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【バイリンガルの憂鬱な日常】1,200円のランチより、100円のたこ焼きのほうがおいしい

大阪生まれ大阪育ちのわたしは、20歳のとき初めて東京へ遊びに行きました。
友達とディズニーへ行き、オシャレな東京巡りも計画。表参道を歩くと、有名なモデルさんが撮影していたりして!
やっぱちゃうなぁ~わたしが大阪で見かけた有名人は、笑福亭笑瓶と石田純一くらい。(どちらも北新地)
そんな感じで興奮はしたものの、テンションが下がる出来事もありました。
どの飲食店に入っても、とにかくごはんがおいしくないのです。

よく覚えているのが1,200円のパスタランチ。サラダには味がないしペペロンチーノは辛いだけ。
間違いのないチェーン店に入ればいいものの、さすがに初めての東京旅行で、デニーズに入るのも野暮だし。。

「おいしいごはん」に飢えて大阪に戻ったわたしたちは、すぐに駅構内のラーメン屋に入りました。シンプルなしょうゆラーメンのおいしかったこと!
物足りないわたしは、さらに自宅の最寄り駅でたこ焼きを買って帰ります。
ハイエースの後ろをパカッと開けてたこ焼きを売る、営業許可を取ってるのかどうかすら怪しいお店ですが……充分おいしいんですよね。(お店なのか?キッチンカー?ともちょっと違うし)
しかも、6個100円ですよ。マヨネーズをつけると30円アップ。
(値段設定がおかしい)
(もうマヨネーズは家でかけます)
「1,200円のランチより、100円のたこ焼きのほうがおいしいんだなぁ」
と、非常に印象に残る「食」の思い出となりました。

その12年後、わたしは結婚して関東に引っ越します。
このときもスーパーにうすくちしょうゆが売ってないとか、たこ焼き用にみじん切りされた紅生姜もないとか、さまざまな食のカルチャーショックの洗礼を受けました。

またあるとき、某有名料理研究家のレシピ本を買い料理を作ったところ、びっくりするくらいマズくて食べられない。テレビにもバンバン出演している、大人気の方なのに?
そもそも、ほうれん草1束にしょうゆ大さじ4て!塩分過多でころす気か!
……と思い、よくよく調べるとレビューに、
「大味なので、関西人の口には合わない」
と書いていました。
そんなこともあるのか……と、本ごとゴミ箱に放り込んだのをよく覚えてます。

ダンナと、新居の周りにある飲食店に行ってみたこともありました。
結果、全然おいしくないんですよね。
洋食屋の肉は固くて嚙み切れないし、とんかつ屋は高いくせに衣がぶ厚いし脂っこい。
とんかつ屋なんて雑誌にも載っているから期待したのに、ダンナも「オレが作った方がよっぽどうまい」と言っていました。

どんどん、わたしの中で「関東の食」に対する疑問が膨らんでいきます。
なぜあの洋食屋が潰れないのか?
とんかつ屋なんて満席だったけど、みんな本当においしいと思っているのか?
大阪の外食でこんな思い、マジでしたことなかったのに。

時は流れて息子が生まれ、2才くらいになった頃のこと。
孤独に生きるわたしにとって唯一のママ友と、あるショッピングモールの話になりました。

ママ友:「あそこに行ったとき、いつもフードコートでお昼食べて帰るの」

……んん?? あそこ??
そこのフードコートはわたしも行ったことあるけど、サーモンは魚くさいしミートボールは肉くさい。
わたしにとっては「2度と来るか!」と怒りすら覚えた激マズの店です。
しかし彼女は何度も食しているらしい。
一体、なぜ??
少し悩んだのですが、他に友達がいないわたしは思い切って聞いてみることにしました。

「あのフードコート、1回行ったんだけど臭みがあって……わたしはあんまりおいしくないと思っちゃった。そうでもない??」

すると彼女はさも当然のように、あっさりとこう答えます。

「うん。たしかにおいしくはないよね」

その答えを聞いたわたしは、これまでの謎がいっぺんにとけた気がしました。

そうか。そういうことか。
「食」に興味がないのか。
だから味なんて、大して気にしていないのか。
「おいしい」とか「おいしくない」の次元ではなく、便利だからそこで食べてるだけなのか。。

そう考えるとすべて納得がいきました。潰れない洋食屋も、満席のとんかつ屋も。

今では、外食はすっかりチェーン店専門になりました。もちろん、関東にもおいしい個人店があると思います。でも、とにかく高いんですよね。
「大阪やったら半額でこの味、食べれんなぁ」と冷めてしまうため、足が遠のくようになってしまいました。

しかし今のご時世、大阪も値上がりしてるかも?
そう思っていたら2年ほど前、職場の先輩が大阪に遊びに行き、帰ってきて言いました。
「新大阪で適当にうどん屋に入ったら、450円の天ぷらうどんがめちゃくちゃおいしくてビビった」
どうやら大阪は、変わってないようです。

「安くてうまい」が当たり前の土地で育ったわたし。
現在の外食は、もっぱらスシローとサイゼで賄っています。
お金がないだけともいえるカモ。

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