発車10分前の緊張感

画像1 ベテランの機関士さんは「蒸気機関車は生き物だ」と言う。しっかり手をかけてやれば必ず応えてくれるし、雑に扱えば機嫌を損ねてしまう。だから毎日が戦場だ。この日は当時年に1日か2日あった川湯温泉までの延長運転の日。後半には険しい峠も待っている。発車の準備が整い、SLが現役だった時代と同じナッパ服に身を包んだ機関士さんは身体をゆすって気合を入れ、機関助士さんはカマの状態を入念に確かめる。狭い運転席の空気が徐々に張り詰める。こんな緊張感に満ちた仕事はやっぱりカッコいい。

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