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すあまのたんぺん

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中根すあまがかいた短編小説たちです。
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#短編

鰯に学ぶことなんて、ない

まるで水族館の巨大水槽に放り込まれてしまったようだ。酸素ボンベはない。呼吸ができる回数が…

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ほていをつぐもの

「神様みたいなお仕事だと思います」 何の脈略もなく突然現れた、素性の知れない客がそう言っ…

14

まほうだよ

花火が、すきだった。 それは、夏の夜に咲く一瞬の夢であり、わたしをどこか遠い世界に連れて…

18

彼とカツカレー

今日は日曜日。 目が覚めて3秒で顔がにやけてしまったのは、今日がとっても幸せな日になると確…

17

狭間

目が覚めたら夢だった。 自分が存在する世界が現実であるような気もするし、夢であるような気…

15

季節はずれのきらきら

AM 8:00 『はなちゃんおはよう〜!!』 『あ!ゆかちゃん!おはよ!!』 『学校までいっ…

8

さなとろじー

正直、もういらないと思った。 何がって?命だよ、命。 だって生きていてもいいことなんてひとつもないし、むしろ状況は日に日に悪化して、生きづらくなる一方なんだ。 ぼくの願いはひとつ。苦しむことなく、痛みに耐えることなく、ただひたすら平穏に、この命とお別れをしたい。 自殺願望とは少しちがう。『ぼく』という命が、存在が、人格が、ぼくにはもう必要ないのだ。 どうすればこの願いを叶えることができるのだろうか。 ぼくは考えた。 何も食べず、眠ることもせず、硬い学習机のいすに座っていつまで

サラダ味

やるせない。 どうしようもなく、やるせない。 俺は俺なりに長い間努力してきた。それなのに、…

8

ぐるめ!!

ぼくは、食べることがすきだ。 おいしいものを食べることこそがぼくの人生であり、それ以外は…

9

あいさつ恐怖症

ぼくは、『さようなら』がこわい。 仲の良い友達がいた。家が近所で、毎日朝から晩までいっし…

10

ラスいち

ジリリリリリ。 目が覚めると同時に、眠ることによって封印されていた憂鬱でしかたないあれや…

7

りばーす!!

4時間目は爆睡だった。 それもそのはず、世界史の石川先生の授業だったからだ。 先生の授業は…

9

午前8時

しまった。 桃花はその場に立ち竦み、大声で叫び出したい衝動に駆られる。 時刻は午前8時。青…

7

怖い夢

おかしい、と思い始めたのはいつのことだっただろうか。 4月に別の学校から転任してきた校長は、着任式の挨拶で全校生徒にこう伝えた。 「わたしは出来の悪い生徒が嫌いです。この1年間で一定のレベルに満たなかった生徒は徹底的に排除し、最後のひとりとなった生徒だけが、わたしの教え子です。」 女の人だった。体は痩せ細り、頬はこけていて、どことなく魔女のような雰囲気の彼女は、それだけ言い放つと、颯爽とステージを後にしたのだ。 案の定、体育館は生徒たちのどよめきに包まれ、ただ事ではない空気の