見出し画像

【若者と働き方の真実 ~データが語る3つの視点~ #2(全3回)】エンゲージメントスコアが明かす世代間ギャップ

前回は、若者の離職率が実は昔とあまり変わっていないという意外な事実を見てきました。今回は、「エンゲージメント」という視点から、日本の働き方の課題を探っていきます。

まず、エンゲージメントとは何でしょうか?

簡単に言えば、従業員の仕事に対する熱意や愛着のことです。エンゲージメントが高い従業員は、仕事に対して積極的で、組織の目標達成に向けて自発的に行動する傾向があります。

Gallup(ギャラップ社)の「State of the Global Workplace: 2024 Report」によると、日本の従業員エンゲージメントは世界的に見てもかなり低い状況です。2021年の調査では、日本のエンゲージメントスコアはわずか5%。つまり、100人中5人しか仕事に熱意を持っていないということになります。

これ、けっこうヤバいですよね。同じレポートによると、世界平均が20%で、アメリカが33%なのと比べると、日本の働く人たちの「やる気のなさ」が際立ちます。

では、日本の労働者、特に若者たちの実態はどうなっているのでしょうか?ここで、全国就業実態パネル調査2024のデータを見てみましょう。

https://www.works-i.com/surveys/item/jpsed_sekkei2024.pdf

  1. 仕事満足度とキャリア展望(Q71) このデータによると、20代の74.5%が「今の仕事にやりがいを感じる」と回答しており、これは他の年代と比較して最も高い割合となっています。一方で、20代の42.9%が「今後のキャリアに不安を感じる」と回答しており、これも他の年代と比べて最も高い割合です。

この結果は興味深いですね。若者たちは現在の仕事に対して高い満足度を示しつつも、将来に対しては不安を抱えているようです。

  1. 就業形態と柔軟性(Q18, Q44) 若年層(15-24歳)の就業形態を見ると、非正規雇用の割合が高くなっています。一方で、仕事の柔軟性に関しては、若年層の方が柔軟な働き方を選択できる傾向にあります。

これは、若者たちが「自由」を求めつつも、安定性を欲しているという、相反する欲求を持っていることを示唆しているかもしれません。

  1. 職場環境とHRM(人的資源管理)の状況(Q53, Q69) 若年層は、職場環境やHRMの取り組みに対して、比較的ポジティブな評価をしている傾向が見られます。特に、「上司や同僚との関係」や「キャリア支援」などの項目で高い評価が見られます。

これは、企業側が若手社員の育成や環境整備に力を入れていることの表れかもしれません。

  1. 転職意向(Q105) 興味深いことに、若年層の転職意向は他の年代と比べて高い傾向にあります。これは、キャリアに対する不安と関連している可能性があります。

では、なぜ日本全体のエンゲージメントが低いのに、若者たちは比較的高い満足度を示しているのでしょうか?いくつかの要因が考えられます:

  1. 期待値の違い: 若者たちは、終身雇用や年功序列といった古い価値観にとらわれず、より自由な働き方を求めている可能性があります。

  2. 企業の取り組み: 多くの企業が若手社員の育成に力を入れており、それが若者たちの満足度につながっている可能性があります。

  3. 社会変化への適応: デジタル化やグローバル化といった社会変化に、若者たちの方がより適応できているかもしれません。

  4. 将来への期待: 現在は満足していても、将来のキャリアに不安を感じているという結果は、若者たちが更なる成長や機会を求めていることの表れかもしれません。

しかし、ここで注意すべき点があります。若者たちの高い満足度が、必ずしも高いエンゲージメントにつながっているわけではないということです。満足はしていても、組織の目標達成に向けて自発的に行動するまでには至っていない可能性があります。

また、若年層の高い転職意向は、彼らが現在の仕事に完全には満足していない、あるいは別の機会を常に探している状態にあることを示唆しています。これは、組織にとっては人材流出のリスクとなる可能性があります。

次回は、これらのインサイトを踏まえて、企業が従業員、特に若い世代のエンゲージメントを維持・向上させるためにどのような施策を取るべきか、具体的に見ていきます。

みなさんの職場ではどうでしょうか? 世代を問わず、従業員のエンゲージメントを高める取り組みは行われていますか? そして、もし行われているとすれば、それはどのような効果を生んでいますか?


◯妊活なんでも相談:https://www.stork-consulting.jp/ninkatu-soudan/
※妊活や不妊に関することなど、テキストベースでご相談をお受けしております。

◯企業様向け研修・コンサルティング
ウェルビーイングやダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン・ビロンギングの推進に関するご相談を承ります。まずは以下までお気軽にご連絡ください。
info@stork-consulting.jp

●X:https://x.com/kifune_kazuya
●note:https://note.com/storkconsulting
●HP(株式会社ストークコンサルティング):https://www.stork-consulting.jp/


#ウェルビーイング
#少子化
#ダイバーシティ
#エクイティ
#インクルージョン
#ビロンギング
#deib
#エンゲージメントスコア

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?