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Kの向くままにおススメ映画『海と毒薬』ネタバレあらすじ感想日記

こんにちは。一応 医療従事者のKです。今回は『海と毒薬』。一言で表すと「人間の良心を試す医療映画」です。



こんな人におススメ 

医学を志す人や、医学を生業としている人は観て損しません
◎映画を観て考える事が好きな人


要注意点まとめ 

▲テーマが重過ぎるので、気力と体力のある時に観ましょう
▲オペのシーンが少しリアル、けど今時は残虐映画も多いから…
▲白黒映画です


こんな映画です 

原作 遠藤周作。
太平洋戦争末期の1945年に行われた米軍捕虜への生体解剖実験。
主人公である若き医学部研究生の2人はその実験に参加するか否かの選択を迫られますが…しかしそれを知った時点で断る選択肢は無いのも同然でした。


もう少し詳しく 

《九州大学生体解剖事件》を調べれば実験内容と顛末は詳しく載っていますが、フィクションとして観てもテーマの重大さは変わりません。

【生体解剖実験の目的と方法(一部)】
■人間の生存に関する探求
■どれだけ出血すると人間は死ぬかを確認するための実験
■内臓がどれだけ摘出されると人間は死ぬかを確認するための実験
■心臓を停止させ、蘇生させる実験

脈打つ心臓を取り出して鷲づかみにする場面、これはどうやって撮影したのか疑問でしたが…どうという事はない、本物の心臓だそうで…。血液も本物の人間の血だとか…白黒映画でよかったねー💦。現在では絶対に制作不可の内容ですよ!
でも衝撃なのは映像よりむしろテーマ。人間の良心は何処にあるのか、神は居るのか、行為の責任は何処にあるのか。
……ん?これは、かのドストエフスキー作品の多くと同じテーマかも。


観た後はこんな気分になりました 

人間の良心や判断を狂わせるのが戦争ですから、誰が悪いとかそういう簡単な問題ではないんですよね。
なのである個人や団体を裁いても根本的には解決しない。

「断れば良かったじゃないか」と後で言われても、、断れないのが日本人。《同調圧力》ですね。飲み会一つ断るのにも強い信念と度胸を要するのに、、あろうことか戦時下で国からの圧力です。
その気持ちを代弁するのが勝呂。そしてもう一人の主人公 戸田は一見諦観していますが…よく観ると勝呂に助けを求めるサインを出してるように感じます。

生体実験を断れば少なくとも医学の道は絶たれるでしょう。それとも生体実験に参加しますか?アナタならどっち、さあどっち?


心に残ったセリフ 

戸田 :「俺たちを罰する連中かて、同じ立場に置かれたらどうなったか分からへんで。人間の良心なんて、まずまずそんなもんやわ。」

多くの人が言う良心とは、《人に優しく》とか《命を大事に》とかそういう一般的で単純なもの。しかし、勝呂や戸田が苛まれる良心の呵責とはもっともっと深いものです。
「自分には良心があるのか?」 呵責を覚えるからには良心は残っていたのでしょう。無くなっていたのは選択肢です。良心を選択する事を封じられた上に罰せられる、という不条理。
原作者 遠藤周作のようなクリスチャンなら倫理的行動原理に従って集団心理、同調圧力に打ち克つ事が出来たのでしょうか?

Kが観た中でも最高レベルに重い映画。「どんな時も(自身の不利益になるとしても)良心を貫き通す事ができるか?」……良心と保身、どちらが勝るか、答えは人それぞれです。


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