バルテマイ

どの宗派にも教会にも属さない「無宗教主義キリスト者」です。長年に渡り、原典聖書を研究し…

バルテマイ

どの宗派にも教会にも属さない「無宗教主義キリスト者」です。長年に渡り、原典聖書を研究し、正文批評(写本の比較)も行ってきた経験から、聖書の本質的なメッセージを投稿していく予定です。また、話題は聖書に限らず、様々な分野(哲学・心理学・歴史・政治・経済・芸術など)にも及ぶ予定です。

最近の記事

教会の実現

三大使徒  新約聖書の三大人物は,ペテロとパウロとヨハネです。ペテロは十二使徒のリーダーであり,忍耐と希望の人でした(ペテロ書Ⅰ)。パウロは異邦人の使徒であり,信仰の人でした(ガラテヤ書)。ヨハネは聖書最大の神秘家であり,愛の人でした(ヨハネ書Ⅰ)。 三大教会  三種類の教会があります。第一に,ペテロを信奉したカトリック教会です(ローマ教皇はペテロの代理)。第二に,パウロを信奉したプロテスタント教会です(教義の中心はパウロの信仰義認説)。第三に,ヨハネを信奉したギリシャ正

    • 聖書の捏造

      捏造された聖書  教会は,聖書を後世に伝えました。そういう意味において,教会の功績は絶大です。一方で,教会は聖書を改変しました。そういう意味において,教会の罪は小さくありません。では,どのようにして教会は聖書を改竄したのでしょうか?今回は,ヘブライ書13-25を用いて,聖書を捏造した心理的背景を探りたいと思います。 パピルス46番  ヘブライ書最古の資料は,パピルス46番,俗に言う「チェスター・ビーティ・ビブリカル・パピルス」です。紀元200年の巻き物です。最古の資料に

      • 道元の悟り~日本文化の独自性~

        現代文明の行き詰まり  西洋文明の弱点は,身体(σωμα)を忘れた抽象です。デカルトの心身二元論以来,欧米人は心を重視し,身体を軽視してきました。ヘーゲルに代表される観念論は,身体の否定です。マルクスに代表される唯物論は,肉体の観念化です。いずれにせよ,西洋哲学は,抽象的世界という雲霧に迷い込んでしまったのです。こうした現代文明の処方薬となるのは,徹底的に身体(現実)を重視した道元の悟りではないでしょうか。 ※昨今のLGBTQ+の過度な強調も,身体軽視の結末と言えるでしょう

        • 世界三大宗教の発展

          意識の構造  人間の意識は,四つの機能によって構成されます。一番表層に位置するのが感覚(sensation)です。感覚とは,何かがある(is)ことを教える機能であり,最も現実的な機能です。次に思考(thinking)です。思考とは,何であるか(what a thing is)を教える機能であり,心の中の観念を作る機能です。次に感情(feeling)です。感情とは,あるものの価値(value)を定める機能であり,好き嫌いの判断です。最後に直観(intuition)です。直観と

        教会の実現

          真理概念の変遷

          市場のイドラ  人間は,何らかの先入観によって物事を観ています。あたかも色眼鏡をつけて世界を見るように,自分の欲するがままに真理を見ているのです。そして,真理を歪曲する先入観の筆頭は「言語」です。今回は,真理を語るのではなく,真理を歪曲する言語について語ろうと思います。 ① ヘブライ語の真理  聖書人物の母語はヘブライ語でした。故に,聖書を理解するためには,ヘブライ語の特徴を理解しなければなりません。ヘブライ語における真理を「エメト」と呼びます。エメトの本質的意味は「一

          真理概念の変遷

          日本滅亡を回避するために~ビスマルクの大戦略に学ぶ~

          はじめに  神聖ローマ帝国はナポレオンにより崩壊し,ヨーロッパ中央は小国に分裂しました。これら小国を統一しドイツ帝国を創建した者こそ,オットー・フォン・ビスマルク(1815~1898)でした。 ビスマルクは通常,「鉄血宰相」や「ヒトラーの先駆者」と称されています。つまり,武断的なイメージが強いのです。しかし,それは誤解です。今回の記事は,ビスマルクの実像と国際政治の本質について解説します。 政治家ビスマルクの誕生 雌伏の時代  ビスマルクは1815年,プロイセンのユ

          日本滅亡を回避するために~ビスマルクの大戦略に学ぶ~

          「世界地理から観た宗教」第三回 アジアの光・仏教

          インドの地理 地形的特徴  ヒマラヤ山脈の南方に位置し,ほとんど正三角形の地域をインドと呼びます。インドは南北に二分されます。南は三方山脈で囲まれた半島であり,その中心はデカン高原です。北はガンジス川・インダス川の水域であり,広大な平原です。インダス川の恩恵はインダス文明を生み,ガンジス川の肥沃さはインダス川水域以上です。 気候的特徴  インド気候の特徴を一言で申し上げれば,「正反対」です。デカン高原は熱帯性であり,大インド砂漠はアラビア的な乾燥地です。一方,ヒマラ

          「世界地理から観た宗教」第三回 アジアの光・仏教

          キリストとキリスト教

           キリストとキリスト教は別物です。キリストは神の啓示であり,キリスト教は歴史的構造物です。キリストは生ける人格であり,キリスト教は死せる神学です。その差は月とスッポン以上です。 終末論  キリスト教の終末論は,世の終わりに宇宙が崩壊する破壊的終末論です。これは後期ユダヤ教の終末論に由来しています。破壊的終末論を信じる者は,世界の傍観者となります。当たり前の話かもしれません。どうせ崩壊する世界など,誰が興味を持つでしょうか?  一方で,キリストが説いた終末論は,実存的終末論で

