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友達と始めた1年目の会社でクライアントワークと釣りをし続けてわかったこと

こんにちは!埼玉県を拠点にスタジオサイタマという会社で活動している、加藤です。

友達と会社をはじめて1年が終わろうとしているので、振り返りをしてみようと思います。

寝台列車でつなぎを着ながらローカルビジネスに密着していた話

本格的にスタジオサイタマが始動したのは今年2月からでした。

当初は運輸・工事・バス観光を営む事業者さんの業務支援のお仕事を請け負うことと、敷地内にオフィススペースを間借りさせていただけることだけ前もって決まっていたのでそこからスタートすることになります。

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オフィスは写真左の青い寝台列車です。埼玉県の国道沿い、広大な敷地の片隅で1年間の電車生活が始まりました。

運輸系の会社さんなので整備士の方々がいっぱいいたりして、そういった方々に馴染むためにつなぎを着て過ごしていたり...銀行口座の審査が通らなかったのが取引先社長の紹介経由だとあっさり通ったり...とか色々なエピソードがあるのですが、業務支援の内容として行ったことはこんな感じです。

・HPのリニューアル
・ビジネスコラボレーションツールの導入
・オンラインコミュニケーションのレクチャー
・新人研修プログラムの作成と実施
・新卒1年目社員のOJT請負
・VRを駆使したオンラインツアーの企画と営業
・次年度の採用計画

業務内容の中でも特殊なのが新卒1年目社員の教育代行じゃないでしょうか。

業務委託なんだけど、同じ社員のような関係性で働く、ということが先方の社長となんとなく合意していたので出来上がった座組だと思います。

実は、こういう風にゆるく、シームレスに様々な業務範囲で協業する形ってあるんじゃないかなぁ、ということは前々から思っていて、その頃打ったプレスリリースがこれです。

ローカルのビジネス現場だと、内線電話とかでコミュニケーションを図ることがすごく多くて、これが仲間の印!みたいなことがあったりすると思うので、個人携帯番号を公開して、内線感覚で電話できるようにしてみました。

釣りしすぎたら釣りが仕事になっていった話

渓流釣りシーズンが3月から始まるのですが、そこからは毎週末はどこかしらの山や川に行っていました。

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こんな感じのガチンコ源流アクティビティです。イワナやヤマメといった、いわゆる鱒(マス)と呼ばれる魚達に会いにいきます。

釣りに行き過ぎて、秩父漁協の方と仲良くなったりしてたら、ヤマメの稚魚の水槽飼育とかもはじめました。ヤマメの遠隔飼育とか、渓流魚のデジタルアーカイブの可能性を探る、という名目です。

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さらに釣りとか魚について掘り進めていくと、埼玉県には日本最古のリールメーカーや最大の釣り餌メーカーなど、歴史ある釣り関連事業者が多く所在していて、釣り×埼玉のポテンシャルがあるんじゃないか?ということになっていきます。

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埼玉県の釣り資産を持って新しい釣りのスタイルを模索したい、と加速して行き、ついに埼玉県のはるか北、北海道に行ってしまいました。

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2週間、北海道の大自然の中で毎日10時間ぐらい釣りをしていると、

・自然と、魚ともっと対等に向き合うような釣りがしたい
・渓流釣りに関わる一連のプロセスの美学を追求したい

という気持ちが強くなり、色々やっていると、埼玉県伝統工芸士で川口和竿の職人さん、山野さんに出会いました。川口エリアは日本の伝統的な竹釣竿の生産地として職人さんを多く抱えていた歴史があります。

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山野さんに僕らの会社のこと、埼玉県をプロデュースしていきたいこと、釣りに可能性を感じていること、新しい釣りのスタイルを模索していることを話すと、次の瞬間には竹竿を持って再び北海道に戻っていました。

その時に撮った写真がこちら。

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埼玉県伝統の布袋竹を使った川口の竹釣竿と、川越の日本最古のリールメーカー五十鈴工業のリールを組み合わせた、「和竿ベイト」のテスト風景です。美しい。。。

山野さんの懐の広さもあり、その後伝統工芸の世界にまで広げて様々ご一緒させていただきました。

小川町で行われた催事に同行してYoutubeライブ配信してみたり、

釣竿作りを教えてもらいながらそれをライブで垂れ流してみたり、

市の郷土資料館、地元小学校と連携しながら、伝統工芸士による竹釣竿作り×釣り体験イベントを実施したりしました。

職人さんコミュニティが外の人に対して門戸を広げていることが結構な衝撃だったのですが、伝統工芸の世界も継承者不足やマンパワーが不足していたりと課題を抱えているから外の力を必要としているんだそう。世の事業者はもっと協業の道をライトに探ってもいいんじゃないかという気づきがありました。

