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評価によって子どもの学びはどう変わるか?ー"3つのC"とラーニングストーリー(ニュージーランド教育から)

※2023/6/16・21編集

評価(アセスメント)が子どもの学びにもたらす変化とは何でしょうか?

アセスメントがもたらす学びの変化「3C」

ニュージーランド教育省が発行しているアセスメント事例集「Kei Tua o te Pae」では、以下の3つのCだと記載されています。

  • Community(コミュニティ)

  • Competence(能力)

  • Continuity(継続)

一つ目のC「Communityコミュニティ」は事例集「Kei Tua o te Pae」のBook5のテーマにもなっています。

以下URLより、該当PDFにアクセスできます。

https://assets.education.govt.nz/public/Documents/Early-Childhood/Kei-Tua-o-te-Pae/ECEBooklet5Full.pdf

その冊子の冒頭には、このように書かれています。

We know that feedback to children makes a difference to their learning.
...Documented assessments can invite people to participate in a particular learning community designed to foster children’s learning.

私たちは、子どもたちへのフィードバックが、子どもたちの学びに違いをもたらすことを知っています。
(中略)文書化されたアセスメントは、子どもたちの学びを促進するためにデザインされた特定の学びのコミュニティに人々を参加させることができます。

Kei Tua o te Pae: Booklet 5 - Assessment and Learning: Community

学びのコミュニティの発展を支える4つの側面

そして、「学びのコミュニティ(Learning Community)」の発展には、以下4つの側面があるとも書かれています。

  • developing relationships(関係の発展)

  • making some of the work public(公開する)

  • making connections between the early childhood setting and home(学び場と家庭を結ぶ)

  • making connections between the learning community and the world in meaningful days(学び場と世界を結ぶ)

①Developing relationships(関係の発展)

ここでの"関係"とは、主に人間同士の関係を指しているように思われます。
応答的(responsive)で相互的(reciprocal)な関係が鍵となりそうです。

②Making some of the work public(公開する)

実践を記録し公開すること、まさにラーニングストーリーの作成自体を指しますね。先生だけでなく、家庭や子どもも繋げる(Engage)ことに貢献します。この貢献は、"記録"だけでなく"読む"ことも含まれます。

※"Engagement"を"繋げる"と記載しましたが、とても訳しにくい言葉だと思います。従事する、誓約するという直訳もありますが、この文脈には、"信頼関係を構築する"という意味合いかと思います。

③Making connections between the early childhood setting and home(学び場と家庭を結ぶ)

家族がラーニングストーリーにコメントしたり、ラーニングストーリーをもとに子どもとの関わりを持ったり、時には、家族自身がラーニングストーリーを書くこともあります。そのことが、子どもの学びをより促進するのです。

④Making connections between the learning community and the world in meaningful days(学び場と世界を結ぶ)

学びのコミュニティを支える「関係」は、先生や家族など近くの人間同士に限りません。場所やもの、またその道の達人との出会いも入ります。

外の世界(The world)との関わりが、コミュニティの発展や、3つのCのうちの二つ目「Competence」にも影響します。

※この「Competence(有能)」については、「Kei Tua o te Pae」のBook6にて取り上げられています。
https://assets.education.govt.nz/public/Documents/Early-Childhood/Kei-Tua-o-te-Pae/ECEBooklet6Full.pdf

ラーニングストーリーの事例

地域の歴史に関する探究

「Kei Tua o Te Pae」のBook5「Communityコミュニティ」には、マオリ文化の探究に関するラーニングストーリーの事例が紹介されています。

引用:Kei Tua o te Pae: Booklet 5 - Assessment and Learning: Community

ニュージーランドには、「Hinemoa and Tùtànekai(ヒネモアとツタネカイ)」というマオリの伝説があります。親に交際を反対された娘ヒネモアが家を出てツタネカイのもとへ行くというラブストーリーです。

その伝説を読んだことをきっかけに、マオリの家を身近なもの(事例ではアイスクリームの棒)で工作したり、実際にマオリの聖地を見に行ったりといったエピソードが記されています。

「個人とグループ」・「次に繋げる」視点での継続的な記録

個人の興味関心や、グループで外出した話など、「個人」と「グループ」両方のラーニングストーリーが交互に、数ヶ月に渡って記録されています。

記録には、博物館へ行く、オリジナルのWhakairo(彫刻)をデザインするなど、経験や得た知識から次の計画も共に記載されています。

この事例がなぜ「コミュニティ」のテーマの事例になっているのか?
ぜひ考えてみてはいかがでしょうか、できれば誰かと共に語り合いながら。

仲間との発見を楽しむ、そんな学び合いを開催します

今回のテーマ「コミュニティ」

2023/6/21追記:6/17に学び合いを開催しました!次回は7/15(土)に開催予定です。告知開始しましたら、こちらにも記載します。

コミュニティについて共に考え学ぶ、そのきっかけとして、デジタル・ラーニングストーリー「ストーリーパーク」では、ラーニングストーリーをテーマとした学び合いを継続的に開催しています。

ストーリーパークの活用や、ラーニングストーリーに関することなど、年間通した継続的な開催を予定しています。

単発参加もOK、現地(東京)とオンラインのハイブリッド開催です。

次回の内容

  • コミュニティに対して互いが持つイメージとは?

  • コミュニティに関するラーニングストーリーを皆で読んでみよう

  • 考察や次の関わりについて共に考えよう

  • 学びのコミュニティを発展させる要素について、ニュージーランド教育ではどう示している?

  • 今日の学び合いを振り返ろう

詳細・お申し込みはこちら


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