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【経理】経理部の業績を計測する指標はあるか?~KPIの話~

こんにちは、きくちきよみと申します。
税理士です。

私は睡眠に問題があり、3年前からOuraリングというスマートリングを使って睡眠を記録しています。

どこまで正確なのかはわかりませんが、自分の状態を計測・記録するツールとして非常に助かっています。

アプリで具体的な睡眠の状態や心拍変動を記録できるので、記録された内容を基に、自分で生活改善・睡眠改善を進めていくことができます。

記憶は嘘をつきますが、記録は嘘をつきません。

何かを改善するには、その記録をすることは非常に有効です。自分は過去、数々の方法で睡眠の記録に失敗してきました。安価な製品ではありませんが、リングをつけているだけで睡眠が記録されるのは、自分にとっては最も便利な方法です。

KPIについて。

Oura ringは私個人の例ですが、企業においても、自社の業績を評価する指標として損益計算書(PL)があります。

ただし、損益計算書(PL)だけでは経営判断や人事評価のための情報が不足している場合もあり、そのような場合に「KPI」が利用されます。

KPIとは、Key Performance Indicator(重要業績評価指標)の略ですが、例えば「契約金額」「受注件数」「店舗来客数」のような、損益計算書(PL)には表現されない数値です。

既にどの企業でも少なからずKPIの設定して集計されていて、経営判断や人事評価に活用されていると思います。各社ではどのように活用されているでしょうか。

何をKPIとするかは、慎重に考える。

企業では「これがKPIだ!」と意識することなく設定されていることも多いと思いますが、各企業の課題に応じて、慎重に考える必要があるでしょう。また、混同しやすい用語を設定すると、後々困りますので注意が必要です。

例えば、ある企業の営業部で「売上金額」をKPIとしているとします。ところが、営業部で集計された金額を、試算表上の「売上金額」と比較すると、なぜか一致しないことがあります。

その企業の経営者からの依頼を受け、理由を解明するために話を伺っていくと、実は、営業部のKPIは「売上金額」ではなく「契約金額」であったりします。経理部の記帳は正しく、営業部の「売上金額」の認識が会計とは違っていることになります。これは、KPIの用語の設定が良くない例です。

また、上記の例で言えば、その企業の事業が契約から納品(売上計上時期:注)までの期間が非常に短い期間であれば、「契約金額」をKPIとするので問題ないと思います。しかし、契約から納品まで数か月を要すような商品・サービスを提供している場合、本当に「契約金額」だけをKPIとするので良いのか、疑問が生じます。

各企業・各部門の課題に合わせたKPI設定が必要でしょう。

注)売上計上基準について、日本基準でも2021年4月以降開始事業年度から新収益認識基準が適用されています。新収益認識基準を適用する企業においては、単純に「納品時期」が売上計上時期とはならないこともあります。


経理部のKPIって何だろう。

ところで、経理部で "KPI" を設定するとしたら、何になるのでしょうか。

営業部などの事業に直接関連する部署であれば設定しやすいですが、管理部は設定が難しいと思います。また、管理部であっても、人事部などであれば採用計画に基づいて設定しやすいこともあるかもしれませんが、経理部に何か設定しやすいKPIはあるでしょうか。

・月次決算の作業時間削減率?(そんなに劇的には減らない気がします。)
・ミス、クレームの少なさ?(何をもって「ミス」「クレーム」と定義するのかという問題があります。)
・改善提案数?(提案の質にもよるかもしれません。)

何だかピンとくるものがないので、経理部のKPI設定はかなり難しい気がします。経理部の人事評価が難航するのも理解できます。

自分の話をすると、15年前頃に勤めていた企業の経理部では、「記帳ミスが少ない人」「処理件数が多かった人」などの順位が、オフィスの壁に毎月貼り出されていました。また、過去にパート勤務した会計事務所では、所内の定期テストの結果によって、時給が決まっていました。いずれの勤務先でも、わかりやすく求められていたのは、単なる記帳の速さ・正確さや知識が中心だったからでしょう。

今の時代は、仕訳取込や仕訳連動が一般的なので手入力が少なく、誰がやってもミスが少ないですし、速さに差もつきません。知識を持っていても、それをうまく活用できなければ意味がありません。知識がある人よりも、検索ツール・AIツールなどをうまく使いこなせる方の方がパフォーマンスが良いこともあるでしょう。

経理部にも適切な評価制度を導入することは重要だと考えているので、良い案が浮かんだら、また別の機会に書いてみたいと思います。


最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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