あと、イベントに関しては、会社として本格始動する前の2019年〜2020年初にかけて、渋谷の屋上でサウナイベントをやっていたこともあって、

わかってはいたんですが、やっぱり赤字になりました。笑

2年連続でイベントで赤字を叩き出しているので、イベントの価値を改めて考えると、

・ロイヤリティの高いコアなユーザーと短期間で直接接触できる
・運営側のモチベーション喚起になる

この2点に尽きることをようやく理解できた気がします。

イベント開催って、喜んでもらえるし、意義深い活動だとも思うのでめちゃくちゃ楽しいんですが、継続的に催し物をやっていくには収益モデルの上に立つ必要があって、イベントの捉え方を変えないといけないなと思いました。

・イベントそのもので収益を上げることを考えない
・イベントは顧客獲得装置であるとして割り切る
・以降の継続的にサービスをデリバリーできる仕組みを用意しておく

ということが大事そうです。今はリアル→オンライン追加コンテンツっていいよなってなんとなく思ってます。

クライアントワークが自分達への問いかけの時間になっていた話

運輸・工事・観光バス会社以外にも、詳細な業務内容は話せないのですが、アパレル企業のリブランディングとプロダクト企画支援や、都市再開発のプロジェクトなどにも関わらせてもらっていました。

その中でわかったこととして

①クライアントワークでは主体性を相手に持ってもらってからがスタート
②優位性なんて価値観の違いでしか示せない

ということがあります。

それぞれどういうことか、まず①クライアントワークでは主体性を相手に持ってもらってからがスタートから話してみます。

僕たちは組織トップの人と直接やり取りをすることが多く、大枠「新しいことをやりたい」という相談を受けることが多いんですね。

元々メンバーのバックグラウンドがVR等の先端技術やブランディング、PRにあるので、相手のやりたいことが何なのかを丁寧に聞いてみて、実現方法についての道筋を提示して、こういうことをやりましょう!と提案することは結構な確立でできます。

実際、そういう風に仕事をすすめることが多かったんですが、なんだか違和感がありました。「新しいことをやる」ことそのものが至上命題の人間なんているのか?それでいいもの作れるんだっけ?ということです。

やりたいと言われている「新しいこと」を浮き彫りにしていけば行くほど、誰がやっても変わらなそうな、没個性的な成果イメージに仕上がっていくことが多かったんです。

なのでWHATの深堀りでは、本当にイイモノは作れないのかもしれないと思ってWHYを尋ねるようにしてみました。なぜ、何かをしたいというあなたがいるのか。そういう人格を形成した人生を振り返ってもらったり、家族の話をしてもらったり。ときにはポエムみたいなものも書いてもらいました。

それすなわち、「あなたという人間は何を成したいのか?」という偉そうな問いになっていると思うんですが、そこへの回答をもらってからは、何をするのかを僕らが決めるのではなく、クライアントが主体性を持って決めてくれるという逆転現象が起きるようになっていきます。

この逆転現象が起きてからは、新しいかどうかという二元論の世界から離れて、誰に何を言われようと完全にオリジナルな世界ですし、僕らもクライアントも「やるだけ」という状態になって、進行スピードが格段に上がるということがわかりました。

次に②優位性なんて価値観の違いでしか示せないについてですが、今度は僕たち自信の話へと視点が切り替わっただけで、①と同じことを言っているかもしれません。

とあるECサイト制作、運用の相談を受けた時に「御社に発注すべき理由を社内で伝えるための情報を下さい」と言われた時がありました。なるほど担当者に採用したいと思ってもらっても、他の皆にも納得してもらわないといけないのか、と当たり前のことに気づきます。

定量的に比較できるものがあるとすれば品質、コスト、デリバリーの速度、いわゆるQCDですね。

ですが、この定量指標を持って説明したところで、スタジオサイタマのWeb制作は一流だから!と思われる自信が正直ありませんでした。そもそもWEB制作会社ではないし、そうなるつもりもない、というのが本音だったのもあります。

