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【先輩インタビューVol.6】株式会社インテージテクノスフィア 野上 和希さん(2018年卒)

埼玉大学を卒業し社会で活躍する先輩にインタビューする企画「先輩インタビュー」シリーズの第6弾は、2018年に埼玉大学大学院理工学研究科分子生物学科を卒業された野上和希さんに埼玉大学の森田、赤嶺、吉田がインタビューしました。また、経営企画部人財組織グループ(当時)の大塚しほりさんにもご同席いただき、会社や業務、就活について伺いました。


プロフィール

野上 和希 Kazuki Nogami| プロフィール
株式会社インテージテクノスフィア グループビジネス推進本部システム二部第3グループ
2018年3月、埼玉大学院分子生物学科卒業
♦️大学時代
勉強、アルバイトに取り組む普通の大学生。学業に集中するために修士課程進学時にアルバイトを辞め、ルームシェアをすることで生活費を節約していました。苦楽を共にしたルームメイトとの生活は一生の思い出です。
♦️社会人になってから
新卒1年目から情報システム部門を担当。インテージグループの全社向けIT基盤(ネットワーク・セキュリティ)の企画・構築・維持管理を担当。オンプレミスからクラウドまで幅広く担当しています。

学生時代から就職活動まで

― 学生時代はどのようなことをしていましたか?
特に変わったことはしておらず、学業とアルバイトに力を入れていました。
アルバイトは駅員をしていました。学部4年生の時に一度就職しようとして色々な業界を見ましたが、最終的には修士課程まで進学することに決めました。
サークルは一応入っていましたが、あまり参加していなくて、主に学業に励んでいました。

― どのようにして就職活動をしていましたか?
自身の専攻を活かすパターンと、興味のある業界を受けるパターンの2通りで進めていました。前者では、専攻が生物系だったので食品メーカーや化粧業界、素材メーカーといった業界を第一志望として受けていました。後者では、興味のあったIT業界を並行して受けていたというような感じです。最終的にはIT業界のこの会社に入社することにしました。

   

2018年卒業の野上和希さん

組織の規模を意識した就職活動

― 就職活動の際に一番重視したことは何ですか?
一番重視していたことは、自分が働いている姿を想像できるかどうかです。具体的には、会社の規模や従業員数を気にしていました。駅員のアルバイトをしていた時は、自分と同じアルバイトの人は100人くらいいました。そのくらいの規模だと、顔と名前が一致するなとか、性格がだいたい分かるなとか、特徴のある人がどのくらい目立つかなどを体験の中で理解することができました。この経験を元に500人、1000人、1万人という組織の中で、自分が働くとどうなるのかをイメージしていました。例えば、埼玉大学だと6000人以上の人がいます。6000人以上の規模の企業に入るということは、埼玉大学の中で自分が活躍するということになるので、それが自分にできるのかを考えていました。弊社は500人くらいの会社なので、就職する前にどう活躍できるかをだいたいイメージできました。ご縁ももちろんありますが、自分が働いている姿を一番イメージできたのがこの会社を選んだ決め手でした。

― 年収などは気にされましたか?
年収はある程度気にしましたが、年収に対する生活レベルを具体的に想像するのが難しかったので、重要視はしていませんでした。学生時代に家計簿などをつけていたら違ったのかもしれません。学生時代にアルバイトを頑張っている方は、103万円以内でバイトをするというような工夫をされていると思います。そこにプラス100万円なのか、150万円なのか、200万円なのかといったことを想像すると、自分が望む生活レベルに必要な年収はどのくらいなのかが分かって良いのかもしれません。

インテージテクノスフィア本社の会議室にてインタビューさせていただきました。

― インテージテクノスフィアのことはどこで知りましたか?
埼玉大学のキャリアセンターの説明会で知りました。後日、会社主催の説明会に参加したところ当時の社長がいらっしゃって、その時に「IT業界は技術の波が激しく新しい分野や、新しいサービスがたくさん出てくるが、その技術をしっかり習得していくとその技術の第一人者になれる可能性がある」という話をされていました。それを魅力的に感じて、インテージテクノスフィアのことを調べ始めたというのがきっかけです。会社に入ってからでも技術を身につけられる環境があるので、自分の努力次第で成長できる可能性を感じたのが大きかったです。

縁の下の力持ちとしてのインフラエンジニア

― 現在はどのような仕事をされていますか?
一般的に情報システム部門と呼ばれる部署に所属し、会社のネットワークやセキュリティの企画・構築・維持管理をしています。ネットワークは大きく2つあって、従業員が働くオフィスネットワークと、自社で開発したシステムが置かれるデータセンターネットワークに分けられます。入社してから部署変更等もなく、5年ほど同じ部門にいます。

