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「香港人 vs. 中国人 inスペイン」への私見

今日はTwitterで流れてきたとある投稿の内容が興味深かったので、それについて。

中国のSNS(小紅書)のある投稿をスクショしたもので、スペインのバルセロナにおける、中国人の女性の体験談がその主な内容です。以下に要約しつつ翻訳します。

(タイトル)外国で初めての差別が、香港人からなんて思いもしなかった

Tossa行きのバスを探していた時、広東語を話す2人の華人を見つけ、駆け寄って「お姉さん、中国人ですか?」と声をかけた。しかし、1人は私と話したくないという様子で、もう1人は私を見て「私は香港人です」とだけ言って去っていった(……つまり、中国人っていうことじゃないの?)

他にも華人のグループがいて、同じように声をかけたが、彼女たちは一言も話さなかった。一人の親切なお兄さんだけが「(中国語が)わかるよ」と言って方角と、(無視をした)彼女たちも香港人であることを教えてくれた。

まさか中国人かどうかと尋ねたことが、彼女たちを怒らせてしまったのかしら? でも、どうして香港はとっくに返還されたでしょう?どうして自分は中国人だと認めないの?

翻訳、太字強調は筆者

つまり中国(大陸)人の女性が、スペインにて香港人に「あなたは中国人ですか?」と聞いたところ、無視されてしまったという話です。これを読んで、みなさんはどのような感想を持ったでしょうか。

そもそもがインプレッション稼ぎの創作(いわゆる嘘松)の可能性もありますが、仮に事実だとすると、中国人と香港の関係やそれぞれの振る舞いについて非常に示唆的な話ではないかと思います。

以下、個人的に考えたことを書いていきます。

深刻な中国的無神経さ

まず投稿主、つまり道を尋ねたという中国人女性の方から見ていきましょう。

最初に考えなくてはいけないのは、海外にて「同じ人種っぽいが、見ず知らずの人間」に「あなたは〇〇人ですか?」と聞くことの是非でしょう。僕がこの件についてX(Twitter)でつぶやいた時にも、このことに対する賛否(というかほぼすべて「否」)の意見がいくつか上がりました。

西側的ポリコレっぽい感覚で言えば、アイデンティティに関わることを通りすがりの人間に聞く・聞かれること自体がアウトだ、ということにはなるでしょう。そのあたりはたしかにセンシティブな問題であり、多少の無神経さは否めません。「中国語は分かりますか」くらいにしておいたほうがよかったかもしれません。

ただ、中国においてはこうした感覚はそれほど共有されていないし、その感覚が唯一の正解であるとも僕は思いません。そもそもいわゆる西側的な文脈においても、「軽々しくアイデンティティに関わることを尋ねてはいけない」という感覚が共有されたこと自体、そう長い歴史のある話ではないでしょう。

僕自身、海外で日本人に「日本人ですか」と声をかけられ、助けを求められたことが何度かあり、その時は普通に受け答えしていました。たぶんこれは、ポリコレ的な意識の面ではともかく、実態としてはそこまで特別なことではないと個人的には感じます(自分ではやらないように気をつけようとは思いますが)。

だから、これをもって件の中国人女性の振る舞いがどうとは、僕はあまり言いたくありません。

ただ、その経験について「香港は中国の一部でしょう? だからあなたたちも中国人でしょう?」とあっけらかんと言い放ち、それをSNSで共有する(あるいはそれがインプレ稼ぎになると考える)中国人女性の感覚には、さすがに不気味さを覚えます。

中国の人々は、強いものが弱いものに同化吸収され、従うのは必然だ、という意識をあまりにも強く内面化しています。その意味で彼らは、かつての中華圏におけるプレゼンスを失い、かつての地位を保てなくなった香港の人々が、なぜ「香港人」というアイデンティティにこだわるのかを理解できません。

むしろそうした「さっさとうちの軍門にくだりなさいよ(笑)」という態度こそが、制度上はとっくに中国の一部であり、また中国が目覚ましい発展を遂げたにもかかわらず、香港の人々が中国(大陸)を警戒してやまない理由のひとつになっています。

こいつらにひとたび取り込まれてしまえば、大事にしているものがあっさり踏みにじられてしまう——そういう危機感が香港の人々の不安を煽っています。その態度を改めなければ、中国の人々が香港の人とまともに手を取れる日は来ないでしょう。

「なぜ中国人であることを認めないの?」と言ってのけるその姿には、西側的ポリコレ基準うんぬんよりもっと深刻な中国的無神経さと、他者理解のなさが如実に現れているような気がしました。

お前らも「文明人」ならさあ

いっぽうで、香港人たちのほうに視点を移すとどうでしょうか。以下も個人的に考えたことです。

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