          キリストとキリスト教

          「世界地理から観た宗教」第二回 福音の誕生

          はじめに  神は宇宙第一の名将です。神は,ご自身の経綸を実行するため,この地球を創造し,諸民族を配置されました。そして,時満ちて(ガラテヤ書4-4),救世主をこの世に遣わしました。どこに遣わしたのでしょうか?それは地球の中心です。高遠な大戦略を有する神は,アレキサンダーが敵陣中央を攻めたように,世界の中心に救世主を遣わされたのです。 ユダヤの地理的特徴 ① 世界の中心  ある地理学者が述べたように,この地球には一つの大陸と無数の島々があります。一つの大陸とはユーラシ

          「世界地理から観た宗教」第二回 福音の誕生

          「世界地理から観た宗教」第一回 予言書としての地理

          「神はご自身を探し求めさせるために,諸民族を時と場所に応じて配置された」(使徒行伝17-26・27) はじめに  神は,何らかの意図をもって人類を創造されました。そして,人類を導く舞台として,この地球を創造されました。もし歴史を演劇とすれば,地理はその舞台です。舞台なくして演劇が成り立たないように,世界地理を無視した歴史は意味がありません。特有の地形や風土が特殊な民族を形成し,その特殊な民族が独特の宗教を形成しました。故に,宗教を究めんと欲する者は,まず地理から学ばねば

          「世界地理から観た宗教」第一回 予言書としての地理

          宗教問答~コメントに対する回答~

          はじめに  私が投稿した以前の記事に対し,読者からコメントを頂きました。私の主張に対する疑問の呈示です。非常に良いご指摘だったので,今回の記事にてお答えさせて頂きます。 質問  私は「一億総老人社会」という記事において,自分の志を述べました。「キリストによって全宗教を統合したい」と。この主張に対し,こういうコメントを頂きました。「全宗教の統合は無理である。なぜなら,共通項の寄せ集めは,各宗教の個性を切り捨てることになるからだ。宗教信者は,このような平板な一般理論を受け入れ

          宗教問答~コメントに対する回答~

          学問の分類

          はじめに  この世界には多くの学問があります。そして,諸々の学問は,自然科学(自然に関する学問)や社会科学(人間に関係する学問)のように,学ぶ対象によって分類されています。しかし,こうした表面的な分類法により,芸術や宗教など重要な学問を取り逃がしているのです。真の学問体系は,人間の意識によって分類されねばなりません。  人間が何かを学ぶ時,意識は主観と客観に分離します。知る側が主観であり,知られる側が客観です。この主客の関係により,学問は4つに分類されます。 ① 知識の

          神を信じる理由

           神を信じる動機は人によって様々だ。  第一に,「恐怖」に駆られて神を信じる人。つまり,自然の暴威や人生の不幸を避けるため神に縋るのである。これ,野蛮人の信仰である。  第二に,「幸福」を求めて神を信じる人。つまり,農作物の豊穣や人生の成功を願って神に媚びるのである。これ,民族宗教の信仰である。  第三に,「義務」の命令者として神を信じる人。つまり,正義の観念に要請された神を信じる人である。これ,カントの立場であり,律法主義の立場である。  第四に,神の恵みを知って神

          神を信じる理由

          神はなぜ悪を見過ごしているのか?

          神義論  もし全能の神が存在するのなら,なぜこの世に悪が存在するのでしょうか?なぜ神は,この世の悪を放置しているのでしょうか?「もし神が存在するのなら,なぜゆえ罪なき子供が苦しまねばならぬのだ!?」ドストエフスキーがイワン・カラマーゾフに仮託したこの叫びこそ,現代的無神論の源泉です(「カラマーゾフの兄弟」)。「神の全能」と「悪の存在」は,理論的に矛盾した概念です。神と悪の矛盾・対立を解決すべく,我々は歴史上の様々な神義論(神の正義を立証する理論)を考察してみましょう。 現

          神はなぜ悪を見過ごしているのか?

          一億総老人社会

          20世紀の三大発明  ある歴史家は,20世紀を革命の世紀と呼びました。なぜなら,人間の世界観を変革する3つの発見があったからです。  第一に,量子力学の誕生です。プランクの論文(1900年)により切り拓かれた量子力学は,ハイゼンベルク,シュレーディンガーらを経て,ミクロ世界の物理法則を解明しました。  第二に,精神分析の誕生です。1900年に発刊されたフロイトの「夢判断」により,全く未知なる無意識の世界が発見されました。心理学の研究は年々歳々進歩し,フロイトの弟子ユングによ

          一億総老人社会

          物価高から生活を守る方法

          今後も続く値上げラッシュ  最近,物価高が止まりません。それもそのはずです。なぜなら,円の価値が急速に低下しているからです。いわゆるドル高円安です。例えば,3年前の為替レートは1ドル=115円でした。しかし今や,155円に達しようとしています。具体的に申し上げれば,3年前5000円だった品物が約6700円に値上がったのです。しかも給料が上がらないので,家計は急速に苦しくなりました。  残念ながら,円安の傾向は今後も続くでしょう。理由は簡単です。通貨の価値は,長期的には国力に

          物価高から生活を守る方法