― 話せる範囲で業務内容をもう少し具体的に聞かせてください。
まず、仕事の一つに私たちの会社が持っているデータセンターにあるネットワーク機器の維持管理があります。機器が100台以上あるので、その機器のサポート終了やメーカーの提供終了時期に合わせて機器の更新を行ったり、ニーズに合わせて速度やシステムを拡張したりしています。
あとは、実際に動いているシステムのネットワークセキュリティに関する業務があります。必要なセキュリティレベルを遵守し、より良いシステムを開発するために必要な機器は高価な場合が多く、専門的な知識も必要になるため維持管理していく負担も大きいです。そのため、共通基盤として必要な機器を導入し、設定変更作業や機器交換などの維持管理をしています。

― 説明していただいたインフラエンジニアとしての業務内容は他の企業のインフラエンジニアにも当てはまることなのでしょうか?
定義は難しいですが、一般的には当てはまらないと思います。一般的なインフラエンジニアは、特定のシステムやサービスに対する深い知識を基にそのシステムのインフラ設計や管理を行うことが多いです。一方で私の部門では、複数のシステムが共通で利用するインフラの設計や管理をしている点が異なります。

― 業務においてプログラミングの技術は必須なのでしょうか?
必須ではないです。実は、私の同期には大学でプログラミング(情報系)を専攻していた人は1人もいませんでした。業務では作業効率化の点から簡単なシェルスクリプトを書いたりすることはありますが、メインの業務で何かのシステムを作るためにプログラミングを書くということはないです。プログラミングは他の部署の方が行っています。

― 資格の勉強をしていて仕事に役立ったことはありますか?
IT関連の資格は多岐にわたっているので、自分のやっている業務に直接関係がなくても、広く興味を持って勉強しておくと、後でつながって楽しいです。例えば、上司が言っていたことが分かったり、新しい技術で分かる部分があったり、この部分がこうつながるんだというように理解が深まったりします。勉強していたことが身についた時や、自分の中で納得いってつながった瞬間は、資格に向けた勉強が役立ったと実感しますし、働いていて楽しいなと思う瞬間でもあります。

― 少し踏み込んだ質問ですが、残業はありますか?また、出張はどのくらいしていますか?
仕事のピーク、タイミングにもよりますが、6年目になると、ある程度の範囲の責任を持って担当することになるくらいの年次なので、残業はあります。ただしそこまで多くはなく、月平均でだいたい10時間ぐらいです。また、ネットワークを管理しているので、仕事柄出張もあります。大阪や長野に行きますが、年に1回あるかないかです。

― 配属されてから仕事のイメージのギャップはありましたか?
特にありませんでした。そもそもIT関連の業務を詳しく把握できていなかったので、事前にきちんと想像できていなかったと思います。ただ、顧客にコミュニケーションをとってシステム案件を売り込むのは、自分の性格からそんなに得意ではないだろうと思っていたので、社内向けの部門を希望し、情報システム部門に配属されたという形です。

― IT業界に就職するにあたってどの部分の業務を行いたいなどの希望はありましたか?
希望は特にありませんでしたが、現在の部署は自分にとても合っていると感じているので、自分の性格や適性を見て配属してもらったと思います。大学やバイトでもあまり目立つタイプではなくサポート側にいたので、その方が向いていたと今になって感じます。大学時代には基礎研究を行っていたのですが、そういった経験からも「目立たないけど裏をしっかり支える技術」というのが自分に合っていると思います。
インフラエンジニアとして技術的なところは、基礎的な部分から学んでいますが、自分が納得感を持って身につけられているなと実感します。

― 貴社で働いている人たちの雰囲気はどんな感じですか?
同期の雰囲気はとても仲が良いです。定期的に飲み会に行ったり、毎年花見をしたりしています。男女比は女性の方が多いです。また、修士課程や博士課程を卒業した方も何名かいます。
性格的には、結構おとなしくて柔らかな感じの人が多いです。

事前に用意した質問をするインタビュアーの学生
(左から、吉田、森田、赤嶺)

長野のオフィスを設計して成長を実感

― 今までの仕事で一番大きな仕事は何ですか?
弊社は東京と長野に拠点があるのですが、そのうち長野駅前にあるオフィスのネットワーク設計をしたことが、一番大きな仕事です。入社3年目に、椅子や机などのファシリティを担当する部隊の方や社内の方と連携して、一からオフィスを作りました。ネットワークの設計は上司のサポートを受けながら、主に上司と私の2人で行いました。設計期間は半年くらいだったと思います。新規で作る事務所だったので、時間的にある程度ゆとりを持って構築することができました。一方で会社が統合される時などは、設計する箇所は減るのですが、スケジュールがタイトになることがあります。
設計の際には、そこで働く人が快適に働けるかどうかを意識しました。従業員の数やどういった業務で使うかといったことを想像しながら、上司に相談して、通信の品質を設計していきました。大きな仕事を任されてやり遂げたことで、成長できたと実感しています。

