見出し画像

小説版『アヤカシバナシ』ドスドスドサッ

中学生の時の、修学旅行での体験です。


とある情緒のある温泉ホテルと言うのでしょうか、旅館と言うのでしょうか、歴史も感じる古めの建物でした。

ひと通り、面倒なレクリエーションなどを終えて部屋に戻った。


『消灯~』生活指導のハゲの声が響いてきたのを覚えているので、確か午後9時か10時じゃなかっただろうか。

修学旅行の醍醐味はここからである。


もそもそと起き上がり、小さなライトをつけて、私たちは4人で1勝負100円を賭けた大富豪を始めた。

アツくなって夜中まで勝負は続いたその時・・・


ドスドスドス・・・


屋根の上を歩く足音がした。


『まさか見回りのハゲじゃないよね?』


『屋根の上を?』『ないない』


再び大富豪にアツくなっているとまた足音がした。


ドスドスドス・・・


ドサ!


『え?ドサ?』


『落ちた?』


『まさか?』


窓を開けて下を確認するが、ここは4階。

見えたとしたらただでは済まない光景だが見てしまった。


『いない・・・ね・・・』『うん』『いないね』


ドスドスドス・・・


ドサ!


『え?また?』『なにこれ』『怖くなってきた』


ドスドスドス・・・


ドサ!


歩いては落ちる音が何度も聴こえ、たまらなくなり先生に声をかけて説明をした。

信じたような顔ではなかったが、先生の部屋に皆で寝る事に。

申し訳なかったけれど先生は別の先生の部屋に。


翌朝、気になった先生が旅館のオーナーに聞いたところ、実は・・・と話してくれたのを私たちに教えてくれた。


私たちが泊まるのと入れ替わりで、先に来ていた修学旅行生、生徒の一人がはしゃいで屋根に上り、歩き回って足を滑らせて落下し、首の骨を折って亡くなったと言うのである。


それがあの部屋の上だったそうです。


夜は見えませんでしたが、確かに花が添えてありました。

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?