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【経理】自己評価は記録にもとづき、他者評価は記憶にもとづく。

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

社内で正式な評価制度がある会社であれば、自分のパフォーマンスを定期的に評価してもらえますが、ひとり経理や小規模経理になりがちな中小企業では、自己評価が難しいことが多いと思います。

今日は「評価制度がない会社で自己を評価する際は "記録" をベースにし、他者からの評価を見るときは "記憶" をベースにすると、割と参考にしやすい」ということについて書きます。


自己評価のバランス感覚。

今は会社の外側から経営者や経理さんを通して企業に関わる立場ですが、どうしても気になってしまうことの一つに、「経理さんの仕事における自己評価の低さ」があります。

毎年同様の作業をお願いしても、毎年、業務精度や速さが上がっているのに、「この程度はできて当然」「自分はまだまだ」という口ぐせの方は、非常に多いです。

残念なのは、その口ぐせをそのまま額面通りに受け取ってしまう経営者も多く、「確実に成長しているのに、経営者が給料を上げない(=上げる必要がないと思ってしまう)状況」に陥ります。

そもそも中小企業では評価制度を採用していることも少なく、取締役も社長一人であることが多いので、従業員の給料は「経営者の胸三寸」で昇給するかどうかが決まってしまうことが多いです。

記録を参考にする評価。(自己評価)

会社から評価されるには、まず、自己評価を正す必要があるでしょう。

経理部のような管理部の業務の場合、基本的には各業務に係る「時間」を記録し、それを比較するのが最も簡単な方法になると思います。

弊社では、それぞれの顧客に係る時間を「クラウドログ」というツールで記録しており、毎月、時間を集計・分析しています。過去にいろいろなツールを試したものの、そもそも「記録するのに時間を使ってしまう」ツールが多く、今のところは、簡単に登録できる今のツールに落ち着きました。

なお、記録する時はプロジェクトごとに記録し、その記録時間の中には、プロジェクトに係る作業準備や質問対応・片付け・マニュアル作成も含めます。

作業内容も細かく記録しておけば、例えば「昨年と作業時間は同じでも、作業内容は違う(→より管理的業務が増えている)」というようなことが、記録を見れば明確に判明します。

作業時間を記録する方法は、「感覚的にはできることが増えているはずなのに、それが実感できない」という場合の対策になります。

記憶を参考にする評価。(他者評価)

一方、記録で比較するだけで自己評価を上げることには、リスクが伴います。あくまで「自己評価」の域を出ないからです。自己評価に加え、他者からの評価を加えるのも必要でしょう。

私は人材管理や心理学などの専門的なことは学んでいないので「単に自分が考えること」としてこの記事を書いており、戯言と思って読んで頂ければと思いますが、「人の記憶は当てにならない」とは言うものの、「記憶は、その人の意識を明確に表すもの」だと思っています。

例えば、私はよく遅刻をする後輩のことを人に聞かれたときに、「毎週のように遅刻するんですよ」と言ってしまうことがあります。自分の記憶を確かめるために実際の遅刻の記録を確認すると、月に2回程度だったりします。ただ、明確な遅刻は月2回でも、「始業時間の1分前にオフィスに入って来る」ということが週に2日以上あるので、私の中では、「あの後輩は、時間にルーズな人」というラベリングがされています。

この「ラベリング」ですが、一度貼られた「ラベル」は、貼り替えるタイミングはなかなかありません。中には、「人が変化する都度、その時のその人を評価できる」タイプもいらっしゃると思いますが、そうでないタイプの方も多いと思います。

だからこそ、他人の評価は自分の客観的な評価を示すことが多く、会話の中でたまにポロっと出る「他人の自分に対する評価」は非常に参考になります

この記憶を参考に評価する方法は、「記録上では、改善しているはずなのに、なぜか評価が上がらない」と言う場合の対策になります。

評価制度の導入も検討を。

こればかりはどうにもならないのですが、中小企業でも普通の評価制度を導入して欲しい、というのが正直な気持ちです。

優秀な経理さんが退職された後になかなか後任が見つからず、経営者の方から「普通の経理さんで良いのに、普通の経理さんが見つからない」とご相談を受けることも多いです。

経営者が思う「普通の経理さん」というのは、「何の波風も立たない環境を作れる人=超優秀な経理さん」なので、採用は難しいのが普通なのですが、それをご理解頂けないのは残念でもあります。

是非、すべてにの経理さんが適切な評価制度の中で、相応の給料をもらえる世の中になれば良いと思います。

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ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。