― 大きな仕事を任された時に不安は感じましたか?
上司が手厚くサポートしてくれたので、不安は特にありませんでした。開発期間もそれなりにあって、長期的な計画を基に作業をしていくので、時間に追われるようなプレッシャーも特に感じませんでした。面白い、やりたい、頑張ろうといった前向きな気持ちでした。

― 逆にプレッシャーに感じる業務はありますか?
今動いているシステムを変える時は、やはりプレッシャーがあります。ネットワークを一から作る時は、上流の工程の設計からできるためやりがいがありますが、プレッシャーはあまりないです。一方で今動いているものを、品質を変えずに新しいサービスにする時など、切り替えや変更の作業をする時は緊張します。インフラ部分は絶対に止めてはいけないものなので、失敗した時の手順もしっかり組み込み、戻す手順までの段取りを全て計画したうえで作業に取り掛かります。準備に手間はかかりますが、無事に変更が終わると、表面上の見た目は変わっていなくても、とても嬉しくなります。

株式会社インテージテクノスフィアについて

― ここからは人事の大塚さんに会社全体についてご質問したいと思います。まず、会社の全体像を教えていただけますか?
(大塚)弊社は2014年にインテージというマーケティングリサーチ会社から独立した、いわゆるシステムインテグレーター(SIer)と呼ばれるシステム開発会社です。元々、弊社の事業はインテージをはじめとするグループ内企業向けのシステム開発がメインでした。マーケティングリサーチではリサーチするために、さまざまなデータを収集・可視化してお客様に提供する必要があり、それを実現するためのシステムを開発しています。一方で、製薬会社や旅行業界など、他のお客様に向けたシステムも作っており、現在では売上ベースでお客様に向けたシステム開発の売り上げがグループ向け開発を上回っています。

経営企画部人財組織グループ(当時)の大塚しほりさん

― SIerとしての業務内容を教えてください。
(大塚)主な業務内容として、製薬業界、観光業界、出版業界や健康組合といったお客様に対してシステム開発を行っています。
具体的なシステムの例でいうと、製薬業界の営業のような職業であるMR(医薬情報担当者)さんに向けた日報管理システムを作っています。お薬は世の中に出るまでに多くの調査を受ける必要があります。法律や基準に照らし合わせて、世の中に出して問題ないかどうかといった確認をたくさんするので、その進捗管理をするシステムを開発しています。
また、観光業界に対しては、ツアーの会計手続きを統括するシステムを作っています。旅行代理店などが組み合わせてパッケージとして販売しているツアーは、乗り物や宿泊先がツアーにバラバラなので、その利用料金を旅行代理店から各施設に支払うなど、お金を精算するまでのフローが複雑になっています。このフローを支援するようなシステムを開発しています。

― 入社の時にプログラミングの知識は求められますか?
(大塚)毎年20~25人を目安に採用しているのですが、だいたい文理半々で採用しています。情報系を専攻されている方ももちろん採用していますが、プログラミングの知識を必須にはしていないです。また、入社後の研修期間が3カ月あり、そこでしっかり教育を行ってから開発現場に配属するので、皆さん問題なく業務に取り組めています。文系の方であっても、プログラミングは言語の一つとして捉え、苦手意識なく取り組むことができる方もいます。

― 採用の際にどのような基準で選んでいますか?
(大塚)その人ごとのキャラクターやバックボーンがあるため一概には言えないのですが、会社のビジョンである「誠実さ」に合致しているかどうかが重要な要素です。また、コミュニケーション能力がある方も色々な情報をキャッチアップしやすいと考えられるので、歓迎しています。

人事 大塚さんからの就活アドバイス

― 就活において資格を取る以外に、しておくと良いことはあるでしょうか?
(大塚)資格は役に立ちますし、形に残るので取得して損はないと思いますが、学生時代にどういうこだわりを持って、どういう取り組みをしたかの方が重要です。野上さんの例で言うと、駅員のバイトをしていて大人数の人と一緒に仕事をした経験があると、この人には他人とコミュニケーションを取るようなプロジェクトのアサインをしても大丈夫だなといったイメージが湧いたりします。

― 企業を絞りきれないのですが、どうしたら良いでしょうか?
(大塚)インターンシップに参加するのが良いと思います。IT業界だと、正直たくさん会社があって説明を聞いてもどこも同じようなことをやっている気がしてくると思うんです。インターンシップに参加すると社風みたいなものが少し分かるようになるので、ここの会社の社員さんはこういう雰囲気なんだなとか、こういう仕事をしているんだといったように、だんだんと同じIT企業の中で区別できるようになると思います。

― ありがとうございました!


左から、吉田、森田、野上さん、赤嶺

インタビュー日:2023年10月6日
取材:理工学研究科  1年 吉田士苑
   理学部 4年 森田亘希
   経済学部 3年 赤嶺梨名
執筆:理学部 4年 森田亘希
編集:キャリアセンター

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