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ショートショート 「映画館のポップコーンはひと味違う」


映画館の煌びやかなネオンに包まれながら、私は足早にチケットカウンターへと向かった。今夜はマーベル映画の最新作を観に来ていた。劇場の外では冷たい風が吹き、息が白く霧のように消えていく。しかし、その寒さも忘れるほど、心はワクワクでいっぱいだった。

チケットを手に入れた後、私は売店の行列に加わった。開演までわずかしか時間がなく、私の前には同じくポップコーンやドリンクを買おうと並んでいる人たちが数人いた。彼らもまた、スクリーンで繰り広げられる英雄たちの活躍に胸を躍らせているのだろう。

「キャラメルと塩……どっちにしようかな?」レジ上のメニューを見上げながら、私はポップコーンの味を決めかねていた。キャラメルは甘くて香ばしい。一方、塩味はシンプルで映画を観ながらつまむにはちょうどいい。小さな悩みに、私は思わず微笑んだ。

「次、どうぞ」

ようやく私の番が来た。レジの女性が微笑みながら私を見つめる。その瞬間、私の心は決まった。

「キャラメルポップコーンの大Lを一つと、コーラのMをお願いします」

手際よく注文を受けた売店の女性は、私の注文を素早く用意してくれた。私は支払いを済ませると、ポップコーンを受け取り、劇場の中へと足を踏み入れた。

右端の座席に着くと、私はポップコーンをひとつひとつを口に運んだ。キャラメルの甘い香りが広がり、心まで甘く満たされるようだった。

スクリーンが明るくなり、映画が始まる。英雄たちの冒険が展開される中、私はポップコーンを手に、一瞬たりとも目を離すことができなかった。彼らが直面する困難、友情、そして勇気に心を打たれながら、私は自分もまた、彼らの一員であるかのように感じた。

映画が終わり、エンドロールが流れる中、私はまだその余韻に浸っていた。ポップコーンの容器はもう空だったが、心は満たされていた。私は立ち上がり、映画館を後にした。

「やっぱり、マーベル映画は最高だな」

ひとりごちながら、私は夜の街を歩いていく。英雄たちの冒険が終わり、日常に戻ったとしても、彼らの勇気と希望は私の心に残り続ける。

私は次の映画が待ち遠しくて仕方がない。そして、その時もまた、ポップコーンを片手に、英雄たちと一緒に冒険の世界へと飛び込んでいくのだろう。

映画の魔法は、ただのポップコーンを手にした私を、夢と冒険の世界へと誘う。それが、私が映画を愛する理由だ。




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