターでした。対するシウは天真爛漫なようで実は悩みが深く、若さゆえに視野が狭まってしまう場面もありますが、それをハギョンが上手くカバーしていく感じで、年上彼女の理想的なカップルを見せてくれるふたりです。

ギジュンとユラは初めこそ嫌でしかない存在なのですが(特にギジュンは呆気に取られるほどの残念男)、ふたりの内面もしっかりと描かれていくので最終的にはこのふたりにはこのふたりなりに幸せになってほしいと感じるようになります。とりあえずこのふたりが変にハギョン&シウに未練を見せるようなことがほぼないのでそれが物語として良かった。むやみなドロドロを描くのではなく、過去の経験から本来の自分を見せられない恋人たちがどうやって相手に心を開いていくか、そんな過程を教えてくれる作品な気がします。ギジュン役のユン・バクは「君は私の春」でとても好きになった役者さんなので、最初はギジュンのクズっぷりが悲しかったですが(笑)、トータルでは情けないけど愛せるキャラに収まるので、そこはユン・バクならではの表現力だなぁと思います。

また気象庁が舞台なので毎回テーマになる「天気」があるというのがこのドラマの特徴であり魅力。ゲリラ豪雨、猛暑、台風、初雪…馴染みのある天気を、予報する人々の目線で紐解いていくのはそれだけでも見ていて面白いものでした。どんなに恋愛がモヤモヤする展開になっても、天気は毎日目まぐるしく変わるので毎話気分をリセットして向き合える感じがあって、個人的にはそれがとても好きでした。あと4話のつくりが素敵。何か強烈な印象が残るというよりは、それこそ日々の天気の移り変わりを眺めるような、日常的な楽しさと穏やかさを与えてくれるドラマだと思います。


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