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里見
2022年11月9日 11:55
冷蔵庫の中の血液パックは、とうに尽き果てていた。 おれはと言うと、馬乗りになっておれを見下ろす男の、月明かりに照らされた青白い頬を見ている。直毛の黒髪が闇夜にきらめいて、時折銀色のようにも見えた。おれを押さえつけるか細い腕はわずかに震えていて、少し長い前髪の隙間からのぞく黒い瞳は、怯えを帯びながらも、時折懸命に瞬いてこちらを見つめている。「眷属にしていいよ」 震える唇が、小さく言葉を紡
2022年5月7日 20:13
いちばんやさしい地獄にいこうね。 私が小指を差し出すと、天使みたいな顔した少女が、悪魔みたいに微笑んだ。 少女が私の元へやってきたのは、死のにおいがしたかららしい。 「それって、クサいってこと?」と尋ねると、「そういうことじゃないんですよね」とぴしゃりと跳ね返された。「死が近づいた人間からは、熟れた果実のような香りがしますから」 ソーダ味のアイスキャンディーを小さな舌でチロチロと