それでも案件によってはいいものをつくる自信はあるし、やらせていただきたい!という時はあるので、どうやって自分たちの優位性を説明しようかと悩みました。

自分が発注する立場のときのことを考えると、その時の目的にもよりますが、大事なことであればあるほどQCDで意思決定をする時はありません。緊急度や重要度が高い時ほど、意外なほどに定性的に判断を下している気がしました。

その結果、自分たちの価値観やアティチュードを語ってみることにして、こんな標語が生まれました。

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ヒト、モノ、コト問わず、あるべき姿としてあるものは美しい。もともとそうあることが決まっていたように、もともとそこにあることが決まっていたように、収まりがよく、自然。
そうなるまでのプロセスに、多くの時間と人並み外れた研鑽、そして導かれるような奇跡があったことを僕たちは理解し、尊敬しています。
僕たちがお手伝いさせていただいているのは、そんな美しくもこりかたまった存在。
埼玉県を拠点として、人知れず輝き続ける皆様を全力で応援し続け、いっしょにその先の世界を見てみたい。
僕にもその鋭く尖った一本のツノ、磨かせて下さい。

自分達が何をしたいのか?何をするのか?というのは常に自問自答を繰り返していたことだったのと、クライアントワークの中で偉そうにお客さん達に問うてきたことでもあったので笑 責任を持って同じことをやってみました。

一般的にはVision, Mission, Valueに切り分けてで自分たちがなにものなのかを提示するものだと思いますが、そこまで分解するのはややこしいなぁと常々思っていたので「標語」ということにしました。

標語にしてからは、こういう力学で僕たち生きてますから、という説明だけでよくて、やり取りがシンプルになった気がします。

それでもやっぱりメンバートラブルは起きて2人で戸惑った話

スタジオサイタマ社は自分含め2人のフルタイムメンバーとその他3人のメンバーで構成されます。

その中でもフルタイムの添野くんと僕は、中学校、高校、大学と(中高は部活も)いっしょの友達です。一緒に起業してからはほとんどの時間をいっしょに過ごしているので、なんかもう、芸人みたいな二人三脚だと思います。

ですが、仕事をしている分、気づかぬうちに友達関係ではありえないぐらいに負の感情を投げつける回数が増え、信頼関係に影響を与えつつあることに気づきました。

これはただの仲良しだった2人の関係性においてはじめての出来事だったので、自分たちのことにも関わらず何が起きているのかもわからなくて戸惑ってしまい、12月の寒空の中朝まで話し合うというイベントになりました。

結果、お互いの思っていることを腹を割って話して、反省すべきところを反省して、最後には「自分達の関係性でもこういうことって起きるんだなぁ」「会社やるって大変なんだな」と最後の方には自分たちの外側で起きた事象のように話して決着がつきました。

自分たちの身に起きるすべてのコトを好奇心の対象として、学びを共有できる仲間だってことはかけがいのないことだと感じて、気持ちよく年を納めることができました。

ちなみにこれを書いてる現在、添野くんは僕の家で地元の友達とスマブラしてます。

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来年は

1年間をざっと振り返るとこんな感じでしたが、これまでに見たことも経験したこともない色々な出来事がありました。学んだことを改めてまとめるとこんなです。

・物事の判断は想像以上に定性的になされる
・優位性なんて価値観の違いでしか示せない
・伝統工芸, 職人さんの世界は外の人にウェルカム
・イベントはお金稼ぎ装置ではなく、"機能"として捉えるといいかも
・クライアントワークでは主体性を相手に問うべき
・メンバートラブルはそれでもやっぱり起きる

年の後半ぐらいからはフルタイムの僕と添野くん以外の仲間達のサポートがめちゃくちゃ濃くなって、年始からは和竿のECサイトをオープンして販売開始することが決まっていたり、他にもスタジオサイタマの象徴として購入したとっておきのモノの納品が待っていたり...来年はますます勢いよく前進していけそうな予感がしています。

一方で、僕たちのやりたいことは足の長いものであることが多いことがわかったので、投資資金を集められるような、キャッシュエンジンを開発することに集中してもいいのかな、と最近話しています。安心してやりたいことに熱中するために。。。

埼玉で起業しての1年間での学びの中で1番大事なものとして、挨拶をしっかりすべし、というのがあります。これは埼玉の先輩方がこぞってそう言っているので間違いないんだと思います。

ということでながくなりましたが、

本年も大変お世話になりました!来年もよろしくお願いいたします!

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