【ノンネイティブの流儀1】
【写真】パリ・ダゲール通りにて(撮影・飯竹恒一)
英語のネイティブを手本としつつも、ノンネイティブとしての身のこなしがあるのではないか。ネイティブやバイリンガルにかなわないまでも、日本語のネイティブとしてのアプローチがあってしかるべきだ。かつて朝日新聞が紙媒体として発行していた英字版(旧朝日イブニングニュース)で日々、英文記事を書きながら、自分に言い聞かせていたことです。
ノンネイティブとして商品になる英文を書くことは、無謀なことだという絶望感が出発点です。日本語ではひと通りの記事が書けるスキルを身に着けたとしても、英文となると、ネイティブはもちろん、バイリンガルとの間に、埋めようのない大きな溝があることを存分に思い知らされたのです。
その後、パリ勤務など日本語で国際報道に携わる経験も積み、さらにオンラインに変わった英字版に戻ってデスクを担当することにもなりますが、総じて感じたのは、実は英語でもフランス語でも日本語でも、ニュース特有のメッセージの伝え方があるという点でした。ただ、それは表面的には特別なことではなく、読み手や聞き手がごく自然に受け止められる「工夫」が凝らされ、「仕掛け」が施されていたのです。
もちろん、具体的な工夫や仕掛けとなると、言語間で大きな違いもあり、それをきちんと理解することが、ニュースに携わるノンネイティブの流儀だと思うに至りました。
それは言わば、日本語と外国語と自分との間を、等距離で結ぶことを目指すという野心でもあります。そこにこだわって日々努力すれば、ネイティブやバイリンガルの皆さんと違った持ち味で、ノンネイティブでも勝負できる、という信念でもあります。早期退職してフリーランスで翻訳や通訳、通訳ガイドの仕事をする現在、それが日々の取り組みのバックボーンになっているのは言うまでもありません。
そうした点も含め、ノンネイティブとして英語に挑む手立てをニュースを通じて探り、みなさまと共有することが、この連載や講座を立ち上げるにあたっての強い思いです。
(主宰講師・飯竹恒一)
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