短編小説 「綿あめと私とみんな」
私の名前はゆのりん。私はいつもひとりだ。嫌われている訳じゃない。ただ、そんな風に過ごすのが自分に合っていると感じているだけ。
綿あめは、私にとって、一日のエネルギー。それもそのはず、その甘さ、そのふわっとした食感、それはただの糖分ではなく、日々の生活の活力そのものなんだ。
ある日のこと。私がいつものように学校の校庭で一人で綿あめを食べていたら、クラスメイトの美琴が近づいてきた。
「ゆのりん、いつも綿あめ食べてるね」
「うん、だって美味しいし、何より可愛いんだ」
美琴は一瞬、不思議そうな表情をしたけど、すぐに笑顔になった。
「ふーん、私も一度食べてみたいな」
その日から、美琴は私と一緒に綿あめを食べるようになった。そして、彼女は私に様々な悩みを話すようになった。
「ゆのりん、何でいつも一人でいるの?」
「うーん、それは自分でもよくわからないな。ただ、一人でいる方が落ち着くんだ」
美琴は何も言わずに私を見つめていた。その表情は、何かを探しているようでもあり、何かに迷っているようでもあった。
それから、美琴だけでなく、他のクラスメイトも私のところに来るようになった。そして、みんなは私に様々な悩みを打ち明けてきた。
「ゆのりん、恋愛相談に乗ってくれる?」
「ゆのりん、勉強について聞いてもいい?」
「ゆのりん、家族の問題を話してもいい?」
その度に私は耳を傾け、一緒に綿あめを食べながら答えた。もちろん、私が必ずしも解決策を出せるわけではない。でも、話を聞いてあげることで、みんなは少し楽になるようだった。
私はそれを見て、自分の存在がみんなにとって何かの助けになっているのだと感じ、うれしく思った。自分が一人でいることで、他の人たちの支えになれるなんて。それは新しい発見だった。
それから、私は自分の一人の時間を大切にしながらも、他人の話を聞くことで彼らを支えるようになった。そして、それが私にとって、新しい楽しみの一つになったんだ。
「ゆのりん、ありがとう。おかげで少し楽になったよ」
「うん、何でも話してね。一緒に綿あめを食べながら、話を聞くよ」
そう言って笑顔を見せる彼らを見て、私は改めて感じた。自分の存在が彼らにとって大切なものになっているんだと。
だから、これからも私は一人でいる。でも、それは孤独ではなく、人々の支えになるための時間。
それを大切にしながら、私はこれからも一人で、そしてみんなと綿あめと一緒に過ごしていくんだ。
時間を割いてくれて、ありがとうございました。
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